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真面目な人と、そうでもない人達

期間が開いたのぜ、ごめんなさい(ーー;)


話が進む気がしないつい最近(3か月前から言ってる気がするなーーー(泣))

「あ」

「んー?・・・あ!」


既視感なんてレベルじゃない。確かに見た顔が目の前で同じ反応を

していた。妙に安心した顔の獄炎だが、正直言って全く嬉しくない。

この女の魔法は派手だ。しかも炎系に属している物が大半を占め、

威力も音もでかすぎる。と言う訳で、声を無視してドアノブを回し

足早に通りぬけ・・


「おお、〈フラム〉じゃないか」


通り抜けようとする俺の服を掴み、引き留めたのはアゼルだった。

アゼルの反応からして、恐らく獄炎と顔見知りなのだろう。だが、

そんな事はどうでも良い。アゼル、お前俺より力が強いのかよ。


「・・・・誰?」

「・・・呼び声高き英雄の「止めて、分かったから!!」うむ、

 相も変わらず独りか。お兄さんは元気か?」


顔を真っ赤にして反応する感じからして、多分プライベートでの

何かなのだろう。深くは探るまい。それと、変わらずって事は、

まあ前に会った人が兄って事で間違いないっぽいな。


「・・・最近は彼女と出かけてる事が多いわよ」


一呼吸おいて不貞腐れ気味に言う少女の顔を見て、アゼルが

此方を見ている。嫌な予感が頭をよぎった。


「それは残念だったな・・・良いかレン?」


何が?とはもう聞けない。うーん・・・正直獄炎が魔法を使う限り、

俺のプレイスタイルと決定的に合わないのは確定だ。元の能力が

低すぎる俺にとって、派手=死なのだから。だがなぁ・・・

悲しそうな子犬みたいな目をされるとなーーー・・・チッ、駄目だ。

もし死んだら全部この時の俺の所為にしとこう。


「・・・・分かった、来たけりゃこいよもう」

「行くわよ!」


嬉しそうに目を輝かせるフラムの顔を見て、否定する気力は

俺には湧いてこなかった。


「では行こう!」

(駄目だ、このパーティーに隠密なんて言葉はもうないな)


不安を抱えつつ、扉の奥へ歩を進めた。


・・・・



「アカン、思ったより全然超火力だこの人!!」

「威力超特化型は伊達じゃないな!」


ダンジョンに入って最初に感じた事は、ちゃんと雰囲気でてる

タイプの迷宮っぽい。だったか。もう忘れてしまったよ、

範囲が限られている場所での獄炎は、強すぎた。


「1人で問題ないだろこいつ・・・あ、〈目隠し(ブラインド)〉」

「と言う訳でも無かった、粗が多いのは許してやってな。悪い子じゃないから!」


炎の影、いや、範囲の例外と言うべきか。大きすぎる炎によって

遮られた空間では、視覚がほぼ意味をなさない。明るすぎるのが主な要因だ。

その中で動くとすれば、聴覚かフェロモンで相手を感知するタイプのモンスター

だろう。そして、密閉空間な所為か、音に関するモンスターの数が多い。大概は

1撃だが、時折判定をすり抜けて攻撃する奴が出る。それに対処する位しか

やる事が全く無いので、正直いればいる程ダンジョン攻略してる感が出る分

こっちとしては願ったりだが。


「・・・・?」


首を傾げるフラムだが、その原因は威力不足に対しての物だろう。

蹂躙系のプレイスタイルが日常と化している人ならではとも言える疑問だ。


「行くぞ」


まあ致命的でもないだろうから取り敢えず無視していい事だし、

先を急ごうと急かした。炎の音はかなり大きい。気づかれて

追われる羽目になるのはごめんだからな。


「了解した、行こう!」


取り敢えず少し離れた所、走りながら適当に遭遇するモンスターを

狩る作業も少し休め、受けた微妙なダメージの回復と隠密に務め、

ある程度回復した時、


「ちょっと待って」

「どした?」


問題ないと判断したのか、フラムが止まる。リアルの用事かと思い、

少し軽めに返事する事で、どっちでも良い感を出そうとやってみたが、

全くの無用だった。


「なんか調子悪いのだけど、ああ、魔法の調子ね?心当たりとかない?」

「あー・・・真面目な方で聞いてるのか?」


広い場所でしか魔法を使った事が無い人なら分からなくともおかしくない事に

気が付き、少し後悔する。が、放った言葉は戻っては来ない。


「何よそれ、馬鹿にしてるの?」


妙に棘のある言葉だ。剣呑とも言えるかもしれない。そう、この感じが

今まで会ってきた人間に欠如していたのも今回の失敗の原因だ。

今度から気を付けよう。さて、どうするか・・・いや、

普通に事実を話せばいいだけか。


「フラムお前、動画見て無かったのか?」


ああ、あのイベント時の動画を見てる人でも分かるな。って事は

あんま周囲に興味ない系の人なのか。


「うっさい、ゼルは黙っといて」


ハエでも払う様につっけんどんな態度を取るフラムだが、多分

冗談言って場を誤魔化そうとしないで、とでも言いたいんだろう。


「あー・・すまん、わかり辛かったな。分かり易く言うと、魔法ってのは

 物理法則に左右されるんだ。冗談抜きでな」


アゼル達の間に入って取り敢えず事実を話す。ってか、

ゼルって格好いいな。あの性格とはあまり合わない気もするが。


「そんな訳「アゼルが言ってたろ?あの動画見てないのかって」・・

 それがどうしたって言うのよ」


ふざけていると思っていたのだろう、アゼルの意見に俺も乗ると、

渋々ながら聞く耳を持った。ここからは簡単だ。


「攻略組でやってたろ、光を霧で拡散させる魔法」

「あれ?あの魔法ってそう言う効果なんじゃ・・・ん?」


ありゃ、見てたか、じゃあ解説動画の方を見て無いのか?いや、

ミュートして流し見してたって感じだな。地味に物理法則云々も言ってたし。

まあいい、考え込むフラムだが、こんな事に時間を使う必要は無い。


「スレが出来て解析班が出たが、光の方は不明、霧の方は

 結果が出た。特別何か効果が有る訳じゃ無いのも出てるぞ?

 あと、運営からもちょっと情報出してるから、それも見てみ?」


あのイベントで登場した魔法は、半分以上運営側から公開されている。

解析が終了した人には答え合わせみたいな感じで面白かったらしく、

知らなかった人には専用サイトが出来たため、カテゴリ付やら

色々とはかどる連中の手によって魔改造されていた。いやー、

少しづつ染まって行く人間を見ていると笑いが止まらなかった。

それだけ理不尽な状況で殺されたプレイヤーが居たって話でもあるから、

笑い話かと言われればそうなんだが。いや、だって迂回して

メイガス近くのモンスターが出没しない場所へのリスポンって項目が

メニュー画面に出てたくらいだし。それを見ず、メッセージも聞かずに

ってのはなあ。


「ちょ、ちょっと待ってね・・・・本当だ」

「これまで広い場所でしか魔法を使って無かったならしゃあない、

 良くある事だし気にするな。それと、一応アゼルには謝っとけよ?」

「・・・ごめんなさい」

「構わん、オレはいつもオーバーなリアクションをするから、こんな事は

 日常だ。気にするな!!」


だったら直せよ、と思わない事も無かったが言葉には出すまい。これこそが

アゼルで、それこそが彼なのだから。


「じゃ、進みますか。宝箱とかねえかな~」


それからも若干のソロプレーと不用意に宝箱や扉を開ける等の

不注意をする連中が目立っていたものの、一応、最奥と

思しき広間へと到着した。やっぱツッコミ役が居るとはしゃげるわ。


・・・・100分後



「ゼェ・・・ゼェ・・」

「着いたぞー!!」

「おー!」

「うるっさい!」


叫ぶアホ共(レンとアゼル)に喝を入れようとするフラムだが、残念な事に

無意味だった。何故なら、意外とフラムがしっかり者だとバレたからだ。

いやー、最初は真面目にやるつもりだった。だった(・・・)んだが、

想像以上に暇過ぎてやる事が無くなってしまったのだ。なので、宝箱に

トラップが仕掛けられてる的な事を聞く直前位に開けたり、不用意に

突っ込むアゼルをあえて止めなかったりと、分かり易くボケて

ツッコまれる感覚を味わってた・・・愉快だった。


「ま、冗談はこれ位にして、ボス部屋か?」

「う”・・多分そうよ、反応の差が気持ち悪いわね・・・」


それはうちの黒猫に言ってやってくれ、アイツのが移った。


「まあいいわ、スレ情報通りだと、ボス1体取り巻き7体の計8体、

 ボスの体力低下と一定時間経過で取り巻きはリポップ、モブは3体が

 攻撃力特化、1体が防御力、他は普通みたいね。攻撃力特化が残ると

 厄介だから最初に範囲攻撃がセオリーみたい」

「へー、もうテンプレート出来たのか。攻略組は早いなあ」


後は、連戦だった、いや1回しか戦わなかったやら、戦う度に属性が

変化する、いやしない、やら情報が錯綜しているので、そこに気を付ける位か。

属性の所だけはランダムで選出されるとかだろうな。


「待って、アナタ達がもう少しでもちゃんとやってたら

 初ボス戦闘も夢じゃ無かったのよ!少しは反省して」

「ごめんなさいよ、じゃ、行くか」


そっち方面の目標的な物は無かったので、どうでも良かった俺は

適当感で満たされた謝罪をして、とっとと行こうと促す。大丈夫、

他の人でやったら致命傷でも、フラム相手だと付き合ってくれるから!


「このー・・・良いわ、行きましょ」


諦めた様に呟くフラムでは有るが、目線は俺の先、ボス部屋に向いていた。

なんだい、お前だってウズウズしてんじゃないのよ。


「応!!」


取り敢えず、補助と壁役として役目を果せるかが目標だなー。


・・・・



「ヒュ~♪」


フラムの魔法の規模と、フィールド変化と言う特殊な状況によって、

アゼルが口笛を吹いている。まあ納得できる、洞窟かと思ったら

一瞬で樹海紛いの場所に飛ばされたんだからな。


「なにサボってんのよ、働けゼル!!」

「落ち着け、焦る状況じゃないだろ」

「それに、長期戦前提なら息抜きは重要な事だぞフラム?お前の

 魔法でも削れた様子が無いのには面喰ったがな!」


現在、ボス戦が始まって1分しか経っていない状態だが、芳しくない。

なんと、ボスモンスターの属性が炎だったがためにフラムの魔法が

ほぼ効かなかったのだ。ただ、森が焼失したので隠れられる心配が

無くなったのは良かったかもしれない。俺等も遮蔽物が消えたけどな!


「何言ってんのよ、短期決戦に決まってるじゃない〈炸裂氷(アイシクル・バースト)〉」


フラムの放つ魔法が命中し、ボスモンスターである〈赤熱のマグルゴ〉が

のた打ち回る。が、ある意味最悪だ。HPゲージはが1%弱減少、さっきまで

与えていたダメージを普通に超えていた。


「馬鹿野郎、アゼル!!」

「承知した〈スケープ・ゴート〉〈鬼狂い〉!」

「クキュ、グギュア!」


フラムの奴、そういうの(効果的な魔法)が有るなら先に言え。ヘイト管理役の

アゼルの行動が遅れただろうが!


「マズッ!?」

「シャギャアアアア!」


クッ、やはり少し遅かったか。フラムに向かって大蛇が迫る。

避けようとしているが、無理だな、間違いなく避けきれずに死ぬ。


「ったく、これで抑える必要が無くなったな〈解放・(リリース)ヴィル(ヴィル)〉」

「わふ・・ワフ!」


ドッ・・・ブシュウウウ!


「ア”ア”ア”!」


フラムへと直進するマグルゴは、死角からの攻撃に一瞬怯み、

その隙を縫うようにヴィルがフラムを助け出す。


「久しぶりだな、此処限定だが、暴れて良いぞヴィル」

「・・・こんなの有るなら先に出しときなさい」


助けられて少し言い淀むフラムだが、しょうがないだろう。

言い訳する気は無いので、適当に了承しておくが。


「へいへい、どうせ急ぐものでも無かったんだし、良いじゃねえの」


実際、ヴィルを出していたとしても攻略スピード的には全く変わらなかったと

思う。それこそ乗って走らせる位しかやる事も無かったからな。


「わふ~、グルルア”!!」


コスト上昇アイテム〈聖者の緑石〉による効果で、もう1体モンスターを

出してもオーバーしない状態じゃないとまず使いたくないのは確かだ。

ソレ(聖者の緑石)自体も宝箱から偶然発見できた物の一つだし。まあ、

ダンジョン限定アイテムだから、外に出たら元の木阿弥ってのは空しくも

有るが、しゃあない。


「なあ、最大火力の魔法・・ああ、氷か水の方でな。ソレに掛かる

 詠唱時間ってどれくらいだ?」


この質問には2つの意味合いを兼ねている。1、強力な魔法が有るか

2、詠唱と言うスキルが有るか、だ。俺個人としては、詠唱有りの魔法

全く見たことが無いので詠唱はスキルの一種なのだと思っている。


「?・・・あ、ええ、〈詠唱〉の最大効率時間は14秒が限度って言われてるわね。

 私は〈詠唱短縮〉有るから7秒、それだけあれば本来の8割増し位は

 威力が出ると思うわ。やった事無いから予測だけどね!」


フラムも俺等に毒されて来たな、気を付けなければ。優秀なツッコミ役は

意外な程希少なのだ。


「成程、じゃあ今から詠唱しとけ〈メッセージ〉」


ダッ!


「ヴィイイイイイイイイル!!」

「ガガアアアア!」


威嚇では無く鼓舞、毒による噛みつきを受ければヴィルであろうと確実に

大打撃を受ける。ミスが許されないからこその吠えだ。同時に、

相手の注意をこちらに向ける為でもあるが。


「〈戦野の太刀〉」

「シャーーー!?」


ここからはヘイト管理じゃない、物理的なHP削りだ。目の前の敵は

体長数十m、鱗の肌を持つ大蛇。取り敢えずやる事は1つか。


〈水波(ウォーター・ウェーブ)〈粘着(アドヒージョン)〉!」


ズズズ・・・


効果は不明だが、取り敢えずピット器官を覆えればいいかな位の

攻撃だ。避けられても問題は無い。次、


「ヴィル!」

「〈シャドウ・ステップ〉〈チェウ・オフ〉」

「シイイイイイ!!」


胴体に当てる事で粘液が顔に掛かるのを防いだ蛇だが、それは同時に

自らの視界を自分から削いでいた。その隙を逃す訳は無く、ヴィルの

牙によって、胴体の一部が食いちぎられた。ダメージ的にはさしたる

物ではないが、自分の肉体を奪われた事によって、ヴィルを標的として

定める。良し、予定通り、ここからだ。


〈速度上昇(レート・エンハンスド)・中(・ハンター)〈動体視力キネティックヴィジョン全上昇(・フルライズ)〈幻覚(ハルーシネーション)〉」

「シュラァ!」

「クワ~・・〈ステップ〉〈嗅覚操作フレグランス・オペレート〉」


ズズズッ・・・ガキィ!


嗅覚操作と幻覚による時間稼ぎだ。長く続く訳も無い。だが、それで良かった。

一瞬の逡巡、噛みついた対象が幻覚だった時の硬直、それだけで。


〈収納・ヴィル(ハウジング・ヴィル)〉今だ!」

「|〈暗闇に溺れろ。絶対零度(アブソリュート・ゼロ)〉!!」

「まったく、此方も間に合った〈鬼神の面〉〈武人の覇気〉これで

 私にヘイトが集まる!」


あ、そう言えばアゼルに頼むの忘れてた。まあ、大丈夫だろ。アゼルだし。

地味に大事な場面では最初に行動してくれる。それがアゼルだ。


「シュラアアアアアアアア!??」

「よし<中位回復(ミドル・ヒール)>〈鎧硬化ハーデン・オブ・アーマー〉」


フラムの魔法は、1撃で2割近くHPを削り肉体の10%を凍りつかせていた。

異常な威力だが、まあ1撃で死ぬリスクからすれば相応とも言えるだろう。

確定命中が一つでも当たれば終わりとか、本来はリスク以前に自殺行為の

筈なんだけどな。


「次・・・グッッ!!」

<高速回復(ファスト・エイド)>〈治癒(ハイレン)〉」


尻尾の無き払いを受け、アゼルのHPの3割が消し飛ぶ、まあまあ強いな。

取り敢えず回復させてはいるが、回復魔法は効果が出るまで高速や簡易が

最初に付く付く物以外では少しラグが有る。なので回復薬(ポーション)での回復で

間に合わせる。高速回復(ファスト・エイド)も効果自体は高いんだが、

タンク系だとHPの量が多過ぎて間に合っていないようだ。


「〈出てこいスケイル〉トラップ展開宜しく」

「シュルルゥ!」


こうして、トラップで時間を稼ぎながらHPを削り、フラムの高火力と

存外パターン化出来る程度の行動量しか持たないマグルゴを殺し切るまでに

そう時間が掛かる事は無かった。


・・・・5分後



「終わったーーー!」


まあ、やった事は的当てゲームだったし、難しい事も無かった。

拍子抜けと言えば相違ないが、粒子になって消えた

モンスターが、戦闘の終了を告げていた。さて、何が起きるか。


「思ったより楽だったな!」

「そうね・・・聞いてたより弱い・・・いえ、弱すぎない?」

「まあ、な・・・!!」


ドドドドドドドドドド!!


「なに!?」


地面が揺れる、まるで下から何かが此方へ向かってくるように

どんどんと強く、より大きく揺れ続ける。


「コレがスレに書かれてた連戦ってやつか!」

「知るか、とにかく・・・避けろアゼル!!」


ドシュッ!!


「ム、〈影脚〉・・・今度は植物か」


地面から出て来たのは植物の蔓の様な触手だ。より近いアゼルは

ソレが何か確信する。茨だ。棘の大きさも蔓そのものも本来のサイズとは

明らかに違うが。


「やっと私の出番・・・へ!?」

「・・・・クハッ!」

「ちょっとシャレにならんな、これ」


3体居た、中途半端なエリアボスクラクのモンスタが、これでもかと周囲の

空間を自分色に染め上げる。方や水、方や岩石、ここでやっと、少しだけだが

パーティーを組むと言う事でどうなるのかに思いを馳せる。合計レベルによる

ボスモンスターの追加だ。が、


(いや、合計レベルだけでは説明がつかない。アゼルのレベル的にも、

 平均は100に届かない程度だった筈、なら何が・・・・まさか?)


もう一つの可能性、それは、ボスのクリア時間だ。1組目が15分、

平均で20分近く戦い勝利するこの手のモンスターは、最速ですら

10分を切れない程度に奇妙な動きと瞬間的な瞬発力は厄介だった筈だ。

そう、高火力で押し切れる程強いプレイヤーでも居ない限りは、


「少しマズったかもしれん、一度帰るのも手か?」


もしマガルゴクラスだった場合、ほぼ詰みだ。よしんば1体を

倒せても、残る2体に蹂躙される未来しか見えない。

半ば諦める様に思考を停止した俺の目を覚ましたのは、ヴィルだった。


「キャフー?・・・・ガウ!」


ガブッ!!!


「シイイイイイイイイイイイイイ!!???」


ヴィルの攻撃に過剰な程反応する大蛇は、じたばたとヴィルを

引きはがそうとのた打ち回る。なんだ、何でこんなに効果がある?


「あれ?・・・〈紅蓮(クリムゾン・)の獄炎(ヘル・フレイム)〉」

「ッッッ!??」


ビチッ、ドッシャアアアア!!!!


植物型に至っては、地面から出ている蔓の8割が焼き尽くされていた。

いくら本体ではないとしてもダメージ過多だ・・・まさか。


「ボス用HPじゃないのか?」

「ワフン、わふ~、ワンワワン?(そうだ、その場所で1倍強い奴

 以外は体力が馬鹿げてない分俺達でも戦える。まず聞こうぜ主人?)」


用意されたイベントでそこまで理不尽がある必要なんぞ何処にもなかった。

だが、あの場所における経験は、その考えを打ち消してしまえる程

ショッキングな物だった所為で忘れてしまって居た。いい薬だな。


「ういー、どうするか・・・取り敢えず〈魔蝕の風鎌(ドレイン・サイス)〉」


黒色で構成された禍々しい大鎌が植物で出来た大蛇に迫る。が、


「シュルルァ〈スネーク・チェイン〉」

「なん!?」


いままで存在しなかった筈の蛇が、無数に折り重なり壁を構築する。

そこまではいい、その後が問題だった。


「なんであの程度の壁で魔法が消える(・・・・・・)んだ?」

「〈プラント・スタブ〉」


魔法を打ち消す、ソレによって目の前の相手にだけに注意を向ける。

明らかにミスだった。


「まだだ!!」

「グッッ!??」


アゼルの声が空しく響き、地中から飛び出す蔓が俺の体を

貫く。貫通した蔓が抜ける事は無く、そのまま吊り下げられる。


「〈リベンジャー〉!」


ザクッ


「チィ、硬い!」


自分が用いる最大攻撃力による一撃が効かなかったことに苛立つ

アゼルは、落ち込むより先に後ろの2体を相手取り、注意を引き付ける。



「早く抜け出しなさい〈炎の剣(フレイム・ソード)〈高速切断(スプラッシュ・カット)〉」

「グ・・・ス〈スラッシュ〉」


ザンッ!


高速で放出される水によって一部の蔦が切れる。が、ほんの一部だ。

切断された傍から再生し、一瞬の内に元に戻ってゆく。

迫る限界の中、圧迫され、空気を取り込めなくなる寸での所で

ギリギリ言葉が紡がれる。炎によって強化された刃は、いとも容易く

ソレを切断した。


「まだだ〈飛行(フライ)〈高低調節フィート・コントロール〉」


落下する肉体を宙に押し留めたのは、蔦の正体がまだ地表に

出て来ていない事が気にかかっていたのだ。


(さて、もしも本当に植物が本体だってんなら話は早い。がなあ)


確かにHPは相応に減った。だが、今確認した時点で3割、恐らく

放置すれば数分で完治してしまうだろう。短時間での回復だけなら良い。

だが、もし本体が存在して、株分けのように別個体を生み出せたのならば。

見回せる範囲に敵の影は無い、宙に浮くのもリスクだが仕方が無い。

確実に居ない事か居る事を確認しなければ、あの蔓の攻撃力は厳しい。


「見えないか〈視覚(ビジョン)補助(・エンハンスド)〉・・・・・居た」


南西約3㎞地点に、巨大な樹木がそびえ立っていた。20m近い高さと

巨大な幹、蠢く蔓の動きがただの植物では無いと知らせる。

気持ち悪い動きだ。


「・・・・距離を保てるのか、早いな」


大樹の通ったと思しき痕が移動距離を教える。通った直後に生える

植物の所為で見分けにくいが、少なくとも1㎞、植物の

成長速度からして数分間での移動が可能か。


(相手方のHPは平均して8割って所か、あんまり好戦的じゃない

 水蛇がマグルゴみたいだったらと思うと・・・過程は無意味だな。

 取り敢えず、順調に削れてるが、もし1発でもフラムに当たったら

 その時点でアウトの時点で厳しい。さて、どうするか・・・っと)


トッ


魔法の効果が切れ、同時に浮遊感が消えて、地面へ足が付く。

目の前を過ぎる大蛇は、その両眼を見開いた瞬間。


「なにッ!!」


アゼルの声が響き、同時に大蛇の注目がフラムに移る。


「カルマ値がリセットされた、迂闊に攻めるな!」


一瞬の間、スキル再使用時間までの時間稼ぎを考えるほんのわずかな

時間で、標的が確定した。


「フラム、走れ〈炎の槍(フレイム・ランス)〉!!」


3つの脅威がフラムへ迫る。走るフラムだが、間に合わない。

俺達ではどうしようもない事態に、フラムの死を確信した。



・・・続く

うーむ、ボス戦より会話パートの方が長いな(故意じゃないよ、偶然(必然)だよ)


書きたいことが、書く時になると消えて行く~(笑えねー)


あ、一応書いときますが、後に出て来た3体も、一応HPバーが出てます。

まあ蔓の方だけは出てない=本体が居ないんじゃね?的な繋げ方でした。


あーあと、フラムは身内の前だと委縮して、知らない人の前だと寡黙になって、

知人or友人の前だと雄弁になるキャラです。

(兄貴が居るだけで委縮する系爆殺魔フラム、ゲーム内では人気キャラ設定である)

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