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083⚫️精霊を宿す剣
「マナ殿、この剣は、実になんとも不思議でござるな。」
新三郎は、腰に差した‘星河薫風’の鞘を慈しむように軽く撫でた。
「あら、どのように不思議なのでしょうか。」
マナが小首を傾げ、穏やかな視線を向けた。
「あまりに鋭利すぎるかと思えば、次には手に確かな手応えを返してくる。それだけではござらぬ。己に斬る気がなければ、この刃はただの鉄棒のごとき鈍らとなる。まさに活殺自在。剣そのものが、拙者の心を覗き見ているかのようでござるよ。」
マナは深く、優しく頷いた。
「それはそれは・・・新三郎様、それはあなたが‘星河薫風’に選ばれ、使いこなしておられるという証に他なりません。」
「なるほど・・・この剣には、人知を超えた’精霊’が宿っている、ということでござるか。」
「ええ。この刃は使い手の魂に馴染むほどに、その心と一体になると聞き及んでおります。」
マナは嬉しそうに、微かな笑みを浮かべた。
ふと、新三郎の掌に伝わる感触が変わった。
鞘の中にあるはずの剣が、まるで二人の言葉に応えるかのように、
ドクンと小さく脈打ち、柔らかな熱を帯びたのだ。
それは生命を奪うための冷たさではなく、
共に道を歩む友のような、確かな体温だった。
銀杏の黄色い葉が、静かに舞い落ちていた。




