↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
66/72

レッジ村①

僕らは、神域のコンパスの指し示す北の方角にジープを走らせた。

10日ほど走ったところで、村が見えてきた。


木造の建物が多く、どこにでもある村のようだ。

しかし、異様なのはその防壁。

木で出来た壁の外側には、赤褐色の土壁が重ねられている。

叩いてみるが、鉄のように固い。

かなり強固に守りを固めているということは、襲撃された過去があるのだろう。


僕らは、村の門をくぐった。

そこに活気はなかった。

村人たちは疲弊し、道端に転がっている者もいる。

水が飲みたいと泣き叫ぶ子供。

傷が痛むのか、身をよじり転がる男性。

目に深いくまのできた、武装した兵士。


僕らは、急いで準備してきた食料と水を分け与える。

負傷していたものは、キキラがヒールをかけていく。


そうこうしていると、村長とおもわしき人物が奥から現れた。


「旅のお方、お助けいただき、誠にありがとうございます」


「困っている人々を助けるのは、当然のことですから。

しかし、何があったんですか?」


村長は語って聞かせてくれた。

元々はのどかな農村であったこと。

1か月前から魔族が周辺に出没し、人々が傷つき、川へ水を汲みに行くのも難しくなったこと。


僕は村の各所にある井戸に、水を貯蓄した魔石を投げ入れていく。

これで、当面の間の水の問題は解決する。

問題は魔族か。



≫

魔族。

僕も本で読んだことしかない。

人間に似ていて、非なる者。

外見はほぼ人間と変わらないが、背中に黒い翼が生えているのが大きな特徴だ。

翼の大きさでその格がわかり、強さの指標となっているそうだ。


魔族が、昔から人間と戦争をしているのは知っている。

父さんはその戦争で功績をあげ、ラピッド領の領主となっている。


しかし、魔族との主戦場は遠く離れた場所のはずだ。

なぜこんな何もない村に。


思案しているとある、青年が会話に割って入ってきた。


「村長、破損していた外壁の修理、終わったよ」


「おお、いつもすまんな、カイよ」


「こちらは、旅のご一行だ。我々を助けてくれている」


「恩にきります。私は、カイ。錬金術師をやっています」


20歳ほどだろうか。

細身だが、しっかりと筋肉のついた男性。

眼鏡をかけ、その眼からは知性を感じられる。


あの特殊な防壁は、錬金術によるものだったのか。

魔道具好きとして、錬金術にも食指が伸びる。

だが、それよりもまずやることがある。


「魔族は退治できたのですか?」



≫

村長の話によると、魔族は50人ほどで、武装して村を繰り返し襲っているらしい。

カイの防壁は頑丈で、魔族も思ったように手が出せず、苦戦しているようだ。

しかし、籠城戦では村がもたない。

現に、水と食料が底をつきかけている。


「退治するしかないですね」


魔物とは山ほど戦ってきた。

しかし、知恵のある魔族との戦いは未知数だ。

僕らの力が、どこまで通用するかもわからない。

それでも、この村の人々を放っておけない。

それなら、万全の準備をして立ち向かうだけだ。

幸い、こちらから手を出さずとも、相手から向かってきてくれる。


「それなら、私も戦いにでます。

スキルは戦闘向きではないですが、みなさんの補助なら任せてください」


カイは地面に手をかざした。


「スキル・錬成」


土が盛り上がり、僕を模した人形が出来上がった。

叩いてみると防壁と同じ、硬い音がした。


「私の得意分野は、土の錬成です。

これを作戦に入れていただければ」


カイの目に迷いはない。

僕らは、これまでの魔族の襲撃から対策を考え、作戦を立てた。

今回は、カイに活躍してもらうことになりそうだ。

リリス、キキラ、ラーナも参加し、意見を交わしていく。

今回の戦闘のカギはカイになりそうだ。


決行は、次の戦いの日。

それまでに回復できたものには、弓で村内から援護してもらう。

僕らは、粛々と準備を進めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。