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日本の定理・下巻  作者: 泉川復跡
【『算額主義』編】第十八章。都鄙の三角形
4/5

18.1. 鱒の算額はどういう風にゲーム化するか?

「お父様、お母様、起きて。女将さんが朝ご飯を準備しましたよ」

 10月10日の7時半だった。私と純彦君と智埼ちゃんが二時間半前に起床し、頭でもやもやしている考えを整えに河口湖を一周ジョギングしていた。住民によると、この湖は5里ぐらい、いわゆる凡そ20㎞の周囲だそうで、二周走るだけでマラソン大会を開けるよ。浴衣の裾を捲り上げる代わりに、父母様が持ってきた荷物から薄青のシャツ、バニラ色のセーター、茶色の短いズボン、そして蜜柑色の革靴に私が着替え、三ヶ月前小田原の外郭の素晴らしく広い畑を渡り、アイスクリームを運ぶ笠人君と出会ったのを思い出した。智埼ちゃんもそういう男性らしい洋服を着て快適に走った。それは白いシャツ、緑のセーター、灰色の短いズボンと紅の上履き。純彦君はいつものサスペンダーと黄色いシャツだが、その黒いズボンも膝ぐらいだった、私達と同じ。湖のほとりをジョギングすることで、私達を乗せた舟が去った長濱村の揚げ場や、あの舟が寄港したり記者と住民達が集まったりした砂州を通り過ぎた。山の麓と接したほとりでは靴を湖の波に濡らされないよう、列になって走った。

『花火團の父兄会』は夕べこの旅館を町人と一緒に賑やかにしていた。お父様は純彦君のお父さんと町人のおじさん達とお酒を飲みどちらが先にぶっ倒れちまうのかを競っていた。お父様の酒豪は横濱で働く時代から料理を濃くしによく焼酎を試すことで大したもんなのに、絲島家の焼酎経営の四代目と、寒い山地で何世代も暮らすおじさん達と勝負するなんて無理矢理なはずだった。私と純彦君以外、皆がお母さんにしかここまでお越しして訪れて貰わなかった。智埼ちゃんのお父さんは八年前の大火災によって他界した。笠人君のお父さんは家庭暴力で警察に確保され、澁薙と純彦君の家族に保証人になって貰った妻と息子から強制的に離れた。澁薙君と降恆ちゃんのお父さんは関東の二つの盛んな会社を営む主で仕事に忙殺され、奥さんに自由主義者の御曹司と、お転婆のご令嬢を預けて貰った。二人のお父さんがお酒に子供っぽくはしゃぐうちに、六人のお母さんが別に宴会の料理を楽しんだり、互いの生活での出任せを雑談したり、男の舞台を争奪して好きな歌を歌ったりしていた。

「起ーきてよ、料理長、ほら」、私が膝を折り、まだ布団にまるで体を貼り付けたように寝続けるお父様の頬をそっと叩いて起こそうとした。まだ洗っていない汗塗れの手がお父様の顔を汚したことで、お父様が体を持ち上げることになった。

「うわっ、お前の手が臭っ。塩っぱいぞ」、お父様が浴衣の袖で顔を拭いつつ腹立たしく反応した。

「走ったところですから。河口湖一周。こうやってお父様がまだ酔ってるか分かりますよ」

「湖一周なら5時ごろ起きたね」と声を掛けたら、お母様が背を伸ばし欠伸を出し少し笑った。「相変わらずだね、君の悪戯は」そしてお母様が咳払いをした。「夕べお母さん達と歌を勝負してて喉がちょっと痛い。女将さんに塩を貸して貰ってお湯と混ぜてうがいする」

 お母様が立ち、私がさっき襖を開けた空間をくノ一らしく(かわ)した。「ヒロシちゃん、雅實ちゃん、なんで座ってるの?早く顔を綺麗にしよう」

「あっ、分かった分かった。仲居さん達を呼ぶよ」、お父様がじたばた浴衣を整え、二つの毛布を布団に四角く整頓した。

「私も汗を拭って顔を洗いに行きます。スミヒコ君とチサトちゃんも自分の親を宴会場に連れて行ってます」と私が言って、お母様と同じ躱し、お手洗いに行っている。お父様も外に躱した。その後に襖を閉めた。

 閉めた直後に、朝の日光にお父様の目が当たった。「わっ、今日は晴れだね。半月ぶりだ。どうりでお前達がその格好で運動してたんだ。富士山の日の出を見なくて惜しいな。お前達が写真機を持って行ってるのかい?」

「残念ですけど、走ったり今日の活動を考えたりしてただけですから。でも良かったら紙を貰ってあの素敵な景色を描きます。ただ浮世絵の割に美しくないのね、あまりにも」

「浮世絵ほど美しく描いて欲しいと頼んでないでしょう。うちの居間の壁に掲げる資格がある限りだ」

 お母様が振り向いて言った。「日の出はまだ終わってないでしょう。もう中秋だから。君達が出掛けたのは5時だとしたら、まだ暗い。今太陽が富士山の山頂に届いてるところだよ。これからあたし達がさっさと綺麗にしたら見るわ」

「お母様、見るというのは宴会場に行くも同然でしょう。宴会場はこの旅館の最上階、四階目に。右側に河口湖、左側に富士山は見られます」

「ひひっ、客を誘致するのはそれだね」とお母様が返事した。その時、女将さんに丁度良く会った。女将さんが仲居さんに寝室を整頓して貰い、朝ご飯と席のことを詳しく教えてきた。お手洗いの入口では純彦君と智埼ちゃんのみならず、純彦君の小津丈(おづたけ)お父さんと小江(さざえ)お母さん、智埼ちゃんの静代お母さん、笠人君の谷子お母さん、澁薙君の貴和子(きわこ)お母さん、降恆ちゃんの田苗(たなえ)お母さんにも合流し、順番を守って新たな日の手続きをした。私達三人が服を脱がず、汗をおでこと手と足にお湯に浸かった布で拭っただけだ。この服装は一日使われることになるから。

 11人団は女将さんの案内に宴会場の右側に着席した。右側は朝から昼までの日光をかなり遮るので客が多く集まる。気遣いなく、五人が六人の前に正座した。私は富士山向き、智埼ちゃんと純彦君は河口湖向きに座っていた。膝を晒したし、座布団に支えて貰っても親よりきつかったね。ご飯、舞茸の汁物、わかさぎの南蛮漬け、葱と青唐辛子詰め卵焼きはありのまま煙を放っている。二時間十分経って走り続けた慣性が私達の胃を動き出させ、朝の味をさっぱり感じながら「心臓が止まりそうにげっそりな運動はやっと報われた」と同じ楽しんでいた。

「ところで、お前達が河口湖を一周走ってて運動の為だけじゃないんだね。その格好のまま朝食を食べるとは何かの活動をやろうとするのじゃ」、小津丈おじさんが話し掛けて親達の代理で私達が今回何をするかを知りたがった。

「とまー、父ちゃんと母ちゃんを起こしたのも、俺達となんとかやるじゃない。夕べ元気過ぎだと見たんだ」と応えた純彦君。

「貴方は最も大変起こしたよ。ほっぺ中々叩いてる。お酒を誰よりも沢山飲んでたでしょう」と文句を言いそうに反応した小江おばさん。

「記者達に答える通り、私達が第三の企画を始めようとします。夕べ倉崎さんに算額問題を挑戦して貰って、上手く解けるようになったことは初期の果てでした。今日はこの企画がどんな指向で仕組まれるかを決めることで、お父さんとお母さん達に手伝って貰いたい」と私が言った。

「確か、純彦君が彼らに答えたっけな、『この企画は私達の師範力を試す』っちゅうこと。算額を松澤先生みたいに教えたいなら、いずれじゃ新たな風を吹くべきやん。やさかい5里周囲の湖を走ったっちゅう訳」と言った智埼ちゃん。

「算額は神社で奉る絵馬に描いた図だね。神社にお参りした時に結構見てた。だが、絵馬の図は運動の活動に関係ないんじゃない?」

「関係がないのでなんと関係あるというようにするんです、谷子おばちゃん。雅實君と『算額づくり』を行なった頃、頭脳のみならず手足もよく振る舞って、出来上がったのは動性の問題でした。算額は内接、外接、傍接、直角、等価、及び積み重ねなど純粋幾何学の問題という普段です。図が美しいに従っては難易度が高い。動性を加えるのはその難易度を高めるだけでなく解く人に独特な体験をも与えるんです」

 静代おばさんが声を掛けた。「んー、『静かな算額も生きとる』て伝えたいやでな。生きとるやったら体が動かなあかん。算額と運動の活動を繋ごうとするなら、あんた達がいずれや描いた図を実際の活動にした方が」

「そうしたら組か個人かで遊びをやるんじゃないかね。僕達を起床させたのは組の遊びの為のはずだ。じゃあお前達何の遊びを考えてみようとしたのか?」と聞いたお父様。

「まずは倉崎さんを挑みにあげた算額問題をゲームにします。鱒と鮭の遡上や川上での卵の穴の争奪戦をもと問題を作ったんで、攻撃と防御が連続的に入れ替わりっぽいゲームを思い付いてる。会場は『卵をしまう』とされる穴を配る砂場。会場に出る前に、二つの組が『障害物を避ける』という試練を受けてどちらが最初に『攻撃組』と『防御組』の役を担うかを確認する。会場に先に辿った方は穴を選ぶ権利で『防御組』とされる。『攻撃組』は『防御組』の得物を奪おうとし、もし上手く奪ったら、その穴を破壊したり占有したりすることに。3分毎に役を交換し、新回戦を開始する。ゲームの制限時間後により多い穴を持つ組は勝ち。皆はいかがでしょうか?」、私が汁を急いで啜ってからお椀を置き下ろし、紙に記さずにこのゲームの概要を手振りでお父さんとお母さん達に教えた。

「んー、このゲームにどういう名を付けたの?」と聞いたお母様。

「最初には『争う鱒』とか、あの算額問題と同じ『薔薇を噛む鱒』とかと付けるつもりだったけど、自然的じゃない気がしたし、もっとゲームの舞台を一般的に包み込める名前を付けなくてはなりません」と私が答えた。

 しばらく後、貴和子おばさんが意見を挙げた。「『川上に辿った回遊魚』と言ったのはどうかしら?鱒やら鮭やらといったら回遊魚の本能を持ってるに過ぎない。遡る時は生まれた場所に帰り付き、子孫を産んで循環を繰り返す一方、自身が死んでしまうということ」

「そりゃ澁薙君に教わったね。君達が実は、わざと親達に名を思い付かせて真剣に関わって欲しいし」、田苗おばさんが私達の心を読もうとした。「上手く奪われた場合はいつ穴を占有するのか、いつ破壊するのか、まだはっきり言ってないもんね。守りを失敗したら相手のものにされてしまっては当然だ。そのうちにもう一つの条件を追加した方が。ある穴が二回以上主を変換されることがあるし、もし二回か三回かより取られたら壊すことになるという。取られる回数を限れば良い」

「はい。それはゲームの点数計算を色々にして劇的さをかなり上げます。スミヒコ君、点数計算は仕組んだのでしょう?」

「うん、ゲームは点数で面白いに限るんだ」と純彦君が返事した後に、ゲームの点数計算を解説した。「攻撃か防御かを決めるまでは出場する両組に0点を安定したままだ。障害物をどんな辛く避けるとしても会場に入らないと0点は変更しない。防御の場合、回戦の終わりで穴を守り抜けば1点追加。仲間を補助して上手く守ればもう1点を。逆に失敗した場合は1点削減で、かつ仲間を手伝う時はもう0.5点だ。その1点は各穴に相応だ。攻撃の場合もその調子に従う、上手く奪い取れば1点、仲間に助かったらもう1点追加だという。ただ、防御組への減点は一回戦を過ごして一個の穴も奪い取らなかったり、回戦が終了するまでに新たなものを間に合って掘り上げなかったりした場合だ。二つの場合に応じては1点と0.5点で減らす」

「もし防御組が古い奴を壊さへんで勝手に新しいのを掘ったら、あらへんしは掘ったのが余ったら?」と意見した智埼ちゃん。

「だったら、新しい奴の数によって0.5で減点するんだ。まやかしは何のゲームにも絶対にやられるからさ、不公平を起こす奴に罰を与えては当たり前だ。その時、司会は手がすっきりするまで減点止めないわ」

 お父様が少しにやにやして言った。「まやかしがないと詰まんないよ。反則しないに限ってはずるをやっても悪くないんだ。どうせ勝負の試合にする訳じゃないしね、お前達」

「それは巧妙な手口と呼ばれます、お父様。遊ぶ人は司会でも思いがけない手口を思い付いて挑戦を無茶に乗り越えられますから。だが、あの面白い場面が見えるように、ゲーム会場を設けときます」

「いつも通りだね、原料と人力を要するとは・・・そういえば、湖を一周走る時は誰かと出会ったらしい。この遊びのことは僕達以外に誰かにも教えたのかい?」、お父様が質問して段々このゲームを準備しに行く人数が増えるように見せた。

「一周走ってるところに長濱村の揚げ場を通り過ぎたことあるんで、知り合いの漕ぎ手のおじさん達と話し掛けてこの町で新しい活動をしようと企てて都合が良ければお手伝い頂いて良い、と話してました。ゲームの規則は父母様にしか言ってない訳なの」と私が答えた。

「あのおっさん達は、あたし達を森から乗せて帰らしてくれたんや。富士五湖を通ったり森の空気を吸ったり人生の半分を生きとる。小田原の職人達と同じ、お金を構わへんで一気に暮らしていく。新しい子供のゲームのことを覗き見出来たらめっちゃ興奮してまうわ」

「田舎人は皆そう生きるんだ。いや、というより、生きる自由が見つかった人間だ」と小津丈おじさんが感想した。

 静代おばさんがその言葉の調子を合わせたようだ。「自由だけあらへんで理由もや。都会人でも、企業の仕事に顔が暗くなるほど力を絞り出される人間でも、何で死んだらあかんて答えた以上は心が整って生き続けるで」

「おばちゃん、そう言ったら、おっさんが誇らしゅう笑うの」と私が静代おばさんに言った。智埼ちゃんも快く汁の残りを啜り切った。

「その遊びの規則を二度目説明してくれんで良かったじゃん」、ある声が智埼ちゃんと純彦君の背中から聞こえ、啜る中の智埼ちゃんがびっくりして咽せちまった。「やっぱりこの浴衣は最高の変装ずら」

「へっ、もしかして漕ぎ手さん達?」と慌てて声を上げた田苗おばさん。その後ろの男達が一斉私達へ振り向き笑顔をさっぱりしてきた。

「初めまして、皆さん。漕ぎ手の隊長の横澤重(よこざわしげる)と申します」

「まったく、あたしまで驚かし過ぎやんか」、智埼ちゃんが口を拭いながら腹立たしく言った。漕ぎ手さん達がこの悪戯の意外な結果に爆笑して堪らなかった。親どころか、この悪戯を仕掛けて親を驚かす私達ですら肌が一瞬立ったよ。

「ど、どういうことだよ?ずっと前からうちの雑談を盗み聞きしてる?」、お父様が心の奥の秘密が世界にばれちまったように質問した。

「は、はい。引き札を描いて配る時間がないし、拡声器もないし、ゲームの規則をあちこちに伝えれば喉が痛くなるのです。あのおじさん達が漕ぎ手だけでなく木こりでも暮らしてて、会場の敷地を建てたりゲームを共に試したりしてくれれば良い話です。この旅館に入って急いで予約して朝ご飯に私達の後でここに来ました。温泉に入って浴衣を着て貰ったと、全然違う人に変われますから。互いの顔に気がしない振りをしたと、ただのお客様のよに見えましたよ」と私がこの悪戯の仕掛けを話した。

 横澤さんが言い加えた。「町の最高旅館に泊まるなあ何より素晴らしい体験だ。うちの子がもう大きくなってるし、妻が他の奥様と鋤き返してるし、暇がうんとな儂らはな、湖をうろうろ漕いだり木を切ったり一日を過ごすじゃあ、町に進んで暇潰しの遊びを作った方が良いだよ」

「あれー、奥さんにてんでーたくねえて言ってる訳じゃねえけー?」と揶揄って返した隣のおじさん。「初めまして、野田史夫(のだふみお)と申します。てめえはな、舟を漕ぐなあ死ぬほど詰まらんなら、辞めて釣りに行って魚売ったら奥さんがでーぶ緩まったじゃん」

「だったらなんで俺と行ってるんだ?しかも、舟を湖の真中に漕いで魚を釣るなあ俺達のいつもの活動じゃん。湖を越えるお客様がいねえ場合はこうやって金稼ぐんじゃ。職位を譲って欲しいけー?」

「てめえの隊長を取る気がねえよ」と野田さんが反駁した。「まっ、子供達の言う通りその遊びを作ってやってみたら、どうせこの辺りに住む全員に届きやすいし、此奴らの青木ヶ原の旅からの有名さに加えて我々も有名になれるんだ」

「ひひっ、こないな有名さは老けるまで安らかに生きづらいどす」、智埼ちゃんが応えたら、おじさん達がにっこりしていた。

「けどさ、遊びを催す場所は決めた?」と聞いた横澤さん。

「んー、病院の裏庭はいかがですか?私達の友達あがそこにいました、患者として医者としても。お患者さんを精神的に治したり体力を復活させたりする為の活動にしたら、このゲームは裏庭で仕組むのを許可して貰えます」と答えた私。

「あの裏庭は調べたの?普通に患者の血と液体みどろの包帯や汚い服を処理したり、医療道具と薬品を受け付けたりする場所だから」、気にすべきところをお母様が言い及んだ。

 私が答え続けた。「私達が10月8日と9日によく歩いてきてました。町の病院は富士山麓の森の隣に位置付けて竹垣などで隔離してないし、その代わりに岩をきっちり塊の型に磨いて並べ、お香を岩の後ろに焚いて虫を追放しようとします。裏庭は森に対面することによって汚れで細菌染まりのものを処分したら、森に危害な気流を排出しちまうんで、病院の両側で処分することに。森に放てば動物の生活を乱して彼奴らを出させ、ふと病院に入れば危険です」

 智埼ちゃんが私の答えを継いだ。「森に対面っちゅうのんはあの岩の列を一歩越えたら即に荒野に入る訳とちゃう。動物が突入すると気付く為、病院は町の政府にもう3間ぐらい広い範囲で木を掃除して芝生を残し、篝火を立てて頂きました。昼で人間の騒ぎ、夜で炎の明かりは獣らをもっと森に退かせますわ」

 おじさん達でもう一人が話し出した。「神社と住民の重圧で電気を篝火に引き換えたんだ。電灯を使えば山火事を防げるとは言え、以前記録された病院への野獣の意外な襲撃故に、彼奴らを怖がせに強え炎しか。こうして六ヶ月前あの森の部分が燃えちゃってもう少しだけで山火事になったよ。でも篝火は今まで使い続け、強風の時に弱めた」

「聖なる森を冒してはならん、ちゅう訳さ。岩が並んでるといえば、その遊びを試す場に出来る十分じゃん。相撲の俵という風にな」

「はい、横澤さん。相撲の行司は俵の外れで審判を下すことはないでしょう。このゲームは攻防風なので『もし審判に怪我をしたら』という恐れがあるが、審判は行司のようにぶらぶら動いて違反を見抜くとは全然気軽です」と私がわくわくして返事した。

「蹴球も同じです。審判はボールを支配中のプレーヤー達に追い付いて違反の場合に試合を停止するのじゃ。ボールに顔がぶつかっても試合が続いてしょうがない」、蹴球に私が関連した。

「蹴球だけじゃないだろ。ネットを立てて会場をはっきり両側に分けるスポーツを除いて、全てのスポーツでも審判が現場に入って支配してあげる。こうやってこのゲームは相撲とアメリカンフットボールの組み合わせでやるぞ」ともっと言った純彦君。

「ア、ア、アメリカの何?」、野田さんがこの滅茶苦茶新しいスポーツに『アメリカ』のことしか読んでいなかった。

「あっ、すみません。おじさん達がまだご存知ないのが分かるんですね。フットボールとは足でボールを蹴ったり操ったりするスポーツを英語で意味します。アメリカではあるスポーツが雅實君の得意なスポーツのイギリス起源のフットボールという名を使ってるけど、『アメリカン』という接頭語に付いたと、『ボールを抱えて思いっきり的へ走る』という意味になってしまいました。これはなんとかアメリカとイギリスの使い方に誤解があったんです」、純彦君が急かしてきっちり説明した。

「フット、ボールか」、横澤さんがこの用語を少しずつ読むと同時に、立ち上がって足を前に振り、蹴るような姿を。一方、純彦君も立ち上がって座布団を取り上げ、脇に挟めてボールを守るように左右に振り上がってきた。

「あのフットボールはイギリスのフットボールより滅茶苦茶で苦戦的な奴です。両組がたった一人に目指して取る人が襲ったり守る人が庇ったりして、混ぜるぐらいの汁みたいに混乱です。このゲームをその風に遊んだらもっと怪我をしちまう恐れあります」と意見した私。

「だから相撲風を加えるじゃない。凄い体力を要する以外に、アメリカンフットボールは速度と作戦、相撲は柔軟と決断だ。怪我をするのを下げる為に人数を会場の部分と部分に配って適切な『番付』の相手を投げようとする」、純彦君が返事したと共に、相撲の投げ技を手本にした。それは上手投げ。

「この小僧は相手にしたら良いだに。うちで相撲をよく見てるんだな?」と期待だらけの気持ちで言った野田さん。

「はい。見るだけじゃなく、朝の体操として父ちゃんとも取ってるんです。うちの父ちゃんは太くない体でも、かつて素人力士でした。長男である私が投げ技を結構教わりました」と純彦君が答えた時、小津丈おじさんが頬を少し膨れて微笑んだ。夏祭りの売上を計算する純彦君の姿を見た時にそう微笑んだ。長男としては親の営業を一番受け継ぐ役になったのに、別の経営を営む将来を我が儘に狙っているとは自分のお父さんをがっかりさせちまったね。だが、その豪快な答えが聞こえたら、「我が息子はさっぱり家族に分かれていないはずじゃ」とおじさんが信じた。完全に別れる訳がないでしょう。暇の時、彼のうちの営業の予算を確認しているじゃないか。

「それじゃあ、皆旅館を出て原料を収集しましょう。病院で上手く行けるなら、より大きい現場である砂州でやれば問題なしです」

「よし、儂らが飯を食い終わって渡邊ちゃんのこの言葉を待ってたぞ。でもその前に君も日澤ちゃんも立ち上がりなさい」、横澤さんが楽しみにし過ぎてふざけそうな声で求めた。膝が見えて正座をする私と智埼ちゃんは急いで立ったら恐ろしい痺れに勝てないに決まっている。案の定、智埼ちゃんは足を右へ緩めて伸ばし、踵から踝まで揉み、まずの利き足で身を上げ、風に揺れる花のように不安定のまま立っていた。私の方は一番遅い。父母の皆は平気に立ち上がった反面、お尻の方が重い私は圧迫し過ぎて一時無感覚になった左足に頼って、荒っぽく流れる川から筏を引き返すように背を真っ直ぐにしようとしたが、途中で右足が滑り、左足全体が座卓にぶつかり、倒れちまった。

 皆、特に純彦君と智埼ちゃんがげらげら笑っていた、ある漫才のカップルが下に破れた床に落ちたのをまるで見たみたいに。智埼ちゃんがそう声を上げた。「居合道部の『旗本』のくせにな。袴着ひーんたら泣く弁慶みたい」

 挿絵(By みてみん)

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