表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/91

033●お前も、いずれその渦に沈・・・せめて最後まで言わせろよお

ブリッツは膝を折り、湿った鋼の匂いの中、影のように進む。

メンテナンス用通路を縫うように動いていく。

冷却水管の闇は、音も呑み込んでいる。

戦術AIが低く囁いた。

〈監視カメラ、死角を確保。次の巡回まで残り120秒。〉


ARデバイスに浮かぶ青いラインが、彼を制御室へと導く。

地熱発電所の心臓部。タービンを止めるための、たった一度の侵入。

要塞の防御システムを沈黙させなければ、ジョン・スミスたちに近づけない。

ドアの前で、ブリッツは呼吸を整えた。

偽装IDをスロットに差し込む。緑のランプが一瞬点滅し、赤に変わる。

失敗か。

次の瞬間、チームのグリッチから通信が入る。

「バイパスコード送信中。5秒待ってくれ。」


ドアが静かに開いた。

制御室は無人。モニターに映る圧力値を、ブリッツは一瞥した。

ハッキングデバイスを挿入。画面が乱れ、数字が跳ねる。

圧力異常、警告音が鳴り、タービンが停止する。

要塞の灯が、ひとつ、またひとつと消えていった。

暗闇が訪れる。

ブリッツは銃を抜いた。サプレッサー付きのカスタムハンドガン。

通常はリボルバーを使う彼だが、

今回は設計と製造が確かなオートマティックだ。

試射も十分に行ってきた。超音速弾が装填され、静かな死を約束する。


最深部の一室にあるホール。

ジョン・スミスたちが、停電に苛立ちながら言葉を交わしていた。

「非常電源はまだか?」

「通信が切れたぞ!」

誰も破壊神の接近に気づかない。

ブリッツは影のように滑り込み、最初の一人、55歳の頭部に銃口を向ける。

プシュッ。

血の匂いが広がる前に、続いて75歳、80歳が座ったまま事切れる。

ブリッツの動きは、無駄なく正確だった。


戦術AIが耳元で冷たく告げる。

〈残り11人。巡回者が接近中。タイムリミット、4分。〉


非常電源が唸り、白い光が闇を裂いた。

現状を見たスミスたちの顔が恐怖に歪む。

45歳の男が立ち上がり、声を絞り出す。

「ブリッツ・・・。何度か、私もお前に仕事を依頼したな。」

ブリッツは無言である。銃口は動かない。

「お前相手に、交渉は無意味だろう。だが覚えておけ。破壊の果てに再生がある。それが理だ。お前も、いずれその渦に沈・・・」

言葉が終わる前に、眉間が撃ち抜かれる。

乾いた音。血が光を吸い、床に散った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ