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舞踊劇酔夢譚 (バレエすいむたん)、僕は白鳥のバレリーナ  作者: 優鶴
衣装の魔力と憑依、近づく本番
20/22

発表会前日、衣装と鏡の魔力

第20話


明日は午前が本番同様に舞台で行なうゲネプロで、午後が本番の発表会になる。

家に帰ると、明日に備えて準備をした。


部屋で一人、衣装を着てウィッグとリップクリームもつけて、鏡で自分の姿を確認した。

半年前に教室から渡されたチュチュを初めて着た時とは、全く違って見える。

「僕はこんなに変わったんだ・・・」

部屋の照明を薄暗くしてみた。

きれいな衣装を着たバレリーナが、鏡に白く浮かび上がって映っている。大人の女性の雰囲気さえ感じる。

腕を上から後ろに回して胸を張ったポーズをとってみた。胸の膨らみと、括れた腰から膨らみを増したお尻へのラインが魅惑的だった。

「綺麗だ・・・・」

明日このチュチュで観客の前で踊れると思うと、胸が高鳴った。


腕と手をしなやかに動かしてみた。

脚を上げたポーズもとってみた。

前屈の姿勢もとってみた。フリルの刺繍されたパンツがスカートから突き出る。半年前にはとても恥ずかしかったお尻のパンツが、やがて衣装の一部として気にならなくなり、今は魅惑的に見える。

チュチュは清純な白鳥を装いながら、その実、スカートを跳ね上げ、極限まで脚を露出し、お尻のラインを強調する非常に挑発的な衣装だ。


鏡のバレリーナが本当の自分なのかもしれない。鏡の中と外が分からなくなってきた。

鏡のバレリーナの目を見た。目は心の窓とも鏡とも言う。僕を見つめるその目は、完全に女の子の目だった。

この時、身体が何かに取り付かれたように、突然ゾクっと震えを起こした。そして、この衣装と踊りで観客を魅惑したいという欲望が、ムラムラといっそう強まった。

鏡の中のバレリーナにつぶやいていた。

「あなたは、わたしなのよ・・・・。観客を魅惑するのよ。いいこと」

鏡の中のバレリーナも僕に、同じことをつぶやいていた。


ふと、“白雪姫”のお話しで、魔法の鏡に向かい継母が『世界中で一番美しいのは誰?』と問い掛けをする場面を思い出した。

僕はこの衣装と鏡の魔力に魂を奪われているのだろう。

読んでくださり、ありがとうございます。

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