アニト編4 砂漠②
20階の扉を開く。
そこはまたしても砂漠だった。
ボスフロアにしてはかなり広い。
そして敵の姿が見えない。
「敵はどこだろう?」
「わたしたちにびびって逃げちゃったんじゃない?」
「油断は禁物ですよ、リリス」
「ふむ、この地形。地中に注意せよ」
途端地面が揺れだす。
前方で砂が渦を巻き敵が姿を現す。
サンドワームだ。
太い胴体に大きな口。
牙が円周上に配置されている。
「リリス、キキラ、行くよ!」
「わしは後方から支援する」
「スキル、居合い斬り!」
リリスの一閃。
サンドワームの胴体に深い傷を残す。
防御力は高くないようだ。
僕の剣、キキラの槍でも簡単に傷つけられる。
キキラに向かった体当たりを盾でガードする。
このまま押していけば簡単に倒せそうだ。
サンドワームは巨体を振るわせたのち、地面にもぐりこんだ。
これでは手が出せない。
「ちょっと、卑怯じゃない!さっさと出てきて斬られなさいよ」
地面が振動する。
サンドワームが移動しているのがわかる。
リリスの足元が隆起した。
「リリス!」
「うわ!」
一瞬遅かった。
反射的に身をひるがえしたが、牙が太ももをかすめた。
途端にリリスがへたり込む。
身体が動かないようだ。
「いけません!スキル・ディスペル」
サンドワームの毒は体の自由を奪うのか。
地中から飛び出しては舞い戻り、毒牙にかける。
また厄介な相手だ。
キキラはリリスの解毒にかかっている。
二人を無防備にさらすわけにはいかない。
僕は二人に駆け寄ろうとした。
「難儀しておるようじゃの。手助けしてやろう」
ラーナが一伸びしたあと歩いてくる。
「坊主よ、おとりになれ」
≫
僕はリリス、キキラとは反対方向に向かって走っている。
剣と盾を打ち鳴らし音を出す。
地面が盛り上がりサンドワームが近づいているのがわかる。
適度なところで足を止める。
サンドワームが飛び出してきた。
僕は牙を盾で防ぐ。
「上出来じゃ。坊主、サンドワームを地面から引きずり出せ」
手にグレネードを抱え、サンドワームの根元に投げる。
「グレネード!」
サンドワームの尾が吹っ飛び、巨体が空を舞う。
「スキル・氷結」
瞬時に地面が氷ついた。
再び砂に潜ろうとしていたサンドワームを氷が阻む。
「あとはお主でなんとかできるじゃろ」
サンドワームが口を開けて這いながら近づいてくる。
「グレネード!」
開いた口に3つ放り込む。
爆発とともにサンドワームは四散した。
≫
リリスとキキラに駆け寄る。
「大丈夫?」
「しばらくは身体のしびれが残ると思いますが、一応の解毒は終わりました」
「腕がびりびりするよお」
リリスが嘆いている。
ひやっとする場面もあったが、ラーナの魔法に窮地を救われた。
「ラーナ、君がいてくれなかったら危なかった。
ありがとう」
「礼などいらぬ。
お主のことじゃ、わしがおらずともあの程度の魔物なら対処しておったじゃろ」
「そこはどうかわからないけれど。
それでもありがとう」
ラーナが鼻を鳴らす。
僕はサンドワームの口から毒を採取した。
大サソリのものと合わせて何かに使えそうだ。
≫
「そうだ。まだ渡してなかったね」
懐から四葉の首飾りを取り出す。
「僕らのなかまになってくれてありがとう。これは仲間の印」
「いきなりネックレスのプレゼントとは。
キョウ、お主なかなかやるの。
気に入った!」
さっそく首に着ける。
よく似合っている。
「さすがにこれ以上潜るのは厳しいかな。
一旦街に戻って態勢を立て直そう」
「賛成ですわ。砂漠続きで服の中まで砂だらけです。
早くシャワーを浴びたいですわ」
「わしが一緒に浴びてやろう」
「ラーナは別で入ろうね」
釘を刺す。
こうして僕らはダンジョンを後にした。




