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011●正直な侍

庭の緑が陽光にきらめき、障子越しに柔らかな光が差し込む部屋に通された。

待つ間もなく、男が姿を現す。

「お待たせいたした。無幻斎でござる。武者修行中とのこと、いや、勇ましいかぎりですね。」

その言葉に、胸が痛む。

背後には検分役殿。

偽りを述べるのは、武士の一分に反する。


新三郎は深く息を吸い、言葉を選んだ。

「大神 新三郎でござる。お目にかかれて、光栄に存じます。が、あえて偽りは申しませぬ。身ども、修行でお手合わせをお願いに来たのではございません。藩命により、そなた様のお命を頂戴に参りました。」

背後で検分役殿が息を呑む気配。

だが、正々堂々、まっすぐに告げる。

それが武士の道だ。

「なるほど。新三郎殿は、わたしを討ちに来られたのですね。」

「左様でござる。尋常に勝負をお願いしたい。」

無幻斎は微笑んだ。

「ご貴殿は、まことに正直ですね。そのことを隠されたまま立ち合えば、有利なこともあったでしょうに。」

「以前、城内でそのようなことをしでかした輩がおった、と聞いております。その節のご無礼、お詫びいたします。ご不快であったでしょうが、何とぞ、今回、身どもと立ち合いをお願いしたい。」

「ご貴殿の流派を受けたまわっても、よろしいか。」

「剛刃流でござる。」


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