妻のヘタレ連続欠勤
台風がいくつも行き過ぎ各地に水害をもたらし周囲ではてんてこまいの最中、桂子は仕事を3日も連続欠勤した。
理由は、膝の痛みに始まりその内に桂子の学生時代からの友人が病に倒れたという知らせが入ると、普段から思い込みが激しくマイナス思考がちな妻は、一気に凹み動きが止まった。
「桂子、お友だちが気掛かりだろうが、大事な仕事を3日も休むことはないだろう。お前が心配したところで彼女が快方に向かうわけではないんだから」
「昭夫さん、仕事が手に付かないわよ。行っても迷惑なるだけよ」
「桂子、友達のことは仕事中はひとまず置いて仕事に集中するんだよ。みんなそうしているだろう」
「昭夫さん、もう仕事先に今週はお休みしたいと連絡してしまったのよ。今さら、出られないわよ」
まったく俺の女房はかなりのダメ人間だな。周りはいろんな困難を抱えながら一生懸命生きている人だらけだというのに。
「ふん、今に痛い目に遭ったら思い知るんだな。お前、歳は幾つになったんだ。俺たちはもうとっくに老人だよな。お前はそんな歳になって未だ赤ん坊のようだな」
情けない。これだけ言っても奮起しない。この女は一体これまでどんな人生を送ってきたんだ……。
甘やかしは本人のためにならない。俺は桂子の生活習慣や勤怠管理に細かく口を出すことにした。
「朝は5時に起きろ」
「出勤までの手順をメモしろ」
俺のコールセンター時代の「管理職的・指導者的視点」で、桂子を徹底的に指導した。
最初は嫌々だった桂子も、俺の厳しい言葉に渋々従い、なんとか起き出して出勤の準備を始めた。よし、少しは効き目があったようだ。やはり俺の指導法は間違っていない。
だが、やり過ぎは禁物だ。桂子の生まれ付き備わった脆弱な気質が、そう簡単に変わるものではないことは俺も分かっている。あまり追いつめ過ぎて、以前のように発狂されても困る。
このヘタレな女を操るには、厳しさと塩梅の見極めが必要なのだ。覚悟しろよ、桂子。




