ネオポリス編5 2人とダンジョン②
50階の扉の奥にいたのは、ウサギだった。
歯車と金属で構成された小さな身体。
体長は50cmくらいだろうか。
てっきり、大きい敵が来るだろうと思っていたから、拍子抜けした。
そのウサギが姿を消した。
途端、あごに強烈な衝撃を感じる。
「キョウさん!」
気が付いた時には、昏倒していた。
ふらつく頭を叩きながら、身を起こす。
「僕はどうして......」
「あいつに蹴られて意識を失っていたんですよ」
キキラがヒールをかけてくれている。
フィールドの中央に目をやると、リリスとウサギが猛烈な勢いで攻防を繰り広げている。
剣と鋭利な爪のぶつかり合い。
俊敏なリリスでも、追いつくのがやっとというスピード。
徐々にリリスが押され始めた。
油断した。
敵を外見から判断してはいけない。
これまで、充分に学んできたつもりだった。
ヒールが終わると、僕はアサルトライフルを構えた。
照準を合わせようとするが、早すぎて無理だ。
最悪リリスを巻き込んでしまう。
何か打つ手はないかと考えていると、ラーナが肩を叩いた。
「たまにはわしのことも頼れ」
そういうと杖をリリスに向かって構えた。
「スキル・速度上昇」
リリスの身体が光に包まれる。
ウサギの猛攻におされていたリリスが、今度は押し返し始めた。
なおも速度は上がっていく。
「身体強化の魔法は、あまり使いたくないんじゃ。
バフをかけている間は、わしは一歩も動けなくなるからの。
しかし、お嬢がウサギに切り刻まれる姿を見てはおれぬ」
制限があると言っていたのは、そういうことか。
納得してリリスに向き直る。
もうすでにウサギを置きざる速度で、リリスは跳ねまわっている。
決着は一瞬だった。
距離を取ったリリスが居合いの構えをとる。
ウサギはこれまでで一番の速さで、フェイントを交えながらリリスに飛び掛かる。
しかし、リリスは冷静だった。
ウサギが正面からと見せかけて急に角度を変え、真横から突っ込んでくる。
「スキル・居合い斬り」
ウサギの頭が揺れ、首が胴体を置き去りにした。
≫
「さすがリリスだね。ほぼ1人でボスを倒すだなんて」
「ラーナの身体強化があったからよ。あれがないと、やられていたのはこっちかもしれない」
たしかに強かった。
速度に関しては、これまでに出会った敵の中でも最速だった。
ラーナが僕の袖を引っ張ってきた。
「街に帰ったら、上等な酒をたらふく飲ませろ。それでチャラにしてやる」
この中身おっさんは......。
しかし、ラーナの身体強化がなければ危うかったのも事実。
仕方なく了承する。
≫
ウサギの身体が消失し、宝箱が現れる。
しかし、今回は大きな宝箱1つだ。
間違いなくエクストラステージの入り口だとして、サイとアームの分がないのが気になる。
あまり説明はしたくなかったが、2人にエクストラステージとその危険度を説明をする。
「なるほど。要はこの先に強敵が待ち受けていて、倒せばより願いに近いものが手に入るわけですな。
でしたら、行かないわけにはいきません。ここまで来て、手ぶらで帰ることにも納得できません」
サイの目を見る。
覚悟は決まっているようだ。
僕らは野営をして体力とスキルポイントを回復させ、51階への転移陣に乗った。




