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ネオポリス編3 2人とダンジョン③

51階。

その扉もやはり機械だった。

厳重に、3重の扉になっている。

僕はスイッチを押した。


中は広大なフィールドだった。

壁にはたくさんの歯車が見える。

フィールドが明るくなっていく。

中央にあったのは、金属で出来た重厚感のある巨大な球体だった。

フィールドが狭く感じるほどの威圧感を感じる。


20mはあろうかというそれが、もぞもぞと動き始めた。

突如手足が生える。

僕らは戦闘態勢に入る。



≫

「グレネード!」


定石で様子を見る。

一瞬、球体はぐらついたが、ダメージはないようだ。

そのまま、巨体を揺らしながらこちらに向かってくる。

あれを受け止めることは不可能だ。

それぞれが散り散りになって回避する。


アサルトライフルを連射するが、効果は薄い。

表皮を削るだけにとどまっている。


キキラとリリスが走り出す。


「スキル・剣舞 肆式!」


「ウォータージャベリン!」


これは効果があった。

球体の表面に深い傷がつく。

だが、それが止まる気配はない。


「ワタシの出番ですね」


アームがガトリングを乱射する。

球体に食い込んだ弾丸が、ゴリゴリと内部まで食い込む。

やはりアームの武装は強力だ。



≫

球体は、急に動くのをやめた。

そして、するっと手足を内部に格納した。

また最初の完全な球体に戻る。

嫌な予感がする。


「みんな! やつが何かしようとしている。

十分注意して、回避を重視しよう!」


僕の声が終わるか終わらないかのうちに、球体が回転し始めた。

そしてその勢いのまま転がりだす。

狙いは僕。

なんとか、身をよじってかわす。

服が巻き込まれて破ける。

あれをまともに喰らったらと思うと、ぞっとする。


「ラーナ!」


「スキル 氷結」


地面が凍る。

球体がスリップして、壁にぶち当たる。

これで突進は防げるはずだ。

だが、あきらめることなく、球体は回転を続ける。


ピンボールのように壁に当たりながら転がり続け、ちりぢりになっている僕たちの方へ向かってくる。

その先には、サイとアームがいる。

サイが氷に足をとられ、もがいている姿が目に入る。

こちらの動きも制約されることは、想定していなかった。


「サイ!」


迫りくる鉄塊がサイを押しつぶした、と思った。

アームが玉を支えている。

巨大なガトリングをいとも軽々と操る膂力だ。

しかし、相手が大きすぎる。

ずずっと音を立てながら、アームは押されていく。

このままでは2人とも押しつぶされてしまう。


球体がにょきっと再び手足を生やし、アームと力比べの態勢に入る。

手足の力が加わり、アームがさらに不利になる。


「アーム! 僕のことは置いて逃げろ! 君まで巻き添えになる必要はない」


「私はご主人様に作られたロボットデス。ご主人様を見捨てることなどありません!」


球体がいきなり跳躍した。

それを、かろうじてアームが受け止める。

全体重を使って、アームを押しつぶす気だ。

アームが膝をつく。

腕関節が音を立てて曲がる。

やがて均衡が崩れて、アームが下敷きになる。


「アーム!」


サイが悲鳴を上げる。


「ご主人様......。お逃げクダサイ。私はもう助かりません」


「嫌だ! 君を置いて逃げるなんてできない」


「私はご主人様に生み出されました。あなたを救うことができるなら本望デス」


アームの身体のフレームが、めきめきときしむ。


「いつか話されていた、一面のポプラの花畑。ご主人様と一緒に見てみたかったです」


アームの顔は半分つぶれている。


「ご主人様、愛しておりました」


流れ出た一筋の涙とその言葉を最後に、アームは鉄塊に戻った。


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