18.ケモノダイスキ(生産職と変態)
変態の続投と紳士(変態)の登場に御座います
作中最悪の存在が登場しますので、適度に酷い内容となっております()
「フフフフフ」
「ははははは!!」
不気味な声が森に木霊し、ミツル君が身構え
クジですら若干表情が強張っている。
「何やって・・・るかは見ればわかるか、あの変態共」
まあ、マキとアンネの事なんだが・・・。
・・・10分前
「ビヤアァアァギモヂイイィィィィ!」
マ〇オさん化したマキに抱かれ、精根尽き果てた
ヴァイスを見て流石にこれ以上はマズいと止め、軽くどっかに飛んでる
馬鹿を放置しながら待っていると・・・
「来たな、おーい」
ひらひらとこちらに手を振る皆が見えた。
・・・
「マキ、どうかした?」
「気にするな。新メンバーのミーアと前から居たヴァイスを味わって
あまりの事にトんでるだけだから」
開口1番が心配事なのは、流石クジと言った所だろうか。
「さて、まず何をするかでも決めま・・・・あれ、アンネは?」
先程まで一緒に居たはずのアンネの姿が消えている事に
気づいたので、周囲を見渡すと・・。
「よーしよしよし、良い子だね~」
「ふむ、この手触りもやっぱり良い」
口調を作れなくなっているアンネと完全にモフる事に
快感を見出したマキリスがミーアをまた弄っていた。
「ぐ、くあぁー」
「わふ・・・グルア!」
「どひゃー!?」
「・・ヴィルが自分の事以外で・・・動く・・だと!!??」
ミーアに助けを求められ、やれやれと言った表情ではあるが
マキリスとアンネの襟首をはみ、首を振る事で投げ飛ばした。
「フッフフフ、やるじゃねえですか・・」
「私はお前を標的として認識しよウ」
「き、緊張感ねえなぁ・・・」
物騒な事言ってるように聞こえるだろうが、手がワキワキしたまま
表情が殆ど蕩けているこの状況では台無しである。
「さあ、受けて見ろ。私達のコンビネーション」
「グガ・・」
「ガグゥ?」
「ガ」
何やら会話しているようだが、俺には全く聞こえない
場所での会話なので、なにが行われたかは分からなかった。
・・・・
結果、ヴィルが数秒間全く動かずにミーアを逃がし
撫でられまくっていたので、ヴァイスと待っている途中で見つけた
ラビットを生贄に、ヴィルの自由を手に入れた。
「だがまあ、なんだってああも差が出るのかねぇ・・」
勤めて動かない様にする〈アイン〉と、さっきとは打って変わり
心地良さに目を細めるヴァイスの姿が有った。
「ほれほれ、ここが良いのかな?」
「く~・・・」
「ふんふん、良い毛並ですねぇ♪」
「キ、キュイー」
「ああ・・駄目だこいつ等・・・」
かれこれ10分、武器の新調でもしようかと思って呼んだメンバーは
変態2人を呼んだことで予定ごとずれ込む。
「ほらほら、そろそろ行こう?」
クジが諭すように言葉を重ねるが、全く聞いていない。
「装備新調すんだろが、早く行こう。って・・おーい・・・殴って良いかな?」
そこら辺の説明はこいつ等がアインとヴァイスを撫でている時に
済ませたので、後は向かうだけなのに、肝心の連中が全滅してる。
なんだこの状況は?!!
「うりうりー・・・ハッ、クレアさんに怒られる!!??」
武器という単語に反応してか、マキリスが立ち上がりある方向に向けて
歩き出す。メイガスとは逆方向に。もうだめなんじゃないかなこの子・・。
「待てやゴラ!」
「グェ・・」
後ろ襟を掴んで引き留めたため、蛙の鳴き声の様な物が聞こえたが
まあ、そこら辺は置いとこう。
「ミリアの所以外にも店知ってんだろ。案内しろ」
「・・・です」
「あ?」
「いーーーやーーーーでーーーす!!!!」
突然の大声に耳がキンキンと響き、思わず耳を塞ぐ
「何だってんだ一体!!!!」
・・・・
3分後、癇癪を起こした子供の様に喚き散らした後
妙に意味深な顔をしたまま、固まっていた。
「えー・・・何なのもう・・・」
「ほら、行くよ?」
「・・・・」
平行線(ガン無視)の中で、一本の通信がマキリスにかかる。
「はい・・・はい!!」
背筋をピンと張り、真面目な表情になったマキリスは
何故かその通信相手に恐怖を抱いている様だった。
「分かりました。すぐに行かせていただきます!?」
ピ・・
「さあ、何処に行きましょうか?」
「待て待て待て待て、明らかに話の流れがおかしいだろ!?」
呼び出し喰らって即応答するのに逃げるだと?どんな通話なんだよ今の。
「あ・・・・じゃあ、知り合いの店に行きましょう。スイーツが美味しい
素敵な雰囲気のお店なんですよ?」
「そこが出るなら武器屋の・・・・成程な」
ビクッッ!!
「な何がでしょうか?」
鷹に見つかったウサギの様に、何時でも全力で逃げ出す
準備を完璧に完了しているマキリスに、多分今一番言われたくないだろう
一言を言い放った。
「その武器屋に居るのが今の通信あい・・待て」
ビュイィィィ!
「ハァ・・・〈遅延する蔦〉」
「ニギャ!?」
ズザザアアァァ・・・
足元から現れた蔦に躓き、倒れ込んだマキリスに歩み寄り
優しく、出来るだけ傷付けないように諭してみた。
「何をやったか知らないが、一緒に謝ってやるから・・・行くぞ?」
「・・・うん」
明らかに幼児退行気味なマキリスを連れ、武器屋の知り合いの元へ向かった。
マジで心配になる情緒ぇ・・・。
・・・
「あそこ・・・だよな?」
街の中心部、露店が並ぶ商業区の一角に、目的地は有った。
「うーん・・・何と言えば良いか・・」
「ガッツリ店だネ・・・」
露店が複数立ち並ぶ街並みの中心、4階建ての石造建築、しかも
垂れ幕まであるとなれば、もうデパートにしか見えない。
「あ?何だお前等、客の邪魔だ。喧嘩ならよそでやれ、それとも客か?」
「あ、すみません。今入ります」
店の従業員だろう、入口の前で引きずられる女を見て警戒したのだろう。
強い口調で注意する長身強面の男だが、引きずられる女を見て少し首を傾げ、
恐る恐ると声を掛ける。
「マキちゃんか?」
「はい、そうで・・・むーさんじゃないですか!」
「おう、久しぶりだな!?」
「少し見ない内にお店大きくなりましたねぇ・・・」
先程までとは打って変わり、むーさんと呼ばれた男と
嬉しそうに話すマキだったが、次の言葉に表情が固まる。
「クレアも喜ぶだろ。おーいクレアー、知り合いが来たぞー!」
「う゛・・」
「取り敢えず入りな、呼んでくっから」
寒暖差が激しい季節か!!と言いたいほどコロコロ表情を変えるマキを
(また逃亡しようとしたため)引っ張り、店の入り口をくぐった。
・・・
「良い武器」
クジが言うのも頷ける。ミリアの店は俺達にはまだ早い
武器や防具が揃っていたのに対して、この店は大衆向け
つまり、初級~中級程度の増産品が大量に有る。一定品質を
ちゃんと取り揃える流通網が有るのか、店主凄い人なのかも。
「それで、マキの知り合い何処?」
そう言ってマキリスを見ると、一点を見たまま固まっていた。
「?」
マキリスが固まっている原因であろう方向を見ると
銀髪の精悍と言って問題ないだろう女が立っていた。
「あれが?」
「マリー、呼んだら5分で来いと言ってるだろう!!」
ビクッッッ!?
「はいぃ!!??」
開口一番がコレなのだから、どんな性格かも予想が・・・
「来れないなら連絡しなさい。何時も言ってるでしょう?」
何この差、酷過ぎない?
「はぁい・・」
なんと言えば良いだろう・・・
「過保護か!?」
「アラ、初めまして、私の名前は〈クレア・スタンフィールド〉
一応生産職です。以後、お見知りおきを。この街、クレアって名前が
多くてね、フィーって呼ばれる事が多いかな」
「えーあ、はい、レン・コールマンです。コーとか呼ばれてます。
・・・何だコレ、マキ、どうなってんだ?」
困惑、どんな人間ならマキリスが此処まで恐れるのか見に来たが
全くといて良い程恐れるべき感じがしない。
「はは、見てれば分かりますよ」
・・・
冷や汗をかいて会話を続けている途中、マキリスが
恐れる原因・・・と言うか、核心を突いた。
「なのですけど、最近は暴走していませんね?」
ビシィ・・・
「は、はは、はい。暴走は」
「本当は?」
有無を言わせず、マキリスの嘘を見透かしたように
「い、いえ、本当に暴走は」
「本当は?」
完全に、容赦なくひねり潰して行く。
「・・・2回です」
「よろしい、では2回ですね」
「ちょっと待・・・・助けてーーーー!!!!????」
店の奥に連れて行かれた後、完全にグロッキーな彼女が
ニコニコしたクレアさんに連れて来られた。
・・・
「武器の購入、か」
「はい」
出て来たクレアさんは一旦置いて、店員の1人、むーさんに話を聞く。
「・・・まずはコレに手を置いて」
出された物は何の変哲も無い水晶、首を傾げながらも
水晶の上に手を置くと。
「おお!?」
ステータスが浮かび上がった。ほへー、モンスターの保有数も出るのか便利ー。
「テイマーで、モンスターは7体か・・・モンスターの方も買う予定?」
「モンスターのだけ購入予定です。予算は2800T、もうちょい
高くても大丈夫」
「分かった。テイムモンスターを出せるスペースは裏だから
先に行っててくれ」
「了解しました」
・・・移動中
「コンサート会場の舞台裏みたいだな」
着いた時に思った率直な感想だった。物が積まれ
仕込む前の防具用素材等も見受けられる。テイマー&サモナー需要は
あまり高くないのかな。
「まず、装備買いたいモンスターを全部出す」
「はい、〈開放・黒、1、ヴィル(リリース・ノワール、アイン、ヴィル)〉」
「キュキュ?」
「フアー・・わふ」
「ギギ?」
「これで全部?」
「です」
トトト・・・
「ん?なんのお」
ダダダダダダダ、ズザアアアァァァァ・・・
「いいい、今ラビット系のもふもふの声が!?」
「どうし「ラビットだ!!」・・・ああ、成程」
風の様に突風を纏って出て来たフィーさんの姿に、さっき見た光景を幻視する。
「撫でて良いかな、ラビットさん?」
まあ、こう言う事だ。
「キュゥ?きゅきゅい!」
「ありがと、ほっと」
「・・すまん、こうなると手が付けられんでな。先にそっちをやろう。
値段もある程度おおめに見る。良いか?」
「はい、あと慣れてるんで、特に値段は下げなくて良いですよ」
「すまん・・」
フィーさんの横で縮こまるむーさんは、少し小さく見えた。
・・・
「ふわ~、やっぱり良い物ですね~♡」
「きゅい、きゅ・・ぎゅぅ・・・」
完全に虜になって居たので放置しながら装備を新調し終わって
アインを残すのみとなった状況、流石にアインも
居心地が悪そうになているので、引きはがしにかかる。
「すみません、そろそろ」
「かあいい・・・はい、わかりました。お二方の装備購入は終わりましたか?」
「もう、格好つけようとするな。みっともない・・・」
名残惜しそうにしながらも、マキ達よりかは何十倍も
物わかりが良いクレアさんはアインを離した。
「ウルフも良い物なんだけどネェ」
「分かります!でも彼等は基本誇り高いので、余り触る機会が・・」
アンネの声に反応して返した言葉に、微妙な顔をしながらも
意見の合うクレアさんに興味を持ったようだ。
「分かってるじゃないカ。私はアンネ、宜しくネ」
「はい」
ガシィッ!
固く結ばれた手に、頭を抱えたくなった俺が居たのはまた別の話。
「はぁ・・・やはり値段はこちらで見よう」
「ん、・・良いです?」
裏でむーさんと仲良くなった話も、また別の話なのだ。
と言う訳でマキリス(変態)でしたー
作中最悪(絶対的尺取り屋)の存在、モフラーの登場でした
(さっきも出てたって?知ってる)
適度に有能クレアさんなのですが、生産職は
画面外での活躍が著しい(作品的に出し辛い)人たちなのです・・




