↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
65/72

結束

「魂......ですか」


僕とラーナは、アキの魂に何が起きているのか、リリスとキキラに説明していた。

急に魂と言われても、反応に困るだろう。

しかし、僕とラーナの議論の上では、十分可能性のある話だ。


「前世があるなら、魂があってもおかしくないわね。

わたしにも、サムライだった時の記憶は確かにあるし」


「私も、戦場で散った記憶がはっきりと残っています。

それが2度目の生を受けているのであれば、魂が同じである可能性はありますね」


魂の存在は示唆されている。

けれど、誰もその正体を確かめたわけではない。

手掛かりの少ない議論は、途切れ途切れに続いた。


「確実なことは言えない。

でも、僕は魂のような光を何度か見たことがある。

あれを、単なる見間違いだとは思えないんだ。

見るたびに、身体の奥底から何かが湧き上がってくるような感覚があった」


リリスとキキラは、互いに顔を見合わせたあと、静かにうなずいた。

その表情を見て、僕は2人が覚悟を決めたのだと感じた。


「いずれにしても、アキを治す可能性として、キョウとラーナは神域が関わっていると考えているわけね。

2人の判断ならわたしは信頼できる」


「私もです。論理は納得がいきますし、お二人の意向を優先します」


2人が納得してくれた。

最初に反応をうかがった時には心配していたが、僕らへの信頼は厚いようだ。

とてもありがたく、胸の奥が熱くなった。



≫

父さん、母さんにも説明をし、準備をしたうえでラピッドから出立することにした。

今度の旅はどれくらいかかるかわからない。

なんせ目的地がはっきりしないのだから。


幸い、アキの容態は安定している。

すぐに命を落とす心配はない。

それでも、意識が戻る見込みがないことに変わりはなかった。

だからこそ、今できる準備をすべて整えてから出発したい。


食料や水、ポーション、ロープなど、使えそうな物をラーナの収納魔法に詰め込んでいく。

ジープでどれだけ走行するかもわからない。

精霊石も持てるだけ持ち込む。


焦る気持ちを抑え、必要な物資を一つずつ吟味する。

目的地も道のりも分からない。

だからこそ、準備に妥協はできなかった。

荷造りは1週間ほどで片付いた。



≫

旅立つ前に、領地に必要なことも済ませておく。


まず、僕は父さんにネオポリスで手に入れた耕作機の図面を手渡す。


「これは、田畑を耕す機械か。お前はいつも新しい物を用意してくるな。

これがうまくいけば大きく効率を上げられる。

お前が領主になればよりラピッドを発展させられるだろう。

そうしたらオレは安心して余生を暮らせる」


「父さんが隠居するのはまだまだ先なんだから、気の早いことを言わないでよ」


これを量産できれば、田畑を耕す作業が飛躍的に効率化される。

核となるパーツは用意してあるから、あとは設計図通りに作ればいい。

魔道具屋のベンおじさんなら、任せて大丈夫だろう。



≫

僕はリリスの父、ゴウの前に立つ。


【Lv.26 現世:剣術士 前世:...... スキルポイント:0】


これが今の僕のステータスだ。


やはりリリスは僕の少し上。


【Lv.28 現世:剣術士 前世:サムライ スキルポイント:280】


戦闘ではメインで戦っているから、その分経験値もたくさん入るのだろう。


キキラはLv.30、ラーナはLv.29になっている。

ネオポリスでの戦闘は、大きな経験になったようだ。


「さて、お前らのステータスは見せてもらった。

だいぶ成長しているようだな。今度は実力を見せてもらおうか」


僕とゴウが木剣を持ち、正対する。

ゴウはリリスの父で、領地の守り手だ。

Lv.40の剣術士だ。


僕の戦闘スタイルはカウンターを主軸とし、銃やグレネードに頼った独自のものだ。

しかし、今回はあえて剣術士としてゴウに挑む。

基本となる剣の腕が、格上相手にどれだけ通用するのか確認したい。

それに試したいこともある。

僕は右手に剣、左手に盾、腰に木剣を装備した。

久しぶりに自分より明らかに強い相手と向き合い、心が震えた。



≫

「それそれ!ガードしてばかりじゃ埒があかないぞ!」


ゴウの猛攻をしのぐ。

一撃が速く、かつ重い。

盾でパリィをしても、こちらの攻撃を差し込む前に態勢を整えられてしまう。

最初こそ僕の攻撃はゴウの服をかすめていたが、見切られてしまった今では届かない。


「お前の剣筋は読みやすい。もっと剣を振る直前まで気配を隠しておくんだ」


言うは易し。

頭では理解するがすぐに実践はできない。

ゴウの眼前に盾を押し出し、剣筋を隠して攻撃をしてみる。


「そうだ。お前は両腕が使えるんだ。最大限に生かしていけ」


一瞬、互角に持ち込めたかに思えた。

しかし、時間が経つにつれて、少しずつゴウに押され始める。

経験の差は大きい。

仕方ない、あれを使うか。


僕はゴウに向かって、正面から突進する。


「捨て身の攻撃か?万策が尽きるには早すぎないか?」


ゴウが余裕を持って迎撃態勢をとる。

僕は剣を思いきり上段から振り下ろす。

当然、ゴウはガードする。

そこで僕の背中が動いた。


ガコン!

ゴウの肩に剣が叩きつけられた。


「なっ」


ゴウが驚きの声を漏らす。

もう1本の木剣の持ち主はアームだった。


「おいおい、そりゃ反則だろう。前回のリリスといい、今回のキョウといい......。

まぁ実戦ベースならお前たちの勝ちだ。

お前はスキルがない中でも、自分の戦い方を常に模索しているんだな」


アームは勝ち誇ったように、剣を振り回している。

よくやったと撫でてやると、より一層動きが激しくなった。

アームは普段、僕の背中に張り付くように格納されている。

一見、背中に腕が隠されているようには全く見えない。

アームは僕の切り札だ。


「今回の勝負はお前の勝ちだ。だが、剣術に関してはまだまだ甘い。

キョウ、お前はまだまだ高みを目指せる伸びしろがある。

ちょうどいい機会だ。あらためて鍛えてやる」


僕とリリスは、ゴウから1週間みっちりと鍛錬を受けた。

領地から旅立つ前とは違い、より実戦を意識した稽古だ。



≫

結局、僕らは1か月ほどラピッドに滞在した。

またいつ戻るかわからない旅の前に、故郷の空気をしっかりと堪能できた。


「キョウ、決して無理はするなよ」


「父さんと母さんはいつでも帰りを待っているからね」


2人と抱擁を交わす。

傍らにいるアキの頭を撫でる。


「アキ、どんなことがあっても必ずお前を取り戻すからな」


神域のコンパスが示すのは北の方角。

新たな旅立ち。

定かではない目的地へと進む道のりは、簡単ではないだろう。

本当にこの道でいいのか、突然不安になる。

しかし、僕はすでに決めている。


――アキを取り戻す。


≫

遠くの地。

ドラゴンのまがまがしい瞳が虚空をとらえ、静かに目を閉じた。


お待たせしました。

第2章開幕です!


これを機に「続きが気になる!」と思っていただけた方は、

ブックマークをしていただけると泣いて喜びます!

よろしくお願いします♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。