065⚫️星幽結晶(せいゆうけっしょう)
「ねえ、サー・グレッグ。’あれ’のことなんだけど・・・。」
「・・・ 'あれ’ですよね。マリカさん、わしも気になってんねん。」
「方舟があった地面から、あんなもんが出てきたのは、偶然なのかしら?」
「ルドルフがいろいろやってみたけど、わからへん、って。」
「あんな小さいのに、机が軋むほど重いなんて。考えられない高密度よね。」
「レーザーカッターでも切断不能。傷ひとつどころか、焦げ跡すら付かへん。組成もスキャン不能や。」
「でも、あの肌触り、なんか知ってるのよね・・・。冷たいようで温かみがあって、陶器みたいに吸い付く感じ。・・・。」
「あっ、やっぱり?!わしもそうやないかと・・・。」
「・・・あの操縦桿の感じと同じなのよね。カンだけど。」
「艦内の壁や、その他諸々、感触そっくりや。」
「だけど、可塑性がなくて、しかも異常に重い物質で建造なんてできる?普通の物理法則じゃ、自重で潰れて飛ぶことすらできないわよね。」
「直径120m、最大高30mやもんなあ。そやけど、わしら二人ともおんなじように感じてんやろ?」
「そうなのよね。’ジュピター’。あの船は一体、何でできていたのかしら。いまごろどこで、どうしてるかなあ?」
休憩時間が終わる。
グレッグとマリカは、残した疑問を胸にしまい、ブリッジへ戻っていく。
調査艦隊は宇宙空間を予定通り巡航していた。




