ネオポリス編3 2人とダンジョン④
アームがやられた。
その事実が、僕らを一瞬凍り付かせる。
球体は、依然としてサイの目の前に居座り、次のターゲットを決めているようだ。
「スキル・刺突!」
リリスが強引に、サイと球体の距離を放す。
そのまま戦闘に入り、剣舞で傷をつけていく。
その姿を見て、僕も冷静さを取り戻す。
こいつの仕組みはわからないが、何かの動力があるのだろう。
普通に考えて、一番の弱点は一番硬い部分に隠す。
そうなると球体の中心を壊せば、こいつは止まる可能性が高い。
キキラとラーナがサイの前に回り込む。
これでサイは安全だ。
「リリス!」
一声かけると、一旦リリスが離脱し僕のところへ戻ってきた。
作戦を伝える。
「いよいよ、私の出番ってわけね」
「わしも働かなければならぬか。しかし、アームの仇じゃ。全力を出そう」
サイの守りをキキラに任せ、僕ら3人は球体と向かい合う。
球体は両手足を出し、重厚な音を響かせながらこちらに歩いてくる。
「スキル・鉄槍」
ラーナの頭上に巨大な鉄の槍が生成され、それが回転を始める。
十分な速度に達したところで、ラーナはそれを放った。
球体に深くめり込む大ダメージを与える。
次はリリスの番だ。
「スキル・身体強化」
ラーナが強化呪文をかける。
リリスの身体が光り、姿から力がみなぎっていることがわかる。
空中歩行で十分加速したのち、ラーナの開けた大穴に向かって突進していく。
空中で、リリスが脚を目いっぱいかがめる姿が目に入る。
「スキル・刺突 改!」
ラーナの鉄槍よりも深く、球体の内部に潜り込んでいく。
球体のほぼ中央部までえぐりとった。
最後に僕の出番だ。
リリスが相手をかく乱しているうちに、球体の内部に入り込む。
気づいた球体が手を伸ばしてくるが、もう遅い。
僕は、盾に取り付けられた地雷のスイッチを押した。
轟音を伴う爆発。
爆散するのは、ミスリルでできたドリル。
今までの鉄球とは比較にならない威力だ。
球体は内部から四散した。
ガラガラと音を立てて部品がばらまかれていく。
51階のボスを倒したのだ。
≫
宝箱が出現する。
金色の宝箱が1つ。
他に2つ。
金色の宝箱には、やはり精霊水が入ってた。
これでアキをまた治療できる。
次はラーナ。
出てきたのは本。
所なしか、魂卸で司祭が持っている本に似ている。
ラーナが手をかざすと光を放ち、本は消えた。
ラーナがしばらく考え込む。
「ドラゴンと神域か......」
誰にも聞こえない声でつぶやく。
≫
最後に残ったのは、サイの宝箱。
サイは、いまだにアームを失ったショックから立ち直れていない。
大切な相棒を失ったのだ。
その心中は、察するに難くない。
しばらく呆然としたのち、サイは宝箱に手を伸ばした。
一瞬躊躇したが、開ける。
中に入っていたのは、機械の部品だった。
青い輝きを放つコアが中心に取り付けられた、手のひらサイズの部品。
サイにはその正体がわかったらしい。
「もう遅いんだよ......。アームは逝ってしまった。
これじゃあ、もうどうしようもないんだよ!」
サイが部品を掲げて、地面にたたきつけようとする。
しかし、その手は途中で止まる。
「……これはアームが残してくれた物だ。大切に扱わないといけないな」
サイの目から涙があふれている。
「アーム、僕も君を愛していたよ」
僕らはサイが十分落ち着くまで待機したのち、ダンジョンを後にした。




