ネオポリス編1 新たな足③
救出した兄弟を親元に無事届けたのち、僕らは宿に戻った。
ジゼットに依頼した魔道具作成まで、あと1週間。
僕らは鍛錬に時間を割いた。
アニトのエクストラステージで対峙した4人パーティー。
僕らは、いつも1体の魔物を倒してきた。
しかし、この先、連携をとる魔物が出てきてもおかしくない。
そのために、もう一度それぞれの実力を確かめ、不測の事態にも臨機応変に対応できるようにしておく必要がある。
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リリスが空中歩行で滑空し、敵と定めた大木に斬りかかる。
「スキル・刺突!」
大木に大穴が開き、倒れこむ。
リリスの刺突は強い。その貫通力だけでなく、瞬間的な加速も評価できる。
実際に、魔物の攻撃をかわすときにも使用してきた。
空中歩行と刺突、相性がとてもよい。
そこで思いつく。
「リリス、刺突を撃つ瞬間に、思いっきり空中歩行に溜めを作ってみて」
「キョウはいつも難しいことを言うね。わかった、やってみる!」
先ほどと同じくらいの大きさの大木の前に立つ。
リリスが空中で幾度か方向を変えたのち、両足を思いきり曲げ、力を溜める。
「...スキル・刺突!」
やすやすと大木を貫通して、なおリリスの勢いは止まらない。
数十メートル木をなぎ倒したところで、ようやく止まった。
リリスが、木片をどけながらはい出てきた。
「うそ、こんなことできたんだ」
「ものすごい威力だね。これはもう、『刺突 改』でいいんじゃないかな?」
「いいネーミングね! 気に入ったわ!」
それからも、リリスは飽きるまで『刺突 改』を放ち続けた。
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次は僕とキキラだ。
今度は対人戦。
先制攻撃はキキラ。
槍を巧みに操りながら、僕を追い詰めてくる。
剣と盾でしのぐが、たまらず距離をとる。
「ウォータージャベリン!」
水流の槍が飛んでくる。
額をかすめ血が流れる。
「キョウさん! ごめんなさい。すぐにヒールを...」
「大丈夫! このまま続けよう」
実戦形式だ。
多少のケガは覚悟の上。
近接戦では手数に圧倒され、距離を取れば飛ぶ斬撃。
本当にやりづらい。
やはり、からめ手しかないか。
「スモークグレネード!」
キキラの足元で、グレネードがものすごい勢いで煙をはきだす。
僕は、アサルトライフルに取り付けた熱感知装置付きのスコープで、煙の中のキキラをサイトにとらえる。
ゴム弾を発射。
頭にヒットした。
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「ちょっと卑怯だったかな? でも僕にはこういう手段しかとれないんだ。
スキルがないし」
「キョウさんらしい戦い方でよいと思います。実際かなり混乱しましたし」
キキラがヒールをしながら褒めてくれる。
心なしか、いつもより距離が近い。
少しどきどきする。
温かな余韻を残して、キキラが離れる。
「次はラーナの番なんだけど......」
「わしに鍛錬なんぞいらん。まだ実力の半分も出しておらんわ」
実際にそうなのだろう。
実戦でラーナの攻撃魔法を見たのは数回。
使う魔法のほとんどは足場の生成など補助魔法で、戦闘のサポートに回ってくれている。
最初に魔物と勘違いして対峙したときにやり合った際、近接戦の心得があるところは見ている。
「現状、お主らで問題なく対処できておる。特に坊主、お主はスキルがない中よくやっておる。」
突然ラーナから出た誉め言葉に驚き、顔がゆがむ。
「なんじゃ、わしはこれでも坊主を高く評価しておるよ」
むず痒い感覚を覚えながら、それからもキキラと模擬戦を繰り返した。
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3週間後。
「ようやく完成したよ! 加速と運転精度の調整に苦労したよ。
車と違って、駆動部が直接地面に接地するわけじゃないからね」
目の前に、ジープよりやや大きい物体が置いてある。
空気の入ったゴムボートに、底部には自走式の車輪。
後方にはこれまた大型のプロペラ。
「私の力作、ホバーボートだ! これなら湿地のぬかるみも水面もスムーズに移動できる。屋根も展開できるから、そのまま野営もできるよ」
「ジゼットさん、設計図通り、いやそれ以上の出来です!」
僕は目を輝かせて、細部まで子細に確認する。
ジゼットと熱く議論をかわす。
「あーあ、また始まった。わたしたちはカフェで待機ね」
これで湿地帯の足を確保した。
次に目指すは機械の街、ネオポリスだ。




