ハランド編7 対 魔法②
僕とリリスが走り出す。
キキラは距離を取りつつ、すぐに回復できる位置取りをする。
炎の壁が近づく。
まだだ。
もう少し近くへ。
手持ちのグレネードはあと3つ。
それを全て、距離を変えて投擲する。
――爆発。
炎の壁が薄くなる。
線上に抜け道が生まれる。
「リリス、今だ!」
「オッケー! スキル・円陣斬!」
妖刀の一撃で、炎の壁がさらに拡散する。
「リリス、僕にぴったりくっついて!」
盾を壁にしながら疾走する。
「リリス!」
声をかけると、意図をくみ取ったリリスが僕を踏み台にし飛び跳ねた。
「スキル・刺突!」
リリスの体が一気に前に加速する。
あっという間に炎の壁を突破した。
僕は、炎に巻かれたまま最後の仕事をする。
「リリス、目をつむれ! スタングレネード!」
強烈な閃光と爆音。
ワイトキングたちは視覚と聴覚を奪われ、おろおろしている。
そこからは一瞬だった。
「スキル・剣舞!」
ワイトキングのうち、1体がリリスの一閃に切り裂かれた。
もう1体が、杖の先に火の玉を作る。
だが、もう遅い。
リリスが杖を切り落とし、ワイトキングを袈裟懸けに斬った。
勝った。
炎の壁が消える。
≫
「キョウ!」
リリスが駆け寄ってくる。
「動かないでください。スキル・ヒール!」
キキラが唱える。
自分の身体を見る。
大火傷だ。
思わず目をそむけたくなるが、覚悟の上の傷だ。
「これは、私のヒールだけでは治りません。急いで、街の病院へ参りましょう」
リリスが僕のそばに寄ってくる。
「キョウがスキルを使えない中で、自分のできることを一生懸命探してることはわかってる。
だけど、こんな戦い方は二度としないで!
自分を犠牲にしないで......」
リリスが涙ぐんでいる。
キキラがそっと抱きしめる。
「キョウさん、私たちはパーティーです。
一人でできないことはみんなでカバーする。
それがパーティーです。
私たちを信じて、今後はあまり無理をなさらずに」
「ごめん、今回は無理をしすぎた。
しばらく、魔法は見たくないな。当分夢に出てきそうだ」
リリスとキキラが、クスッと笑った。
二人に担がれながら、ようやく安堵する。
転移陣が起動し、ダンジョンから街へ戻る。




