082⚫️いつもどおりの闇
そのコロニーの住人たちは、朝になって初めて異変に気づいた。
略奪を指揮していた統率者と、その側近たちが、
寝所で静かに息絶えていたのである。
刃物によるものらしい傷跡はあったが、
衣服にも寝具にも血の飛散はほとんどない。
「・・・まるで、眠っているみたいだ。」
「苦しんだ様子がない。それどころか、争った形跡すら・・・どういうことだ?」
古老がそっと遺体の傷口を覗き込み、表情を強張らせた。
「こんな切り口、見たことがない。切られたというよりも・・・’分離’しているようだ。まるで、もとから別ものだったかのように・・・。」
周辺の小さなコミュニティを次々と蹂躙し、
勢力を拡大していた集団。
その中枢を一晩で失った組織は、当然ながら混乱に陥いる。
誰が、どのように為したのか。
その答えを知る者は、その現場には一人もいなかった。
「あら、ブリッツ。おはよう。昨夜はいなかったみたいだけど、どうしてたの?」
スクラップ・ポイントの朝。
タンクに溜まった雨水を確認していたキャサリンが、
背後から現れた男に声をかけた。
「頼まれた仕事をしてきただけだ。問題ない。」
ブリッツはそう答えると、
手入れを終えたばかりのナイフを腰のホルダーに深く沈めた。
惑星の半分が常に夜に閉ざされているように、
彼の纏う空気は、普段と変わらぬ冷たさを保っていた。
光あるところに影あり。
影は闇へと続く。
ブリッツはその闇なのだ。




