表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
38/94

38

らいらいは、ためらいなく1番のレバーを引いた。


すると会議室の真ん中にあった丸テーブルが、ぶるぶる震えながらゆっくり割れ、中から金ぴかのエレベーターがせり上がってきた。扉には、でかでかとこう書いてある。


「ぜったいに押すな会議専用エレベーター」


らいらいは言った。


「押すなって書いてあるな」


すると壁のスピーカーが、あわてた声で叫んだ。


「押すなよ! 本当に押すなよ! 絶対だぞ!」


らいらいはちょっと考えてから、にやっと笑った。


「これは押してほしいやつだな」


ぽち。


次の瞬間、エレベーターの扉が勢いよく開き、中には黒いスーツを着たハトがぎっしり乗っていた。全員、首から社員証をぶらさげている。


「おはようございます」

「おはようございます」

「おはようございます」

「議題の確認をお願いします」


らいらいは一歩下がった。


「なんだこの圧の強い会社員ハトたちは!」


その中でもひときわふくらんだ胸を持つハトが前に出て、メガネをくいっと上げた。もちろんハトなので、くちばしで無理やり上げた。


「私、会議部長のポッポ山です。本日の議題は、“らいらいがなぜ毎回だいたい面白い目にあうのか”です」


「そんな議題、却下だろ」


「却下は却下検討会議を通してからになります」


「めんどくさすぎる!」


すると、エレベーターの奥から、さらに大きな椅子がごろごろ出てきた。玉座のようなそれに座っていたのは、まさかの――鼻の形をした王冠をかぶる、巨大なくしゃみ神だった。


「ぶえっくしょーーーい!」


神のくしゃみで、会議室の資料が一斉に空へ舞った。ハト社員たちも、わあああと飛ばされ、ぴたぴた壁に張りついた。


らいらいは目を細めた。


「おまえ、前にもいたな」


くしゃみ神は、ちょっと気まずそうに鼻をすすった。


「うむ。実はこの会議室、わしの管理区域じゃ。おぬしが1を選んだことで、“議論の間”の最深部まで来てしまったのだ」


「なんかすごそうだな」


「ここでは、どんなくだらない話でも三回会議を通すと世界のルールになる」


らいらいは固まった。


「それ、めちゃくちゃ危なくない?」


するとポッポ山部長が資料をひろげた。表紙には大きく書いてある。


「提案書:プリンは飲み物として正式認定すべきか」


「どうでもいい会議だった!」


「どうでもいい会議こそ世界を変えるのです」

と、ハトたちが一斉にうなずく。


さらに別のハトが手を挙げた。


「第二議案。廊下で急にスキップした者には拍手を送る条例について」

「それは少しいいな」

「第三議案。ラーメンの湯気に顔が見えたら先祖からの応援とみなす件」

「だんだん嫌いじゃなくなってきたな……」


だがそのとき、部屋の奥の巨大スクリーンが突然ついた。


映し出されたのは、真っ赤なスタンプを持つ謎の存在――議事録魔人ギロン。


ギロンは低い声で言った。


「会議の数が多すぎる。世界が書類で埋まる前に、今すぐひとつだけ決めろ。笑いを残すか、秩序を残すか」


ハトたちがざわつく。


くしゃみ神も鼻を押さえながらうなる。


らいらいは、しばらく黙っていたが、やがて机の上に飛び乗った。


「決まってるだろ」


会議室が静まり返る。


「秩序だけの世界なんて、つまらない。だけど笑いだけでも転ぶ。だから――笑って転んで、そこからまた立ち上がれる世界にする」


一瞬、沈黙。


次の瞬間、ハト社員たちが大騒ぎで羽をばたつかせた。


「名言です!」

「今の議事録に残します!」

「拍手条例がいきなり必要になりました!」


くしゃみ神は感動して、また巨大なくしゃみをした。


「ぶええええっくしょーーーい!」


その風で、天井の一部がめくれた。


そこには、上へ続く細い階段があった。階段の上には、小さな看板。


「次は 判決の間」


ポッポ山部長が青ざめる。


「まずいです。あそこにいるのは、すべてを白黒つけたがる“ジャッジうさぎ”……!」


らいらいは階段を見上げて、にやりと笑った。


「面白そうじゃん」


すると、階段の上から、こんこん、と木槌の音が響いた。


「被告、らいらい。入廷せよ」


空気が少しだけ張りつめる。


それでも、らいらいの足は止まらなかった。


1 判決の間へ入る

2 ハト社員たちと先に作戦会議をする


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ