ある日の日常、学校、写真披露、嫌がらせ
第13話
「起きなさい」姉に起こされる。
「うむゃ」僕は起きる。
姉は僕を起こすと家を出る。現在高校二年生だ。僕より通学時間がかかる。
僕はパジャマのままトイレに行き、洗面所で歯を磨き顔を洗う。
直ぐ制服に着替え、朝食を取り、家を出る。起こされてから家を出るまで25分くらいである。
学校へは自転車で前後のロス時間を含んで20分程である。
学校の駐輪場に着く。自転車に鍵をかけ、昇降口まで歩く。上履きに履き替える。
「うす」「オス」などの男同士の挨拶は簡単だ。
女子は「おはよう」と挨拶をしている。
女子に挨拶を掛ける男子は「おはよう」「オス」のパターンに分かれる。
教室に入ると、幼馴染の男女の友が二人で話していた。一人は野球部の親友で、以前スポーツ用品展示会に行った奴だ。
もう一人は幼稚園から一緒の女子で、バレーボール部で活躍している快活な子だ。発表会で僕が女の子として出ることも知っている。
「おはよう」「うす」と二人に挨拶した。
「オス。今日のレオタードは何色だ」、野球部の親友が聞いてきた。
「あっ。それ、いじめよ」、幼馴染の女子が抗議するように言った。
親友は、「いいんだよ。この前こいつから『今日のレオタードは濃紺で、展示会で買った肩紐ダブルなんだ』って言ってきたんだよ」
親友でさえ僕が発表会で女の子として出る事を、まだ何処かコスプレの延長としてとらえているところがある。
しかし僕は本気で取り組んでいて、チュチュ姿もバレエ教室で評判が良く、稽古を重ねて周囲にバレリーナとして扱われている事を分からせたい。その良い機会だと思ったが、過剰な堅苦しい真剣な雰囲気になるのも嫌だったので、
「今日は白のチュチュだよ~ん」、
と、軽い調子で得意げに答えた。
「チュチュで練習しているの?」
「うん。最近はそれでする時もあるよ。写真もあるよ。見て」
僕はバレエ教室で数日前に撮ってくれた写真で、気に入っているものを見せた。
「これがあなた?・・・・・・・」
「これがおまえか?・・・・・・・」
二人とも唖然としたように、暫く身動きもせず声もなく写真を凝視していた。
担任の先生が入ってきた。朝のホームルームが始まる。
昼休みにトイレに行った時、
「お前みたいにバレエなんかやっている奴は、女のトイレに行けよ」
いきなり入り口で邪魔する男子生徒がいた。
小学校は別で、中学1年生の時同じ組だった生徒だ。2年生では別クラスになっている。
彼は、僕の何が気に食わないのか1年生の時から絡んでくる。
特に彼と話すことも関係する機会も無かったが、なぜか敵意をむき出しで絡んでくる。
思い当たることと言えば、妬みかもしれない。彼は学業成績は悪く、クラスで下の中になる。小さくて肥満で運動神経も鈍い。また協調性に欠け、話していると不快になりクラスで相手にする者は殆どいない。
只、むかしからの家で裕福だとは聞いたことがある
僕は、成績もクラスで1、2番に位置し、体育も得意であり、女子生徒も含めクラスの者から悪く思われていない。先生たちの受けも悪くはない。そんなところと、また僕がバレエをしている事などが癪に障るのかもしれない。
「なにやってんだ」
他の生徒が数人やってきた。
彼はすごすごと向こうの方に歩いて行った。
仮にけんかになっても、体力的に僕の方が強い。
彼は何でこんなことをするのだろうか。自分がみじめになるだけだろうに。
「あんな奴、相手にするなよ」 友達が僕に言った。
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