086⚫️あいつならナントカするはず
蔵の中を仕分けしていると、古い布に巻かれた細長いモノを見つけた。
俺はこういう時に妙な才能があると自負している。
意外な掘り出しモノを見つける嗅覚。
世間から’人探しの名人’なんて呼ばれる所以だ。
ほう、刀か。抜いてみる。
薄暗い蔵の中に、冷たい月光が差し込んだような錯覚に陥った。
なんだあ、こりゃあ?
表に出る。外はのどかな春の陽気だ。
だが、手元の刀身だけは日差しと裏腹に、
澄み切った夜空のような清々しさを湛えている。
ふーん、じゃあ、軽く振ってみるか。・・・空を切る音がしない。
重さも感じなくなったぞ。
昔の子どもの玩具か?
いや、それにしては拵えが良すぎる。
ちょうどいいところに、手頃な竹が何本か生えていた。
チャンバラといえば、やっぱり竹だよな。試しに軽く当ててみた。
あれっ?目測を誤ったのか?なんの手応えもない。
空振りか。らしくねえな。
そう思った次の瞬間、すとん、と竹が直立したまま真下に落ちた。
切り口を見て、驚いた。
それは’切った’というより、‘分離した’跡だ。
まるで、最初から別のモノ同士だったみたいに、断面が滑らかに分かたれている。
この竹ですら、自分が切られたことに気づいていないような、そんな異質な断絶。
こりゃあ、ヘンなモン見つけちまったぜ。
俺は刀を布に巻き直した。
真っ先に浮かんだのは、ジンの顔だ。
あいつなら、いつもナントカするからな。
この世界の理から外れたようなモンでも、
あいつなら正体を暴いてくれるはずだ。




