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舞踊劇酔夢譚 (バレエすいむたん)、僕は白鳥のバレリーナ  作者: 優鶴
バレエ教室外での出来事、ハプニング
14/22

壮行会、私服の誘惑

第14話―1:お誘い、当日の朝の集合駅


秋のお彼岸のころ、

「再来週の祭日、良かったら一緒にテーマパークとケーキ作り教室に行かない?」

一緒に踊る上級生の二人から、レッスン終了後に誘いがあった。

「一緒に踊る子たちで壮行会をするのよ」

聞けば、一緒に踊る3年生のメンバーに一部2年生が加わって、10人ちょっとくらいになるという。

「春奈さんもいるし、由紀菜さんも加わるかもしれないわ」と付け加えた。

「女の人ばかりのなかに、男僕一人ではちょっと」

と躊躇していると、二人に両手を握られて懇願するように甘える声で、

「ね~ぇ。いいでしょ~。一緒に行きましょう~よぉ~」

「おねがい~。あなたがいないとつまらないのぉ~」

と迫られて、「はい・・。じゃ。行きます」と言ってしまった。

年上の女子からは、僕は押しに弱く手なずけ易いのかもしれない。

踊りでも上級生には同級生よりも女性らしさを感じる。1年の差は大きい。



当日、指定された駅の改札口に集合した。10月初だが風が寒く感じる。

人数は10人程度との話しだったが、女子16人と僕の計17人という大人数になりすごく驚いた。その中に春奈さんも由紀菜もいる。

「午前中はケーキ作り教室で、午後はテーマパークで遊ぶ予定です」

と纏め役の子からスケジュールの説明があった。


皆が私服で少し大人に見える。でも皆、中学生なのでストッキングは穿かず生足だった。

バレエの女の子には、自分を見せるという独特の雰囲気がある。そんな女の子達が十数人の集団で、しかも由紀菜を含めミニスカートの子がけっこういるので、人目を引く。

ミニスカートは、着こなしている子とそうでない子がいる。

由紀菜のミニ姿を見るのは初めてだ。由紀菜の着こなしは後者で、仕草にも未だミニに馴染んでおらず恥ずかしいが頑張って着てきたような初々(ういうい)しさがあった。

皆共通して普通の女の子に比べて、太ももは内側の筋肉が鍛えられ生ゴムのような弾力を感じさせ、それにお尻も上向きに見える。

しかし、由紀菜の鍛えられたムチムチの太ももとプリっとしたお尻のミニ姿は着こなしが未熟で、品のある育ちの良い顔ともアンバランスで、バレエの田舎娘のようで何とも芋ぽかった。

「由紀ちゃん、似合って素敵だね」

由紀菜と目が合った時、その目が不安そうに訴えてきたので、思っている事とは逆を言ってしまった。

「ありがとう」

由紀菜ははにかみながら、ほっとした笑顔になった。


春奈さんはプリーツスカートで膝上だがミニでなく、それが残念だった。

僕は春奈さんのミニ姿が見たい。鍛えられたスラリとした美脚と形の良いプリっとしたお尻で、スタイルも良くさぞかし似合うだろう。

春奈さんから、

「みんなで今日はオシャレして来る事にしたの。私もよ。みんなあなたのファンなのよ。うふふ」

と意味深な笑みで、いたずらぽかったが斜め上目づかいで言われた時は、年上の女性の魅惑を感じた。

「でも、今日はミニの人は寒くない?」と言うと、

「そこは女の子の根性よ。魔法に掛ける為には、寒くてもミニで頑張るのよ。女の子の根性を甘く見たら駄目よ」と切り返してきた。

そして続けて、

「それにさっきも女の子達で、『フフフ、まかしとき! あの児を虜にするのは女の子の太ももに限るわ。こと太ももの魅力に関しては仲間でも一・二を争う、フン、女さ』なんて、アニメのドロンジョ様の真似で競い合っていたわ。普段はおとなしい子でそんなこと言う子達ではないのだけど。余程わくわくしているのね。今日は誘惑が大変よ」

冗談なのか本気で言っているのか。女子達に僕は早くもおもちゃ扱いで遊ばれている。

「バレエの物語にもあるでしょ」

おそらく『白鳥の湖』の舞踏会で、悪魔の娘オディールがその美貌と衣裳と踊りで花嫁候補達を蹴散らし、王子様を魅惑し虜にしたことを言っているのだろう。

「今日はあなたのファンクラブが計画したのよ」

「まだファンクラブなんかあるの? ほんとうに恥ずかしいよ」

「何言ってるの。あなたのチュチュ姿を見てファンが増えたくらいよ。今日あなたが来るというので、参加者が随分増えたのよ。都合で参加出来ない子は残念がっているのよ」

本当?・・・単に遊びたい言い訳として、僕を山車しているだけじゃないの?



第14話―2:午前、ケーキ教室


ケーキ教室では、

カップケーキを作ることで4組に分かれた。

僕が加わる組を決めるのに、組対抗のジャンケンがキャーキャーいいながら、まるでアイドルを奪うかのように行われた。

「最初はグー。ジャンケンポン」、「キャー」。

「決勝戦よ。最初はグー。ジャンケンポン。あいこでしょ」、

「キャー」、「ワー」、「あァー」

恥ずかしい。でも気分は悪くない。僕は由紀菜や春奈さんとは別の組に入った。

各自が持参のエプロンを着けたが、その姿に普段見ているレオタードやチュチュとは違った新鮮さがある。女性に見え、同学年の子にさえ大人の雰囲気を感じる。


でもミニの子はやはり気になる。ミニスカートの裾辺りがまぶしい。

由紀菜でさえ気になる。元々プロポーションは悪くはないのだが、着こなしと仕草がどんくさいのだ。でも今日は、頑張ってミニにしてきたのだろう。そう思うと、芋っぽさが健気で可愛く感じられてきた。

ミニの子たちも慣れてきて、作業中に前屈みになったり、ものを拾うためにかがんだりの動作を普通に行なうようになってきた。目がいってしまう。

でも僕も女の子達から見られているはずだ! 

ダメダメと一生懸命に無関心を装った。


僕は女の子達からの指示に従い従順に作業したが、ケーキ作りは思いのほか面白かった。

他の組から、

「わー、すごい! 上手!」

と声が聞こえた。見ると、或る子が玉子を片手に取り容器のふちで軽く割れ目を入れると、瞬時に割っているのだ。片手できれいに割ってしかも手は汚れていない。家では見たこともない玉子割りの芸だ。


僕の組の女の子から、ボーと立っている僕に指示があった。

「ボールのたまごを泡だて器で泡立てて」

「はい」。

「そんなでは、泡状にならないわ。勢いよくかき混ぜて」、さっそく指導が入った。

「はい」。

そうこうしていると、他の組の女の子からも、

「粉を入れたらそんなにかき回してはだめ。泡がつぶれるわ。切るように混ぜるのよ」、

と嬉しそうに指導が入る。やはり注目されているのかな。

あちこちから笑い声が聞こえる。あはははははは。女の子達はほんとうによく笑う。皆、楽しそうに作業をしている。

段々とバレエ教室とは違うその子の性格や、日頃の生活活動が分かってくる。

家庭で料理を日頃手伝っていて手付きが慣れている子だったり、結構料理知識の豊富な子だったり、僕を手伝ってくれたり、あまり喋らないと思っていた子が結構喋ったり等々。


カップに生地を流し込んで焼いたパンケーキの上に、各自が自由に飾り付けを行なった。

生クリームとイチゴ、アイシング、キャンディーを用いて飾るなどや、チョコレートで飾るなど様々なものが出来上がった。

それぞれの美的センスが表れて面白い。

僕はレーズンを混ぜたパンケーキに、上は生クリームの渦巻きの上にイチゴのせた。一番オーソドックスであるがオリジナリティはない。


お昼は作ったカップケーキを交換しながら食べた。

普段は食事に気を付けている子達だが、今日は皆楽しそうに食べ始めた。

春奈さんが、

「私の作ったカップケーキを食べて」、と僕に持ってきた。

すると、由紀菜も、

「私のカップケーキも食べて」、とニコニコしながら持ってきた。

ミニ姿を褒めた僕の言葉を素直に信じて、気分を良くしているようだ。そんな素直さが由紀菜らしいところでもある。

「私の作ったカップケーキも食べて」、次々に女の子達が持ってきた。

アイドルがファンからプレゼントをもらうようだった。

ケーキ教室から大き目の箱をもらい、食べられない分は家族へのおみやげにした。



第14話-3:午後、テーマパーク、ハプニング


午後からは近くにあるテーマパークに行った。荷物は入口のコインロッカーに入れた。

ジェットコースターと観覧車にのった時のことである。


ジェットコースターにいよいよ乗るとき、乗り場ホームで前方にいた何人かのスカートが予期しない強い風にあおられて捲れた。

「わっ!」。女の子達は慌ててスカートを抑えたが、下着の見えた子がいた。その中に春奈さんがいた。

前方集団の一番後ろにいた春奈さんはスカートが完全に捲れて、パンティが丸見えになってしまった。ピンク色だ!

ミニスカートではなく下着でおしゃれをしていたのだ! それで今朝、「うふふ」と斜め上目づかいの意味深な笑みをしたのだ。

うしろで並んでいた他の客にも、しっかりと見られてしまったようだ。

「おぉー」、と微かだが嬉しそうな声が、何ヶ所からか聞こえた。

僕にとっても印象深い一瞬であり、生足の太ももとピンクの生パンの残像が目に残った。

春奈さんにも状況が分かったはずだが、何事も無かったように振舞おうとしていた。でも、動揺しているのが分かる。顔が少し赤くなっていて、先輩の春奈さんが今までとは違い、可愛い女の子に見えた。



観覧車に乗った時の事である。6人乗りに5人で乗った。

「僕、どこに腰かけたらいい」

「真ん中に腰かけて」、と僕は指定された席に着いたが、向かいに腰かけた3年生の2人がミニのタイトスカートだった。

その時、その二人の生足の太ももに魅せられてしまったのである。

姿勢よく深く腰かけてスカート裾が後退して、露出を増して腰かけの上にふっくらと広がった目の前の太ももに、目が引き込まれたのである。

触りたい衝動を抑えた。

そして目の位置をさりげなく低くして眺めると、閉じ合わせた脚の奥に白いものがわずかに見える。一生懸命に閉じ合わせているのが分かったがムダだった。

しかし、見入っていることが彼女たちに気付かれてしまった! まずい!

はっと我に返った僕は、

「飛行機がブーンて飛んでる。格好いいね。飛行場も見えるね」

などと幼児の様な訳の分からない事を言って、隠すことに一生懸命になった。

「そうね。随分近いのね」

彼女たちも、さも自然に言葉を返してきたが、僕の動揺は見え見えだった。

僕の左右に腰かけている他の2人もミニである。視線がそちらにもいってしまう。

動揺が更に高まった。

まずい、何とかしなければ!

「この観覧車もあの飛行機と同じで、きれいなキャビンアテンダントさんたちと一緒だね」

自分でも何を言っているのか、分からなくなった。

「わぁー、うれしいわ。ありがとう」

それでも、こんな返答が返ってきた。完全におもちゃ状態だった。

僕は、8本の生足の太ももに囲まれてそれらへの視線を抑えられない自分が、観覧車から逃げたいくらい恥ずかしくなったのである。



僕は日ごろレッスンで、レオタード姿やチュチュ姿の彼女たちを間近で見ている。

彼女たちが『どぉや!』と足を高く上げる時や開脚ストレッチでは、股下までもそして股えくぼまで目の前で見ている。

しかし、ケーキ教室といい、ジェットコースター乗り場といい、観覧車といい、今日のこの気持ちの高ぶりはなんだろう。

私服と生足の太ももの魔力なのだろうか。

修行を積んだ仙人でさえ、川で洗濯中の若い女性の太ももを見て、神通力を失い雲から落ちたという。姉から聞いた、古文授業での徒然草にもある女性の太ももの魔力の話しである。



夕方、テーマパークの出口で、

「壮行会なんだし、最後にエールを上げましょうよ」

「うん。そうしましょう」「そうしましょう」となり、

皆で、大きな声で

「発表会がんばろう」「がんばろう」「がんばろう」「がんばろう」

と叫んだ。僕も一緒に叫んだ。

男一人という照れくささも無く、一体感を感じた。

今日来て良かったと思った。


読んでくださり、ありがとうございます。

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