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015⚫️大丈夫
検分役の亡骸は一室に運ばれ、静かな弔いが始まっていた。
新三郎は別室で、巫女の視線を背に、なお呆然としていた。
己は、無幻斎との勝負を楽しんでいたのだ。
命を賭し、技を尽くし、ただ剣を交えることに歓びを覚えていた。
朝に道を聞かば、夕べに死すとも可なり。
愚かしくもそう考えていた己を、今は責めるほかない。
最早、自分が腹を切れば済む話ではない。
世界が、わずかに軋んだ気がした。
ー宗主様は、体術と剣術のみで応戦なさいましたね。
ー理由は、わかるでしょう?
ーええ。あのお方らしいです。
ー真摯な剣に、応えたかったのでしょうね。亜空間移動も、重力反転も使わずに。
ーでも、検分役が・・・。
ーあの一手が、世界線を歪めた。
ー歪みは、もう始まっているのでしょうか?
ーわたしたちの存在自体が、既に分岐を呼んでいるかもしれないし、ね。
ー宗主様は、どうされるのでしょう?
ー大丈夫よ。あの方は、世界線を越えてきたのだから。ともかく、新三郎様にお食事を取っていただかないと。
ーラベリア戦でウィルフレッダ様の伝令に出した、あの飲み物をお出ししましょうか。
新三郎は、ただ膝の上の手を見つめていた。
その手が、誰を斬ったのか・・・まだ信じられなかった。




