アニト編9 キマイラ①
冒険者の2人を30階の転移陣で送り出した後、僕らは40階を目指した。
途中で何度か魔物に出くわしたが、僕らの敵ではなかった。
野営の準備をする。
「キキラ、今日のごはんは何?」
「今日は久しぶりのお肉料理です」
「お肉!やった!わたしの分はみんなの倍にしてね」
相変わらず胃袋が大きい。
リリスのバトルスタイルは体力の消耗が激しいこともあるんだろうが、
それでも食べすぎではないだろうか。
「娘っ子よ。このスパイスを使ってみるがよい。肉の味が引き立つ」
ラーナが収納魔法で小瓶を取り出す。
僕らは久しぶりの肉料理を堪能した。
≫
いよいよ40階。
どんな魔物が待っているんだろう。
扉を開ける。
5mはありそうな石の塊。
丸太よりもかなり太い両手足。
その一撃を受ければ、無事では済まない。
その手には両手剣を持っている。
ゴーレムだ。
「どれ、号砲はわしが上げるかの。スキル・アイスジャベリン」
アイスランスよりも大きく、三又に分かれた槍が形成され飛んでいく。
ゴーレムの胴体に直撃し、大きなへこみを作った。
「思ったより頑丈じゃな。まぁダメージは与えた。後は主らにまかせる」
ラーナは遠距離で、杖をぶらぶらと構えている。
僕らはゴーレムに接近した。
両手剣のリーチが厄介だ。
僕は拳銃で顔に攻撃しつつ、間合いを測る。
リリスが両手剣をひきつけ、キキラが合間に攻撃をしかける。
思ったよりは柔らかいようだ。
キキラの槍でもダメージは通っている。
「二人とも一旦離れて。グレネード!」
ゴーレムの目の前で爆発する。
態勢が傾いた。
すかさずリリスが攻撃を加える。
「スキル・剣舞 參式!」
4つの斬撃が同時に飛ぶ。
ゴーレムの胴体が両断された。
「いつのまに参式まで覚えたの?」
「わたしだって日々特訓してるのよ。いずれは10閃を重ねて見せるわ!」
「非常に頼もしいですね。私の槍もそろそろ強化しなければいけません。
ダメージが通りづらくなってますから。
宝箱から強化用の魔石がドロップするといいのですが」
「動きをかく乱してくれるだけでもすごく助かってるよ。
キキラ、ありがとう」
キキラは赤面している。
≫
41階から49階は難なく進めた。
以前なら苦戦していた魔物も、今では連携だけで倒せるようになっていた。
マグマの地形が現れたときには驚いたが、
ラーナが氷結魔法を使ってくれたので、汗だくになることはなかった。
「魔法って本当に便利よね。年中クーラーいらずだわ」
「お嬢、前も言ったように、魔法に頼り切るではない。
魔法は他のスキルに比べて、ポイントの消費が激しい。
前世では、その者の持つ魔力に魔法は比例していた。
わしの場合は無尽蔵に魔法を打てた。
だが現世ではそうはいかん。
使いどころを間違えてはいけないのじゃよ」
「それでも快適な旅路には必要だわ。体力を余計なことで削りたくないもの」
リリスは屁理屈を言う。
キキラが苦笑している。
「僕らのパーティーは、3人が前衛だ。ラーナの魔法は極力温存する方向で。
前衛が崩れたときのフォローをしてもらう」
ラーナの魔法は強力だが、スキルポイントとの調整が難しい。
できれば、余力を残した状態で敵に勝ちたい。
そうこうしている内に僕らは50階にたどり着いた。
ここまで来るのに、思ったより苦戦しなかった。
それでも扉を前にすると、自然と手に力が入る。
慎重に扉を開ける。




