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ネオポリス編4 アーム

「僕をダンジョンに連れて行って欲しい!」


唐突なサイの希望に、戸惑いを隠せない。


「ダンジョンでどうしても手に入れたい物があるんだ」


サイはちらっとアームを見る。

サイが続きを話そうか、迷っているように見える。


「僕はサイさんと2人で話があるから、3人はアームに案内してもらって、観光しておいで。お金の使い過ぎはダメだよ」



≫

「意図を汲んでもらえて助かったよ。アームの前ではしたくない話だったんだ」


「それで、どうしてまたダンジョンに?」


サイが机の上にアームの設計図を広げた。


「君たちも知っている通り、アームは僕の前世の知識を使って再現したロボットだ。

だけど、僕の前世ではロボットは自分で思考し行動していた」


「アームは、自分の意志で動いているように見えますが?」


「いいや。アームは僕の入力した情報から、行動を選択しているに過ぎない。

僕はアームに自分の意思を持たせたいんだ」


サイがお茶を一息に飲み込む。


「ダンジョンの宝箱には、その主が望む物が入っているんだろう?

僕が望むのはアームの意思。それを作るためのパーツが手に入るはずなんだ。

だけど、僕は機械しか触ったことがないから戦闘なんてできない。

そこで、君たちのダンジョン攻略に同行させてほしい」


僕は逡巡する。

ダンジョンは危険だ。

戦闘経験のないサイを連れて入ることでサイ自身、そして僕らに危険が及ばないか。

その考えを見透かしたようにサイが話を続ける。


「僕に戦闘経験はないけど、アームは強力な武装を扱える。

決して、君たちの邪魔にはならないと思う」


壁に立てかけられた、人間では到底持てそうにない物体に視線をやる。

なるほど、これが扱えるのなら問題ないかもしれない。


「わかりました。ただし、危険と判断したら即攻略を打ち切りますからね」


「恩に着ります!これでアームをより人間に近づけられる!」


サイは小躍りしている。



≫

ダンジョン攻略について、サイと打ち合わせをする。

僕からはこれまでの戦闘から僕たちのバトルスタイルを説明する。

サイはアームの機能をおしえてくれた。


「ところで、君の盾にはそんな機能があったんだね。

ちょっと見せてくれるかな?」


サイは盾をいじり、解体し始めた。


「なるほど、火薬はここにつまっていて、この鉄球がダメージを与えるのか。

......僕にこいつを預けてくれないか?

より強力なものに強化できるよ」


「それは助かります。僕の一撃必殺ですから、火力が上がるに越したことはありません」



≫

路面に面したカフェで、4人はお茶をしている。

ラーナは、相変わらずかたっぱしからケーキを頼んで楽しんでいる。

アームはオイルのブレンドされたコーヒーを飲んでいる。


「アームさんはサイさんに作られたんですよね? 」


「そうデスヨ。今から5年と34日前にアームは誕生しました」


「サイさんのことはどう思っているのですが? 」


「サイ様は私のご主人様デス。何にも代えてお守りします。

サイ様は機械の事にはめっぽう強いですが、それ以外はからきしでして。

なので、日常生活の補佐から先日のような外での調査も私が行っていマス」


「アームはサイの右腕なのね」


リリスがクッキーをほおばりながら、感想をもらす。


「右腕なんて、そんな。私はただサイ様のお役に立てるだけで幸せなのデス」



≫

夕方、観光を終えた4人と合流した。

サイにおしえてもらったレストランで食事をする。

昼食をとったところとは違い、今度は肉や魚を使った料理がでてきた。

ひき肉を焼きごてで押しつぶして焼き、それを具材とともに挟んであるハンバーガー。

圧力によって、骨まで食べられるほど軟らかく煮こまれた魚の鍋。

ネオポリスには、独自の調理法も存在するようだ。

晩御飯を堪能したのち、宿をとる。


各部屋に浴室があり、シャワーと呼ばれる温かい雨を降らせる道具には心がおどった。

流れ出るしずくが、身体を伝う感覚が気持ちよい。

部屋に置かれた機械仕掛けの画面が、時間を知らせてくれる。

そろそろ寝て、明日からのダンジョン攻略に備えなければ。

僕はベッドに横になった。

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