ネオポリス編6 残された魂
僕らはダンジョンから帰還した。
最愛のアームを失ったサイのことが気になり、目をやる。
宝箱からドロップした装置を凝視しながら、考え事をしている。
おそらく、失われたアームのことを考えているのだろう。
しかし、それだけではない。
同じ魔道具好きとして、気持ちが通じる。
きっと、サイなら立ち直れる。
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エクストラステージを攻略して精霊水を手に入れた僕らは、ネオポリスの街で目新しい何かがないか探し回った。
水を貯蓄できる魔石のようなアイテムはなかったが、耕作に使えそうな大型の機械の図面を手に入れることができた。
必要な核となる部材も入手したので、あとは鉄材を領土で確保すれば耕作機を作れるだろう。
十分な成果を得た僕らは、ラピッドへの帰郷の準備をしていた。
旅立つ前に、サイのところに挨拶に向かう。
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サイは作業台で格闘していた。
僕らが来たことにも気が付かず、没頭している。
何かの機械を作っているようだ。
中には、ダンジョンでドロップした装置も組み込まれている。
僕はサイの手際の良さに感心しながら、作業を見つめる。
しびれを切らしたリリスとキキラが外出し、僕とラーナはソファーでお茶を飲みながらサイの作業を見守った。
「サイが求めたものは、魂か」
珍しく、ラーナが重々しく口を開く。
「わしは、前世で最も叡智を極めた人物じゃった。世界の理も、ある程度理解しておった。
そんなわしでもわからなかったことがある」
ティーカップを置いて一息ついてから続きを話す。
「魂の出どころじゃよ」
魂か。
この世界では、全住人が異世界転生をしている。
当然、その魂は前世から引き継がれてやってくる。
魂の出どころなんて考えたことはなかった。
「神が作った......そう一言で片づけるのは簡単じゃ。
しかし、わしはその仕組みを解明したかった。
現世では、その点については進展はないかもしれん。
しかし、魂の転生という新たな謎を発見できた喜びもある」
ラーナは少し満足そうにクッキーを頬張った。
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ラーナの前世の理についての話を聞いている内に、外は真っ暗になっていた。
カチャリと音がして、サイが工具を置いて作業を終えたことが分かった。
「......アーム、これでお前は新しい命だ」
机の上には、鋼鉄とは思えないほど精巧な腕が置かれていた。
細部まで磨き上げられた造形に、思わず舌を巻く。
「おや! お二人ともいらっしゃってたとは。全く気が付きませんでしたよ」
「かまいません。あれだけ集中しているのを、邪魔するわけにはいきませんでしたから。
それで、その機械は何です?」
僕は興味津々で尋ねる。
「これはアームだよ。正確に言うと、新型アームだね。
ダンジョンでドロップした装置をとりつけた、人間用の装備パーツだ」
サイは僕の右肩のサイズを測り始めた。
「アームはあのダンジョンで破壊されてしまった。
それはきちんと理解している。
それでも、僕の望みは魂を宿した機械。
きっと、この装置は魂を宿している」
サイが僕のサイズに合わせて機械を微調整している。
「よし、出来た。キョウ君、右肩を少し上げてくれるかい?」
言われた通りにすると、そこにアームが取り付けられた。
人間の腕をかたどっているが、頑丈な装甲と手のひらについた銃が目に入る。
「この腕は、君の意思を読み取って自由に動くはずなんだ。
意識を右肩に集中してみて」
言われた通り、目を閉じて集中する。
すると、久しく感じていなかった緑の光の奔流を感じた。
それが右肩に集まっていく。
気が付くと、まぶしさに目が開いていた。
右腕に取り付けられた装置が、強烈に発光している。
「サイさん、見てください! この光、きっと魂をやどしているんですよ!」
まばゆい光に興奮する僕をしり目に、2人には特に反応がない。
「光? たしかに最初からおぼろげに青白い光を宿してはいますが」
サイの声は冷静だ。
「わしにもそう見えるが」
ラーナも同意する。
この光は僕にしか見えないのか?
この感覚、アニトのエクストラステージで魂を解放した時に似ている。
僕にしか、あの光は見えなかった。
「それよりもどうですか?自由に動かせますか?」
アームが動くように念じてみる。
腕が持ち上がり、サイと握手をかわした。
その手には柔らかさを感じる。
「成功ですね! いずれは念じなくても、身体の一部のように思い通りに動かせるようになるはずです。
オプションパーツも色々揃っていて......」
サイが解説を始める。
僕は目を輝かせながらその話に聞き入る。
ラーナは夕食のメニューを考えながらその場を後にした。




