7. マナと医療
医師科へ進むことを決めたが、高等学院の入学資格は12歳からだ。12歳以降なら何歳でも入学試験を受けることが出来る。
なので、あと2年ある。
その間にこの世界の医療レベルがどうなのか、徹底的に調べることにした。
まずは邸宅にある医療に関する本を全て読んだ。
解剖生理の本は前世とほぼ同じだった。
この世界の人も地球の世界と同じ構造だ。違うのはマナの有無のみ。本を読んで理解したのは、大気中に存在する元素や化合物が持つエネルギーを自身のからだに取り込んで、自分の力に変えたものがマナであるということだ。マナを多く持っていたり、マナを使用したからといって寿命が縮まったり疲弊することはない。
マナの力で怪我が回復したり、不調を改善したり、マナの操作が上手な者は、マナを身体に巡らせることで身体の不調や異常を見つけることが出来る。
自分のみではなく相手にも同じことが出来るため、マナの量が多く操作が上手い人は、医師に向いていると言える。
エコーやCT、レントゲンすらないが、医師のマナによる診察がその役目を担っているようだ。
私を診察してくれたイケオジのノルド先生も、マナを巡らせて調べてくれたのだろう。
妊娠すると母体に胎児のマナが存在するため、胎児がマナを発生させる1ヶ月目くらいで妊娠の有無がわかるらしい。
高位貴族の女性はマナの量と操作の上手さから、早期に自身で妊娠に気づく人が多いようだ。
マナで怪我や病気を治すことは出来るが、重い病気や大きな怪我の場合、マナのみで治癒できる医師は圧倒的に少なく、多くの医師は外科的処置とマナによる治癒を同時に施したり、薬剤とマナの力を併用して治療にあたっている。
ノルド医師のように、マナのみで治癒を施すことが出来る医師はほんの一握りだ。そのため、ノルド医師のように医師の中でも特別な力を持つものは、王家や高位貴族専門の医師となる。ノルド医師はシモクレン家の主治医だ。
高等学院の医師科は、解剖生理や薬学、外科的処置といった医療の基本以外にも、医療に用いるマナの操作方法を教えてくれるらしい。
後天的にマナが増えることはほぼないため、高位貴族の主治医のように特別な力を持つ医師が、今後劇的に増えるということはまずない。緩やかに増えていくのみだ。今は上位の侯爵家までがノルド医師のような主治医を抱えることが出来ている。
例え医師の数が倍となったとしても、マナが多い者に医師になろうとする者が少ないため、特別な力を備える医師が増えることは考えにくい。
マナが多く操作が上手い高位貴族は、ノルド医師のような主治医に治療を受けることが出来る立場にあるため、積極的に医師になろうとするものはほぼいないためだ。
高位貴族は、自らのやりたい事やなりたい道を選び、そしてその道に進める立場にあるのだから。




