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005●完璧な防御
無幻斎に向けて、白刃が振るわれる。
だが、それらが彼をとらえることはない。
手槍も突き出されるが、当たらない。
無幻斎は座したまま、動かない。
左手で自身の刀の鍔下を持ったままであるが、もちろん抜刀もしていない。
ただ座しているだけの男に、必殺の刃が幾度も襲いかかる。
しかし、空を切るか、畳に食い込むか、である。
「面妖な術を使いおるな。構わん、鉄砲を使え!」
それを聞いても、無幻斎は動かない。
鉄砲を持った一団が来る。
装填を始める。火縄の煙だけが漂い、
空虚な間延びした時間が流れた。
関係するものでなければ、笑い出していたかもしれない。
放て、の号令で火縄銃が轟音をあげた。
だが・・・弾丸は、無幻斎の周囲で空中に凍りついた。
空中で静止して・・・ポトリと落ちた。
彼を囲む誰もが唖然とする。どうなっているのだ。
無幻斎が立ち上がった。
ご無礼いたします、の一言で、彼は広間を出ていく。
もはや、引き留めるものはいない。
残ったのは、火縄の臭いと穴の開いた畳だけであった。




