表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
15/20

公爵令嬢は国外から国をぶっ壊す。アリスは追加の慰謝料を考える

魔国。


「魔王陛下。この度は、このようなご配慮を賜り、誠にありがとうございます。」


ベアトリスは深く一礼した。

隣では公爵をはじめ、一門の者たちも頭を下げると、魔王はひらひらと手を振る。


「いいのよぉ。優秀な人材は大歓迎だもの。」


そう言って微笑むと、ふとベアトリスを見つめた。


「それで?」


「はい?」


「これから、あの国をどうするつもりなのかしら?」


ベアトリスは少し考え、静かに口を開く。


「最終的には、国として建て直すつもりです。」


一拍置く。


「ですが、その前に。ガチガチに凝り固まった価値観を、一度外からぶっ壊さなければなりません。」


魔王は目を丸くした。


「まぁ。」


口元を緩める。


「公爵令嬢なのに、中々いい根性してるじゃない。」


ベアトリスは苦笑した。


「そうでもありませんわ。

私はただ、この国で真面目に生きている人々に報われてほしいだけです。」


魔王は満足そうに頷いた。


「気に入ったわ。」


「……ところで、魔王陛下。」


「なぁに?」


「お願いがございます。」


「言ってみなさい。」


「使い魔を一羽、お借りできませんでしょうか。」


魔王は首を傾げる。


「どうするの?」


「私付きの侍女、ケティーが現在ドワーフの村へ滞在しております。」


「ええ。」


「まだ王宮も国内も混乱しております。

今、国へ戻らせたり、此方に合流させるのは、危険かと。

しばらく村へ留まるよう、伝えたいのです。」


魔王は「あら」と微笑んだ。


「だったら、私が伝えてあげるわよ。」


「え?」


「明後日、ちょうどドワーフの村へ行く予定なの。

新作の武器も見たいし、親方とも話があるのよ。」


ベアトリスは少し驚く。


「ですが、そのようなお手間を……。」


「遠慮しないの。」


魔王はにっこり笑った。


「どうせ行くんだから。」


「使い魔を飛ばすより、その方が早いわ。」


ベアトリスは小さく笑みを浮かべる。


「……ありがとうございます。では、手紙を書きます。」


「ええ、そうしなさい。」


魔王は頷いた。


「ちゃんと届けるから。」


◇◇◇


二日後。


魔王は側近を連れて、ドワーフの村へとやって来た。


「あ!魔王様!」


「こんにちわ〜!」


振り返ると、鍬を持つアリスとケティーが、畑仕事を終え、ヒルデの家へ戻る途中だった。


「……アンタたち、すっかり村に馴染んでるじゃない。」


「居心地良いんですよぉ。」


「野良仕事に馴染みはなかったのですが、すっかりハマってしまって……。」


ケティーは照れ臭そうに笑う。


そりゃ、そうだ。

公爵家の侍女が畑仕事までこなすなんて、聞いたことがない。


「そうだわ、忘れる前に……。」


魔王は側近をチラリと見る。

側近は懐から二通の封筒を取り出した。


「ベアトリス嬢からお預かりいたしました。」


「お嬢様から!?」


「ベアトリス様、いま魔国にいらっしゃるんですか!?」


「ええ。国を建て直す為に、まずは外側から一度ぶっ壊す!って生き生きしてるわ。」


「やっぱり、ベアトリス様だ。」


アリスとケティーは手紙を受け取る。


魔王と別れたアリスとケティーは、家に戻って早速手紙を開けた。


「ベアトリス嬢は、なんて書いてるんだ?」


ヒルデはお茶を淹れながら尋ねる。


「今、合流するのは危険だから、指示を出すまで村に留まるようにと……。」


「良いじゃないか。ここに居るといい。正直、居てくれて助かってるんだ。」


「ありがとうございます。もう暫く、ご厄介になります。」


「アリスは?」


ヒルデはマグカップをそっとアリスの前に置く。


「『もう誰にも遠慮して生きる必要はありません。どうか、好きなように生きてください。』と。」


アリスの瞳には、うっすら涙が滲んでいる。


「そうだな。これからは、アリスの好きなように生きればいい。」


ヒルデは、アリスの頭を優しく撫でる。

アリスは乱暴に袖で涙を拭った。


「それじゃ!獣人国に慰謝料請求したろ!」


ヒルデは固まる。


「お嬢様がご用意した慰謝料は、後宮からの分ですからね。」


ケティーが苦笑すると、アリスは胸を張る。


「もう遠慮する必要ないですし!」


ヒルデはハッと我に返る。


「お前、さっきまで泣いてたよな!?」


「泣いてました!だけど、それはそれ、これはこれです!!」


アリスは肩を竦める。


「王家から慰謝料貰ってません!

ランバードさん、相談に乗ってくれるかな?」


「……お前が獣人国で生きていけた理由、何となく分かった。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ