アニト編4 砂漠①
僕らはいま19階を歩いている。
見渡すばかりの砂。
凸凹とした砂丘。
この階は砂漠のようだ。
いずれの階もそうだったが、3日もあれば通過できるだろう。
10階を攻略した後、僕らは一旦街に戻ろうとしたが、
これを見越していたのかラーナが収納魔法で食料などを多めに用意していたため、
ダンジョン探索は続行となった。
「しっかし暑いわね!ラーナがフードを用意してくれていたから助かったけど。
ラーナ、氷だして」
「我慢せい。魔法は他のスキルに比べてポイントの消費が激しい。
不測の事態に備えて温存しておくのが基本じゃ」
リリスがぶーぶー言っている。
確かに暑い。
「ふむ。日中の移動はやはり困難か。
キョウよ、日陰を探して休息をとろう。
砂漠の移動は気温の下がる夜間が定石じゃ」
なるほど。
この強烈な日差しの中で砂丘を上り下りするのは危険だ。
ラーナに言われた通りの場所を見つけてテントを張る。
太陽の光がないだけで温度はだいぶ違う。
魔道具で魔物よけの結界を張ろうとしたところで、砂漠の影から複数の魔物が見えた。
大サソリだ。
「あの魔物のしっぽには気をつけよ。猛毒を持っておる」
僕ら3人がかりで討伐する。
しっぽの攻撃がきたときは一瞬ヒヤッとしたが、僕の盾で防ぐことができた。
盾に紫色のべったりした液体がついている。
「この毒はくらった相手の体力を奪うだけでなく、しびれを残す」
ラーナが毒をぬぐってくれた。
毒、これは使えそうだ。
僕は残った大サソリのしっぽから大量の毒を集め、
魔道石のついた瓶に集めていった。
≫
「それにしてもその収納魔法、すっごく便利ね!
これからは快適な旅が送れそう」
「こんなに暑い砂漠で冷たい水が飲めるなんて。
本当にありがとうございます」
「攻撃魔法についてはまだ初級のスキルしか使えんが、
生活系の魔法なら強さは関係ないからの。
大方のものは任せておけ」
ラーナの話は続く。
「前世では天候を操って雷の雨を降らし、一面を焼野原にする業火を放っておった。
今はレベルアップに期待じゃな。
じゃが悪いことばかりではないぞ」
キキラに視線を向けて言う。
「美少女だから許されることも多い」
再びキキラの胸に向かって飛び込もうとするのを制止する。
キキラはおびえた目をしている。
「なぜ止める!この姿なら問題なかろうて」
「キキラが嫌がってるから止めるんだよ!」
「わたしなら構わないわよ。前世がおじいちゃんだったとしても、
今はかわいい女の子だし、わたしももふもふしたい」
「お嬢はわしの好みではない。もっと成長してから出直せ」
リリスが自分の胸を見た後、ラーナと喧嘩を始めた。
やれやれと思いつつ、ここまで安全に進めていることに安堵する。
魔法使いがいるとここまで心強いとは。
僕ら3人はこれまで接近戦で敵を対処してきた。
そこに遠距離攻撃が加わるのだ。
戦略の幅が大きく広がる。
それに収納魔法。
スミス工房には拳銃以外にも色々な銃器が置いてあった。
片手に収まるものとして拳銃を選んだが、
より大きく高火力な武器も取り入れることができそうだ。
僕らは休息をとり、夜間に歩き続けた。
≫
あれからさらに1日歩いた。
砂漠の先にはオアシスと20階の扉があった。
多少疲れは残るものの、戦いに支障をきたすほどではない。
僕らは先に進んだ。




