ハランド編7 対 魔法①
僕たちは、ダンジョンの40階に挑んでいる。
部屋に明かりが灯っていく。
複数の影が見える。
――3体のワイトキングだ。
魔法を操るアンデッド。
今まで対峙したことのない、魔法戦だ。
それも、3体同時。
「気を付けてください。ワイトキングは、火属性の魔法を操ります」
キキラが教えてくれる。
それと同時に、ワイトキングたちは杖を掲げた。
火の玉が先端に宿り、放たれる。
「ファイアボールだ!」
とっさに後方に飛びのく。
僕らの前方に着弾し、爆発して炎をまき散らす。
危なかった。
これは非常に厄介だ。
直撃したらと思うと、怖気が走る。
「次が来るわよ!」
僕らは、リリス、僕、キキラの順に陣形を整える。
ファイアボールが迫りくる。
リリスは妖刀を抜いた。
「スキル・居合い斬り!」
ファイアボールが切り裂かれる。
魔法対策をしておいてよかった。
残り火を僕が盾で防ぐ。
キキラが軽い火傷をヒールで治す。
とりあえず、しのぎ方はわかった。
ここからは攻撃開始だ。
まずは小手調べ。
「グレネード!」
ワイトキングたちの中心に投げ込む。
爆発し、1体が吹き飛んだ。
すかさず銃弾を撃ち込む。
胴体に数か所、風穴が開く。
「スキル・刺突!」
動きの止まった奴に、リリスがとどめの一撃を与える。
これで残り2体だ。
≫
ワイトキングが詠唱を始めた。
嫌な予感がする。
「リリス、早めに決着をつけよう。さっきの要領でいくよ!」
「わかったわ!」
「グレネード!」
ワイトキングたちは後ろに飛び、爆発をかわす。
さすがに同じ手は通じないか。
そして詠唱が終わる。
眼前に炎の壁が現れた。
「なにこれ! これじゃ近づけない」
ワイトキングはニヤリと笑い、ファイアボールを放ってくる。
再び先ほどの陣形に戻りやり過ごす。
これはまずい。
消耗戦になってしまう。
ワイトキングの魔法がいつまで続くかわからない以上、こちらのスキルポイントがもつか心配だ。
特にリリスは、妖刀を振るう度にスキルポイントを吸われていく。
何か突破口を見つけなければ......
「スキル・円陣斬!」
リリスが、2つのファイアボールをかき消す。
「スキル・ヒール」
キキラが火傷を癒す。
ワイトキングのファイアボールの勢いは、とどまるところを知らない。
防戦一方だ。
何か、何か突破策を。
必死に思考をめぐらす。
炎の壁は高く、飛び越えることはできそうにない。
飛び込んで突っ切るには、壁がぶ厚すぎる。
通り抜けるころには、火傷だらけで動けなくなるだろう。
こちらの手札は、魔法の切り裂けるリリスの妖刀。
キキラのヒール。
そして僕。
照準を定めて銃を撃つ。
炎の壁で弾の勢いが弱まり、ワイトキングに大したダメージを与えられない。
この距離では、グレネードは奴らに届かない。
手詰まりか......
こんなところで全滅するわけにはいかない。
撤退も視野に入れる。
「グレネード!」
悔し紛れに投擲する。
炎の壁に阻まれ、奴らに届くことなく爆発する。
爆風によって、炎の壁が一瞬ゆらめいた。
これだ!
「リリス、キキラ、これから僕の指示に従って。
僕はこれから特攻をかける。リリスは、僕のすぐ後ろについてきて。
キキラはヒールの待機を」
「わかったけど、突っ込んだところであの壁をどうするの?」
「僕に考えがある」




