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舞踊劇酔夢譚 (バレエすいむたん)、僕は白鳥のバレリーナ  作者: 優鶴
チュチュへの挑戦、レッスン風景
12/22

ショック、厳しい指摘、自主練習

第12話


先生の僕への指導が特に厳しい。

一言で言うと、僕の踊りが皆と合っていないという事のようだ。

しかも照れが抜けておらずコスプレ踊りで、悪い意味で目立っているそうだ。ショックだ。

今までの自分のテンポ、動き、形が僕の個性であり、それで優雅に上手に踊れているのだと思っていたが、コールドバレエではその僕個性の動作ではまずいと言われた。

基本の姿勢、テンポ、動き、形になっていないと言われた。


「肘の動きと、二の腕の回転のタイミングがあなたは違う。直線的な回し方はダメ」とか、

羽ばたくように手を動かすときも、

「手首は最後よ。肘は上下でなく円を描くように動かして。勝手な動かし方をしない」

「みんなと同じ白鳥に見えない。照れをなくして。女の子なのよ」などと言われる。

「足のポジションをしっかりしなさい」、

「いきなり足を上げても、他の人と揃わないでしょ。上の動きで他の人とのタイミングを合わせなさい」

「首の向きや角度、視線の方向も違う。脚の上げる方向も違う。あなたの動きでかえってみんながバラバラに見えてしまう」とも指摘される。


夜、夢の中で、白鳥の女の子達から、

「以前は一緒に踊りたかったけど、アヒルの踊りのあなたとは、一緒に踊れないわ」

と追われる“変な夢・アヒルの踊り”まで見た。

弱気になる。



バレエレッスンではよくお尻を意識させられる。

「お尻をしめなさい」とよく言われる。

これがなかなか理解できないし難しい。


ところで、お尻に関してこんな事があった。

立った姿勢から身体をゆっくり深く折り曲げた前屈ポーズをとった時、僕だけ

「お尻をもっと上向けて。大きく出して」と指摘された。

前の列を見ると、チュチュやボンのスカートから突き出たお尻が、上を向いてきれいに揃って並んでいる。

僕の列は想像するに、僕のお尻だけスカートから出も少なく下向きで凹んでいるのだろう。

僕は「はい」とお尻を上に向けたが、

「もっと」と言われたので、

頑張って「えい」とさらに突き上げた。

「くす」と笑いをこらえる音が聞こえた。

「そう。その位置」と言われて、

「骨盤の前傾と坐骨を意識して。その姿勢をよく覚えて」と何回も繰り返しをさせられて、

「いいですよ」とようやく許された。

その時、女の子たちが「わぁー」と嬉しそうに一斉に拍手をした。

僕がお尻を突き上げた格好で、先生から指導を受けているのを見るのが、楽しかったようだ。

僕のお尻が女の子に注目されていたなんて・・・。でもレッスンの雰囲気が和んだ。


男の僕は前屈してもお尻は突き上がらないが、女の子は自然に魅惑的に突き上がる。

女の子とは骨盤の形状が違い、お尻の大きさも形も重心も違う。

僕の場合は意識してそらして突き上げないと、同じようなお尻には見えないのだろう



「今日も来たわね」

先生から声を掛けられた。

このところレッスン日以外でも、先生に頼んで自主練習で場所を使わせてもらっている。

先生に言われる動きを身に着けたいのだ。

自主練習の時は余裕があり、先生の動きや他人の動きをよく観察することもできる。

「肘は上下でなく円を描くように動かして」

などと先生が言っていることが、その生徒の動きと比べると、よく分かる。

腕の動き、二の腕の回転、身のこなし、姿勢などをじっくりと観察し、身につけたい。

日頃の女性の所作、歩き方、雰囲気なども踊りに表れてくる。

女性と男性では歩き方が違う。更衣室を往復する時も、姿勢と歩き方を意識する。

だが、男女の骨盤の形や関節の向きの違いを感じる時もある。

先生には、

「あなたが熱心に練習するので、他の子も良く練習して上達しているわ。良い効果よ」

と、言われた。



『あなたの影響で、他の子も良く練習する』と言われた時、先生がなぜ僕を女の子の中に入れたのか、理由の一つが分かったような気がしてきた。

同世代の生徒間には技量差がかなりあるが、先生は今回それを同じ白鳥として組んでみたのだ。

非常に技量の高い子は、春奈さんのように高校生たちとユニットを組んだが、残りのメンバーはコールドとして演舞する。

そのコールドの中でも技量の差がまだかなりあり、高い子達とそうでない子達の間で、しっくりいかなくなる事を防ぎたかったのではないか。

特殊な立場の僕が厳しく指導されて一生懸命に練習していると、皆の励みとなる雰囲気になり纏まるのではないか。

僕を白鳥のコールドメンバーに入れることで、技量の劣る子も頑張るようにしたのではないか。


読んでくださり、ありがとうございます。

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