6. 高等学院
シモクレン公爵家は、曽祖父が王弟であり、4つある公爵家の中で序列三位に位置していた。その下の侯爵家は7家。伯爵家は18。子爵男爵を合わせると貴族家の数は3桁を超えた。
よって、高位貴族らしくクレアが持つマナも相当な量だった。その上、幼少期から優秀な家庭教師に日々教わっていたため、魔法や魔術も難なく使え、才色兼備の高スペック令嬢であった。
前世が苦学生の花村美華だったことを考えると、神様からのご褒美か?と思う境遇である。
父も、高等学院に通っている6歳上の兄も、お屋敷の使用人も全員心優しく、謂わゆる出来た人達ばかりで、10歳ながら母がいない寂しさを感じることなく、日々幸せに暮らしていた。
マナの量が大きく、優秀な家庭教師から操作方法も学んでいたため、魔法や魔術はすでに高等学院を卒業出来るレベルにまで達していた。
空を飛ぶ魔女のようなことは出来ないが、魔法陣が組み込まれた魔道具を使って空間移動は出来るし、収納魔法も使えた。
ほんとファンタジーの世界万歳である。
もちろん、こんなどこぞのネコ型ロボットの人間版みたいなことが出来るのは、王族と特級魔法使いに限られ、10歳にしてそのレベルにあるクレアは規格外といえる。低位貴族や平民はほんの些細な生活魔法程度しか使えないのだから。
高等学院に通えるのは貴族のみであるが、その入学料が高額すぎるため低位貴族は殆ど通っていず、生徒は高位貴族が占めている。
高位貴族の令息令嬢達は、お茶会や夜会、パーティー、といった社交の場に参加する以外は邸宅からほとんど出ないため、接点のない多くの平民や低位の貴族達は高位貴族がどのような魔法や魔術を使えるのかは知らない。嫉みなどの悪感情が生まれないよう、貴族自らその能力を他者に開示することもない。
魔法使いや魔術師、魔法騎士を職業とした場合のみ、一般的にその活躍で認識されるだけだ。
高位貴族の使用人は、屋敷内の箝口令は暗黙の了解として存在することを知っているため、高位貴族達の情報も出回ることはなかった。
よって、クレアが規格外の存在であることを知っているのは、公爵家に関わる者達の中でも極一部だけであった。
クレアは、高スペックなだけあって記憶力や情報処理能力も素晴らしく、学習が一切苦ではなく楽しかった為、12歳で高等学院へ入学することを決めていた。
すでに魔法や魔術は特級レベルであったため、家庭教師達からは高等学院の魔術師科への入学を勧められた。
兄は、幼少期から魔法陣への興味が強く、高等学院では魔術師科に入学していた。
高等学院にはほかに、魔道具師科、魔法騎士科、医師科、国政科がある。
前世を思い出した私は、やはり医療で人を救いたいと、医師科への入学を決めた。




