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054●砂嵐の契約

暗闇の中、砂嵐が窓を叩き、宿の灯りが揺れていた。

再び宿に来たキャサリンは深く息を吐き、階段を上がる。

拳銃はフロントのオヤジに預けた。

あの男を雇う。それしかない。

6人を失った穴は大きい。

対立するアイアン・クリークが動けば、まずい。

あの速さ。あのブレない銃口。

使える。いや、使わなきゃ、わたしたちが死ぬ。


ドアをノックする。返事はない。

やむなくキャサリンはノブを回す。

椅子のブリッツが一瞥すると、自分の作業を続ける。

その手は銃を分解していた。

動きは異様に滑らかで、まるで楽器を奏でているようだ。

机の上には、見慣れない金属片が並んでいる。砂漠で拾ったものか?

一瞬、青白い光が走り、キャサリンは息を呑んだ。


「・・・話がある。」

ブリッツの視線がゆっくりと上がる。冷たいカミソリのような眼。

「雇いたい。うちの護衛だ。報酬は出す。」

沈黙。砂嵐の音だけが部屋を満たす。

「6人殺られた。補充が必要だ。あんたなら、十分だ。」

ブリッツは銃を組み直し、カチリと音を立てた。

「条件は?」

低い声が、砂を擦るように響く。

キャサリンは唇を噛む。この男を味方につけなければ。

「銅貨じゃなく、銀貨で払う。前金も出す。」

ブリッツは立ち上がる。

その影が、灯りを遮り、部屋が一瞬暗くなる。

「敵は?」

「西のコロニー、アイアン・クリーク。手強い。だが、あんたなら・・・。」

言葉が途切れる。

ブリッツの腰のホルスターに、別の銃が収まっているのが見える。

大型だ。銃というより、兵器だ。違う世界の匂いがする。

「契約成立だ。詳しく聞こう。」

ブリッツの声は低く、だが確実だった。

キャサリンは銀貨の袋を机に置く。

その瞬間、窓の外で雷光が走り、砂嵐が唸りを上げた。


この出会いが世界を変えるのか否か、まだ誰も知らない。


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