010●方舟の壁のむこう
副長が壁の突起に手をかけた。
えっ?そのまま、上に持ち上げた?!
シャッターのように、壁はあがる。
内部が見える。なんだあ?こんな仕掛けなのか?
「‘その他’、考えは柔軟でないといけませんぞ。」
ヘルメットの中の副長が、穏やかに笑っている。
僕たちは壁の中へ進む。微弱なエネルギー反応。いったい何だ?
ホコリに覆われた空間を抜けると、そこに立っていたのはヒト型の影。
木製の像だ。だが、確かにこいつから反応が出ている。
「副長、これだったんですね。木製なのに、なぜエネルギーが?」
「まだ、反応があるぞ。もっと大きいな。地下からだな。」
副長の声に、携帯端末を見る。本当だ。地下に、もっと何かがある。
「あの階段、使えそうですね。」
階段は長い。折り返しもなく、まっすぐに闇へと続いている。
体感で三層分。いや、それ以上かもしれない。
やがて、巨大な空間に出た。壁と天井から淡い光が差し込む。
地下なのに、なぜ光が?
僕たちの歩みとともに光が順に足元を照らす。
どうなってるんだ?古代と近代の技術が平行している?
「‘その他’、あれを見ろ!」
副長が指差した先――そこには、無数のヒト型像が立ち並んでいた。
立錐の余地もないほどに。まるで軍勢。
「・・・墳墓?古代の王とともに葬られた?」
「いや、墓にしては、どこかおかしい。エネルギー反応の理由も、説明がつかん。」
副長の声が途切れる。
「しかも・・・眼に赤い光が!あいつら、動き始めているぞ!」




