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052●砂漠の男

荒れ果てた大地を、馬に乗ったひとりの男が進んで来る。

赤茶けた地肌は水平線の彼方まで続き、

ところどころに草とサボテンが影を落としている。

双眼鏡を覗く。絶好とは言えねえが、獲物だ。間違いない。

撃ってもここからじゃ届かねえ。もう少し近づくか。

仲間に合図し、崖の裏道から降りる。

ケッ、こっちは馬が痩せてるからな。時間がかかる。

だが一本道だ。逃げ場はねえ。

こんなだだっ広い砂漠で、なぜこの道しかねえのか、知ろうとも思わん。

ただ、生きるためには、何でもやる。


後ろから近づく。蹄の音はもう聞こえているはずだ。なのに振り返りもしねえ。

ふん、鈍感な野郎はくたばるだけだ。

「おーい、止まれ!」

俺の声で、ようやく馬が止まった。結構、いい馬だ。高く捌けそうだ。

カウボーイハットを被った野郎め。

仲間が岩陰から飛び出す。こっちは6人だ。

装弾数の少ないリボルバーなんざあ、怖くねえ。

水も食糧もありそうだ。全部いただくぜ。

俺は笑った。やっと獲物にありついた。

その瞬間、乾いた銃声が砂漠を裂いた。

1発目。隣の頭が弾け、赤い霧が陽光に舞う。

「な、何だ?!」

2発目、3発目。砂に沈む影。

「撃ち返せ! 撃て!」

俺の叫び声は、次の銃声にかき消された。

4発目、胸を撃ち抜かれた仲間が崩れる。

5発目、頭蓋骨を砕かれた奴が砂に転がる。

6発目・・・視界が赤に染まった・・・。


銃声が止むと、砂漠に静寂が戻った。

風が血の匂いを運び、遠くへ消えていく。

男は死体を一瞥し、水筒と弾薬を奪い取る。

奪う者は、奪われる。それだけのことだった。

彼は馬に跨り、荒野の果てを見つめる。

その視線の先・・・

砂に埋もれた、指先ほどの奇妙な形状の金属片が陽光を反射した。

男はそれを拾い、無言で握りしめる。

風が吹き抜け、彼の影を長く引き伸ばした。

遠くで砂嵐が立ち上がり、男は再び馬を進めた。


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