056●エイブラハム・マッカートニー
「ジュークさん、できてますよ。」
無言でブリッツが入ってくる。
店の主人が戸棚の鍵を開け、油紙に包まれた‘それ’を差し出した。
「設計図、お見事でした。どうです、ご指定通りの仕上がりでしょう?」
ブリッツは包みを開く。記憶どおりのアサルトライフルだ。
冷たい鋼鉄の塊が掌に沈み、無骨な美しさを放つ。
重量を活かしたシンプルな構造、余裕のあるクリアランス。
砂塵の中でも決して弾づまりを起こさない圧倒的な信頼性。
中間弾薬による、バランスの取れた威力。
ーこの世界線のこの時間軸で、これを再現できるとは。
「予備の・・・えっと、‘バナナ’?マガジンを1ダース。もう1個、おまけに付けときました。出来栄えはどうです?」
「試し撃ちはできるか。」
「もちろん。地下室へ。防音も排気も万全です。」
地下室に連射音が響く。
硝煙が濃密な白い靄となり、照明の光を揺らす。
引き金が沈む間、マズルから絶え間なく火花が閃く。
40発の弾丸の暴れる反動を膂力でねじ伏せ、寸分の狂いもなく標的を穿つ。
厚い金属板が飴細工のように裂け、火花を散らして崩れ落ちた。
ブリッツは熱を帯びた銃身を見つめ、短く言う。
「・・・いい出来だ。頂いていく。ありがとう、エイブ。」
ー正確なフルオート射撃。銃も銃弾も再現するとは。だが、この世界線で、どこまで暴れるつもりだ、破壊神・・・。
亜空間からの観察を終え、リョウマは追跡を続ける。




