055●砂漠の銃声
砂嵐が視界を奪う中、銃声が荒野を裂いた。
アイアン・クリークの連中が押し寄せる。
20名を超える。スクラップ・ポイントの戦闘員の倍の人数だ。
キャサリンは歯を食いしばり、リボルバーを構えている。
「撃て! 奴らを止めろ!」
味方のガンファイター10名が遮蔽物に身を隠しながら応戦する。
乾いた銃声が連なる。
だが、数の差は残酷だ。仲間が倒れ、砂に血が染み込む。
「ちっ!押されてる!」
キャサリンが叫んだ瞬間、低い声が背後で響いた。
「下がれ。」
ブリッツだ。黒いポンチョを翻し、砂を踏みしめて前に出る。
腰のホルスターから、重厚なリボルバーを抜いた。
銃身が長く、陽光を鈍く反射する。
轟音が耳を劈く。雷帝の一撃。
石の堆積物の陰に潜んでいた男が吹き飛ぶ。
弾丸が馬ごと敵を貫き、赤い霧が砂に散る。
「な、なんだあの威力!」
キャサリンの声が震える。普通の銃じゃない。何かが違う。
ブリッツは無言で撃ち続ける。
銃口が火を噴くたび、敵の隊列が崩れる。
反撃の銃弾がブリッツの足元の砂を跳ねるが、素早い移動に狙いが追いつかない。
左手で次のリボルバーを抜き、牽制射撃を浴びせる。
右足のアンクルホルスターから、小型銃を抜いた。至近距離の敵が崩れ落ちた。
三丁の銃が、砂漠の嵐の中で正確無比なリズムを刻み、死神のように舞う。
「退け! 退けぇ!」
敵のコロニーリーダーが叫ぶ。
残った者たちは馬を返し、砂煙を上げて逃げていく。
静寂が戻ったとき、砂漠には血と硝煙の匂いだけが残った。
キャサリンは息を呑む。
「・・・あんた・・・何者だ?どこから来た?」
ブリッツは答えない。
ただ、銃身を拭き、空を見上げた。
遠くで雷光が走り、砂嵐が唸りを上げる。
キャサリンは戦慄する。同時に体の芯に不思議な熱を感じた。
この男は普通じゃない。人なのか。いや、破壊神だ。
死を司る者が、この世界に現れたのだ。




