ネオポリス編3 ネオポリスの街
僕らは、ネオポリスの門をくぐった。
機械で組み立てられていて、緊急時にいつでも封鎖できるように大きな歯車で鋼鉄の扉を支えている。
ここが機械の街か。
入り口からすでに思い知らされる。
通りを見て唖然とした。
歩道と車道が整備され、自動車が走り回っている。
僕らのジープとは違い、馬車にエンジンが取り付けられたものが多いが、
中には高級そうな丸みを帯びたデザインの物の混じっている。
通りのそばにある一軒の食堂に入る。
とりあえず腹ごしらえだ。
メニューを注文しようとして気が付く。
通貨が違う。
僕らの使っている金貨や銀貨ではなく、ゼロの連なった数字が羅列されている。
「キョウ様たちは、ネオポリスは初めてデシタネ。
この街には独自の通貨があります。
換金できますので、案内しますね」
≫
アームが、銀行と思わしき建物に連れてきてくれた。
「金貨が5枚ですね。換金しますと、50万クレジットになります」
受付の女性が対応してくれる。
通貨を受け取ろうとして手を出すと、腕輪を渡された。
理解が追い付かず見つめていると、再びアームが説明してくれる。
「ココでは、現金は持ち歩きません。
店でその腕輪を読み取って、そこから通貨が銀行から引き落とされる仕組みデス」
まさか、ここまで発展しているとは......。
自分の常識を根底から覆された気分だ。
他の2人も固まっている。
ラーナだけは、いつも通りひょうひょうとしている。
「転生者ばかりの世界じゃ。こういう街もあるじゃろう」
とりあえず、通りのレストランで食事をしよう。
扉に近づくと、ドアが勝手に開いた。
そろそろ何が起きても驚かなくなってきた。
テーブルにはメニュー表があった。
それぞれにボタンが付いている。
食べたい物を選んでボタンを押すと、必要なクレジットが画面に表示された。
僕は画面に腕輪をかざす。
チャリン!と音がして、腕輪に書かれているクレジットの表記が変わる。
49万クレジット。
こういう使い方なのか。
見たことのない食べ物がテーブルに並んでいる。
クッキーのように角ばった棒状の固形物。
袋に入ったジェル状の飲み物。
触るとムニムニする、スライムと固めたようなお菓子。
どれもおいしかったが、食べ慣れた料理が恋しくなった。
「皆様、お食事も済んだところで、アームのご主人様の元へお連れシマスネ」
≫
裏通りにその工房はあった。
看板には名前が書かれていない。
ラーナが扉を押し開ける。
「ご主人様、ただいま戻りマシタ!」
「おお! おかえりアーム。
帰りが遅いから心配していたんだよ」
奥から、白衣を着たやせ形の男が出てきてアームを出迎える。
アームと抱擁をかわした後、僕らの存在に気付いたようだ。
「ご主人様、こちらの方々に私は助けていただきマシタ」
アームが経緯を説明してくれた。
「おお、あなた方はアームの命の恩人でしたか!
私はサイ。アームの生みの親にして、天才科学者です!」
ちょっと仰々しい物言いだが、アームはたしかに今まで見たことのない機械だ。
自分で動き、しゃべっている。
「これはロボットという技術でね。前世では当たり前に存在していたんだよ。
この世界では大掛かりな設備が作れないから、ここまで作り上げるのに苦労したよ。
とりあえず、落ち着いて君たちについて聞かせてくれないか?」
サイが雑多になっている机の上を薙ぎ払い、奥からお茶とお菓子を持ったアームが現れた。
僕らは、今までの旅の経緯を説明した。
アキを助けるために旅をしていること。
ダンジョンを攻略していること。
サイの目が輝く。
「君たちは、いくつものダンジョンを攻略しているんだね!
それならお願いがある。
僕をダンジョンに連れて行って欲しい!」
唐突な依頼に僕らは驚く。
唯一、ラーナだけがお菓子をもりもり食べていた。




