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第47話 訓練場 4


 二人の健闘を称え、拍手が起こる。声を掛けようとする周りを制止し、シルトは周囲を見渡すと、ノーマを見つけ、一目散に歩みを進めた。


「あっ、シル……ト……」

「……なんでお前がここにいる」

「ご、ごめん……」

「……」


 シルトの表情は険しかった。元々、ここに来ることを嫌がっていたのにもかかわらず来てしまったノーマは、後ろめたさから謝ることしかできなかった。

 険悪な空気を察し、アーノルドが横槍を入れる。


「おいおい、そもそもお前がノーマちゃんに頼み事をしたのが原因だろ?何をそんなに怒ってるんだ?」

「……別に、怒ってるわけじゃ……」

「そんな眉間にシワ寄せた状態で言われてもな……ここに連れてきたのはオレだ。責めるならオレを責めろ」

「……」

「……物を渡す雰囲気でもないな。ノーマちゃん、少し待っていてくれ」

「は、はい……」

「シルト、ちょっと来い!」

「な、なんだよ……!」

「いいから!」


 アーノルドはシルトの腕を引っ張り強引にその場を離れた。人目の付かない建物の裏でアーノルドはシルトを問い詰めた。


「……んで、どうした?」

「……なにがだよ」

「さっきも言ったろ?ノーマちゃんはオレに強引に連れてこられただけだ。ノーマちゃんを怒るのは筋違いだぞ」

「……」

「……もうこの際ハッキリ言うけどよ。お前はノーマちゃんが他のやつらに言い寄られるのが嫌だっただけだろ?」

「はっ、はぁっ!?ち、ちが―――」

「姫様の我儘が減って使用人からの評判は上々。この騎士団の中にも姫様との触れ合いを見かけたことで、好意的に見ている者も少なくない」

「……!!」

「……青ざめるぐらいなら、あんな態度を取るな」

「……わかってるよ」

「……次はお前の番だ」

「?」

「オレに怒ってんだろ?正直、お前がどんな反応するか見たくて面白半分で連れてきたのはある。だけど、ノーマちゃんから直接もらった方が嬉しいかと思ったのも事実だ。……ほれ、怒りでも何でもぶつけてこい」

「……よ」

「よ?」

「よりにもよって、負けたところを見られたのが……嫌だっただけだ」

「……は?」

「かっこ悪いだろ……だから……」

「アホか!そんなことで、あんな八つ当たりみたいな態度取ったら嫌われるぞ!?」

「……どうすればいい」

「謝れ!この際、もう全部正直に言え!」

「で、でも―――」

「もう充分かっこ悪いから!これより下がないくらいかっこ悪いから!変なプライドは捨てろ!」

「わ、わかった……」


 一方、ノーマは―――


(怒らせちゃった……どうしよう……)

「ノーマさん」

「か、カルロス殿下……」


 いつのまにか近くに来ていたカルロスに対し、ノーマは瞬時に跪いた。


「……?」

「ハーティスさんから聞きました。この度はわたしのせいでご迷惑をお掛けして、大変申し訳ございませんでした」

「あれは僕が回りくどいことをしたせいです。気にしないでください」

「……!い、今の状況も殿下にとって不都合になるようなら離れますね」

「大丈夫ですよ。それに……跪いたままのこの状況で「そういう関係」だとは誰も思わないでしょう。」

「ですが……」

「むしろ詫びなければならないのは僕の方です。我儘に付き合ってもらったにもかかわらず、あらぬ疑いをかけられる状況を作ってしまいました。申し訳ない……ですから、顔を上げてください」

「……ありがとうございます。殿下」

「……そうだ。これを―――」


 ノーマは跪くのを止め、カルロスと向き合った。すると、カルロスは花の形をしたブローチをノーマに手渡す。


「……これは?」

「お詫びの品です」

「い、頂けませんよ。こんな……」

「これは僕の自己満足です。受け取ってくれる方が、僕は嬉しいのですが……」

「う゛っ……」

「いかがですか?」

「あ、ありがたく頂戴します……」


 ノーマが改めてブローチを見ると、取り付けられた石が光を反射させて煌めいていた。


「綺麗ですね……」

「厄除けの効果がある石だそうです」

「あの……本当によろしいのでしょうか?」

「はい」

「……ありがとうございます」


 会話の内容はお互いへの謝罪だった。……しかし、会話の内容を把握していないシルトから見れば気が気ではない状況だった。


 お疲れ様でした。


 展開に納得がいかず、数話丸々書き直してました。

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