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3つ首亡者

良し、もうちゃっちゃと進めてメインイベント始めよう

(余興でここまで尺を取られる・・・必然だな(今迄の傾向からして))

迫る凶刃を前にして、女は諦めず、考え続けていた。


(どこか、逃げ道は・・・・まだっ!)


指一本力を抜いたらその時点で死ぬ気がした。薄皮一枚で生きられているのが

分かった。だが、だからと言って諦める程、フラムは諦めが良い訳では無い。

それが、決して結末に影響を及ぼさなかったとしても。


「一か八かよ〈混合魔法(ミックス・マジック・)・上昇気流(アップドラフト)〈感覚支配(センス・コレクト)〉!」


巻き添えの可能性の無い最大魔法、これで駄目ならもう打つ手がないと

言い切れる筈の魔法だった。が、


「〈スネーク・チェイン〉」

「は!?」


ズズ・・・・!


効果は現れる前に消え、硬直した肉体は、吸い込まれるように大蛇の

下敷になる。死が、目の前に横たわっていた。


・・・・Sideレン



「っし、さてさて、どうするか・・・厳しいなー」


フラムが追われ、下敷になるまでの十数秒、やれる事がほぼ無くなり、

削る事しか出来なかった為、実質10%削れるかどうか程度のダメージしか

与えられなかったが、一応8割弱まで削れた。強制的にパーティーから

フラムの項目が消える。直前のHPからして、死亡したのは確定だった。が、

やれる事はやらければな。


「アゼル、西に1㎞だ、行くぞ」

「ああ、・・・了解した」


プレイヤーが一人死んだ程度で戦闘が終わる訳では無い。例え1人だろうが

勝つ芽が有るなら進まなければ、それもまた、あの場所で学んだことだ。


「んじゃあ、行きます・・・・あれ?」


走りながらステータス画面を開いた時、気になる表示が目の前に映る。


「どうした、何か問題か?」

「いや、スケイルのHPが減ってるのが引っ掛かってな。他に居るとかか?」


スケイルには、超重量限定で発動する罠なんかを頼んでいた。当然、

あの植物野郎がやった可能性も有るが、にしてはあまりに。


「ちょい減り過ぎだよなー、貫かれた俺でも1割弱しか減らなかったもんが、

 俺より丈夫なスケイルに4割とか、不可能に近いと思ってな?」

「フゥム、っと〈鬼面の相〉考えている時間はあまり無い様だ!」

「もうか、少し急ごう〈速度上昇(スピード・アップ)〈相互補助(アシスト・パートナー)〉〈メッセージ〉」


とにかく、スケイル達を呼び戻して戦況分析だ。やれる事は少なくない、

まだまだ終わる訳にはいかないからな。


・・・・5分後



「わりい〈治癒(ハイレン)〈鉄砲水(フラッシュ・フルード)〉!」


膠着状態(こうちゃくじょうたい)と言って差し支えない位まで補助魔法を掛けまくって、

ギリギリの状態を保っていると、流石にボロが出てくる。足を

引っ張ってしまうとは、魔法職の動けなさを失念していたのが響く。


「きにするな!それより、HPの減りはどうなってる?」

「土蛇6割、水蛇4割ってとこだな、思ったより順調だ。が、

 まあ間に合わないだろうな」


この5分で植物型を削ってみた所、蔓の丈夫さが嘘の様に削れた。だが、

そこで一気に旗色が悪くなった。分かり易く動きの遅かった土蛇が、

植物型を守る様に動かなくなったのだ。それだけならまだ良かったんだが、

よりにもよって、植物型の周りに防壁まで作るもんだから、地面から

飛び出る蔓の所為で、楽に成った筈の戦闘が一気に厳しくなった。


「チッ、さっきまでみたいに出したまま戦ってくれりゃあどれだけ楽か」


地面から飛び出る植物ともうひとつ、HPバーが見えない植物型に

一抹の不安を覚えてはいるが、他にそれらしい影は無かった。もし

コイツがはずれだったら仕様が無いので、取り敢えずそっちは放って置くほかない。


「仕方がないだろ、にしても、スケイルと言う蛇、まだ戻ってこないか?」

「ああ、一応遠隔回復でHPを回復させてからもちょいちょい連絡してるが、

 まだ返ってこない。何処で何やってんだか、スケイルらしく無い」


あのお姉さんキャラがヴィルにいいところを見せられるチャンスを逃すとは

俺には思えないんだが、一応スケイルが仕掛けたと思しき罠に

助けられた場面も有ったし、放置していても問題は無いだろうが、

・・・いや、一度戻すか。


「有効なダメージソースが無いってのは厳しいなー、かといってヴィルを

 出しておくわけにもいかなかったし、おっと<陽炎(ヒート・ヘイズ)>

〈戻って寝てな、お疲れさん〉」

「シュルルァ〈ポイズン・ミスト〉〈濃縮(コンセントレート)〉!」


水蛇のみですら負ける可能性が有るのは、その性質に由来する。計8種の毒と、

液体を3つの形態に変化させる事で、自分の優位性を保つ様になっているのだ。

だが、本来の戦い方であるであろう奇襲が使えない以上、1体だけならどうにか、

その程度でもある。引けないってのはこっちにとっても有利に働いていた。


「流石に、俺だけの火力じゃああの体積の水を蒸発はさせられねえし、

 其の上あの毒がなあ・・・チッ」

「アレ自体が最強の毒になっていたのは少々誤算だった。がな、特性から

 予想出来なかった私達にとやかく言われる筋合いもないだろうな!」


そりゃそうだ。それでもフラムが居ればどうにかなる程度の敵でしかないのだから。

体積を削る≠HPが削れるので、一応ダメージは通る。減りは遅いが・・・。


「さって、もう良いか〈凸凹コンビ、出番だぞ〉」


呼び出すやつとすれば、これ以上はあまり居ないだろう。ヴァイスアイン

の2人はそれだけ優秀なのだ。片方性格破綻者なのはまあ気にするな!


「きゅいー・・キュキュイ!(眠いっす・・・やや、主人!)」

「ほほホー、ホ?(気分的に乗って来た~、あれ主人?)」

「やるぞ、アイン、寝るな」

「キュッ、キュキュキュイ!(り、了解したんすよ!)」


さあ、削り合いだ。どっちが先に潰れるか、ふたを開けようじゃないか。


「アイン、水っぽいのは触れるとアウトだから土っぽい方を切っとけ、

 ヴァイス、振動でダメージを増やせるか試してくれ、駄目ならいつも通り」

「俺は定石通り、援護には回れないぞ?」

「上等、俺は援護とヘイト管理だ。多分だが、戦闘ログからしてまず間違いなく、

 敵の使うスネークチェインがヘイトを零にするっぽい。周期は不明だが使ったのが

 2体とも同周期だったし、恐らくそろそろだ。忘れんなよ」


ヘイトリセットなんざシャレにもならない。一切の余計な物を削ぎ落して尚

勝率が低いのだから、消耗品の回復薬(ポーション)も残り5本、順当に行って

確実に俺が最初に死ぬだろうが、まあどうにかするだろ。アゼルだから。

そんな事を考える位には、俺が残るメリットが無い事に笑が込み上げる。

だが、アゼルによってその予想は裏切られる形となった。


「委細承知、万が一に〈身代わりの印〉俺が死んだら任せた!」

「・・・了解」


身代わりの印、対象のHPが0以下になるダメージを受けた時、一度だけ

スキル使用者にダメージを肩代わりすると言うものだ。これによって、

俺は死ねなくなり、同時に、死ねなくなった。


「期待にゃあ応えたくなるのが心情ってもんだ」

「ホ、ホホー^¥^(まあまあ、私等が頑張る)」

「きゅきゅ、キュイー!(そうっすよ、ヴァイスさんと一緒に守るっす!)」

「ああ、取り敢えず勝つ!」

「応!」


言葉を紡ぎ、走り出すその瞬間、一瞬の緊張が呼吸として吐き出される。

ただ進む、ただ走る、殺意が交差し弾けるその瞬間、


ドガアアアアアアアアアアアア!!!!!


閃光が弾けた。


「ッッ!??」


その衝撃の出所を探ろうともがく暇すらない。一瞬で体が吹き飛ぶ、

肉体が悲鳴を上げ、地面をゴロゴロと転がる。呼吸が出来ない、衝撃によって

受けた打撲が原因か、肋骨が痛む、ダメージが体中を暴れ回っていた。


・・・ガッ、ザザァ!


「なに・・がっ!」


なんとか取っ掛りに手を掛け、無理矢理衝撃を正面から受ける。規模からして、

内部からナニカの魔法を使用したのだろうとは予想は出来ていた。だが、

たった一つの違和感が脳内を駆け巡る。あんな規模の魔法を使えたのなら

最初に使っていればもうどうしようもなかった筈、何故今なんだ?と。

その疑問は、次の言葉によって氷解した。


「さっきまではよくもやってくれたはねー、今度はこっちの番よ!!」


ドン!


擬音でも付きそうな凛とした声で、その女は断言した。


「なぜ・・・・フラム!」

「悪かったわね、生きて「いや、良かった!」・・・て・・・ゼル、

 あんたやっぱやり難いわ」

「ハハハハハ、スケイルか!」


スケイルの種族スキルは完全に把握していないが、確かちょっと前に

使ったスキルに寄生が有った筈だ。別のスキルが使えてもおかしくは無い。


「そ、同化ってスキルで一時的にモンスター化してたのよ。おかげさまで

 気分爽快、魔法の威力も少し上がって、大樹を殺すのは簡単だったわ。

 でも、そこからが厳しかったのよねー、あと10秒待てなかったのかしら?」


にこやかに喋るフラムの表情からして、恨み言と言う訳でも無いか。

そりゃああれだけ吹っ飛ばされてキレられたら目も当てられんしな。


「スケイルに連絡させなかったのが悪い・・・っと、それより、植物型はともかく、

 他のはまだ残って「終わったわよ?」・・アイン達の出番が!」


負ける可能性が高いとか言っといてなんだが、もう少し空気読めよと思ったのは

しょうがないだろう。


「まあまあ、それは一旦置いておこう。フラム、生きていてよかった!」


ズズ・・・


「私だって駄目だと思ったわよ、でも、潰れる直前にケイルの作った穴が

 開通して助かったのよねー。アレが無かったら死んでたわよ。で、終わったのは

 良いんだけど、どうなるの?」

「そう言えばそうだ。終わったなら・・・待て、地中で何か見えたりしたか?」


地中に何か居る場合、植物型を倒せていない可能性が有る。ただ、

見つからないなんて事が有り得るのかとも思っていた。が、


「地中には・・・・待って、どうなってるの!?」

「何を言ってる・・・!??」


グチャッバキッ・・・!!


その場所には3匹の蛇が居た。いや、正確には違う。1匹の蛇が、

2匹の蛇を捕食していたのだ。


「HPは?」

「見えるでしょ、もうゼロよ。何であんな」

「待て・・・回復してるぞ!」


空になった筈のHPが少しづつ回復する。あり得ない筈の事が起き、

思考が一瞬停止していた。その時動き出したのはアインだった。


「キュッ〈ラビット・キック〉!」


ガッ!


「ギュ!?」


敵を捕らえた筈の一撃、命中したと思われた攻撃が、一瞬空中で停止した後、

吹き飛ばされる。防御魔法だろう。


「っ・・〈剛炎の戦場(フレア・フィールド)〉」


フラムの魔法が一呼吸おいてから放たれる。それとほぼ同時に

駆けだしたのは俺とアゼルだった。


「取り敢えず突っ込むぞ」

「いや〈鬼狂い〉今度こそ、確実に倒す!」


グチュッ・・ギチィ!


肉がちぎれる不快な音が響く、不快な音を止めようと攻撃する俺達を嘲笑う様に、

全くと言って良い程効果が無い。そうこうしている内、1つの音が止んだ。


「チッ、なんだかんだで3割弱かよ。笑え・・・マジか!」


2つの影に止められる形で。


「なに!?」


2つの首が体から出て来る。色が漏れだし、全ての色が濃さを増す。

これ以上無く、ボス戦の空気が漂っていた。


「ヴァイス」

「ほーほー〈生命力探知(ライフ・サーチ)〉・・・ホホー、ホ!」


成程、回復量はさっきまでが限度で、強度はともかくスタミナは総量として

増えていると。こういう時にヴァイスは輝くな。まあ、今度マキリスなんだが。


「ほほー・・・」

「HP残量は3体の合計値×30%、実質90%弱だ。間違えるなよ、3割じゃ無くて

 さっきの蛇連中の9割だ」

「なんかスーちゃんが落ち込んでるんだけど、どうなってんの?」

「気にするな、あと、スケイルの呼び方が混ざってるぞフラム、何を聞いたかは

 知らないが、スケイルの言うこいつの印象は大概過大評価だ。信用するなよ」


スケイルめ、余計な事吹き込んだな。


「あのなっ!頼むから真面目にやってくれ〈軽業師の腕〉〈韋駄天の両脚〉!」

「あ、ごめん〈遅延する蔦(ディレイド・アイビー)〉」


会話中にもアゼルのHPが削れて行っていた。ちょっと注意不足だったな。


「・・変ね」

「何がだ?」

「弱い、と言うより攻撃力がマグルゴ以下なのは何でかしら・・・

 耐久力?いえ、なら・・」

「まあまあ、このままだとアゼル死ぬから<筋力強化(ストレングス)>」

「それもそうよね・・・じゃあ〈切切風(サウザンド・カット)〉」


ザグ、ザザザザアアアアアアアアアア!!


「シュラアアアアアアアアアアア!?」

「うっわ、エッグイ・・・って、マジか!」


無尽蔵にカマイタチが蛇の胴を切り裂き、出血した傷に重ねて刃が当たる。

抉る刃の切先が剥き出しになった皮膚を骨が見えるまで切りつけるエグさは

勿論だが、なによりそのダメージが問題だった。


「減る・・だと!」


5%、全30%の内の6分の1が一瞬で吹き飛んだ。


「柔らかい・・・死体みたいなものだから?」

「良いから、もう俺等の集中力的に限界近いし、やっちゃってくださいな」

「〈兵の凶刃〉早目に頼む、あまり余裕がッッ!?」


柔らかく、同時に攻撃力の無い的を仕留めるまでに、そう時間が掛かる事は無かった。


・・・・



「終わったー!」

「つ、疲れた・・・・」

「だらしないわねー」


拍子抜けと言ってもいい程、戦闘は短時間で終了した。だが、普通に疲れた。

精神的に摩耗していた。適度にダメージが重なるせいでイライラし続け、

大雑把な行動で削られるのを繰り返していたのが理由だ。回復アイテムが

すっからかんなのがその証明だろう。マジで疲れた。


「お前と一緒にするなよ。で、何か変化は?」

「何も・・・あ、次ステージへ進むコマンドが出てるな」

「今度はー・・・あー、また1人で行動みたいねー」

「そうか、・・・あ」


消耗した状態で1人になる事に辟易としつつ、とにかく、これはやっておこうと

二人の正面に立つ。


「どうかしたのか、レン?」

「なんだかんだで短い間だったが、楽しかった。ありがとな」


フラムのお陰で険悪にならずに済み、アゼルのお陰で笑って進めた。

その事に対する感謝を伝えておきたかった。ま、2時間ちょい位しか

経ってないんだがな。


「あんた達の対応はもうごめんだわ・・・また会いましょうね」

「お、フラムがデレた!」

「ゼールー!」


二人のコントを聞き、笑顔で次へ進む項目を押す。フレンド設定が出来ない

かなり特殊なこのダンジョンから出た後、会う事も有るだろう。なので、

別れは言わん。


「クハハ、またな」

「ああ」

「バイバイ」


肉体が消える、若干のラグが有った様で、別れの言葉か聞こえ、数瞬後に

視界ごと全てが光に包まれた。

うん、やっと終わった(1戦闘終わらせるのに時間掛け過ぎた感)


一応ボス戦時のスキル説明をば、ちょっとチート臭い〈スネーク・チェイン〉先輩

の効果でも書きますね(効果しか書いてないからそれだけ出すのぜ)

一言で言ってしまうと、ただ蛇を鎖状に呼び出すだけのスキルです(ガチ)

問題となるのは相手の固有スキルです。固有スキル〈憎悪対消〉と〈同族の恨み〉

憎悪の方は、一定条件を満たすとMIN÷ヘイトまでのMP消費で使用する攻撃性又は

操作系魔法を無効化し、消費したヘイトに関わらずヘイトをリセットする

と言うものです。


次に同族ですが、まんま名前の通りです。同族がダメージを受けた時、

自身がダメージを受けた時と全く同じようにヘイトが上昇すると言うものです

(オーバーキルだと、その分のダメージも受けたと見なされ、感覚妨害系だと、

 掛かった同族の数×自分が掛かった場合のヘイト値となります)


かなり条件がキツイので、あまり使えるタイプのスキルじゃないんですけど、

その条件の一つが見事なまでに今回の3体が出る条件に引っかかってる感じです。


あと、3つ首さんの登場条件は1つだけ、3体の蛇が誤差10秒以内に同質の攻撃で

同時に討伐される事、です。ただ、明らかにここで強いの出しても無駄なので、

火力微妙+耐久ゴミ(HPの量だけ増やす)位のMVP取得用の雑魚って位置づけ

になっております(MVPに関してはもうちょっと後なんじゃよ)

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