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弟よ、姉は異世界で無双します  作者: 春待瑞花


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26. 聖女誕生

 翌日からの実習も、初日と同じように進んでいく。

 大きな怪我や、ラルゴ先生では治せない患者をミゲル医師が治癒し、生徒はミゲル医師の治療の観察と、外科的処置、薬の作成を行っていく。


 外科的処置の技術差はなかったが、薬の作成に関しては生徒達に明らかな差が出来ていた。クレアはミゲル医師でも感嘆する速度で正確に薬を作成出来た。次にマナ量が多いリオルの作成速度が速く、レオポルドとフレデリクスは同じくらいで、マナ量が一番少ないトマスがやはり一番遅かった。

 トマスは悔しい顔を時折見せたが、ミゲル医師より処方内容が正確である事を褒められることで、嬉しさと安堵の表情を浮かべていた。


 2ヶ月目に入ると、ギルバート医師に教師が変わり、オーエン先生の診療所での実習となった。

「ミゲル医師から着実に技量を身につけていると聞いている。今日からは君達に診察を行なってもらう」 

 と、ギルバート医師が言う。


 

 ……その結果、実習2ヶ月目にしてクレアはすでに上位の医師と同レベルにあることがバレてしまった……

 (いや別に、隠していたわけじゃないんだけどね?)


 臨床実習が始まれば、遅かれ早かれクレアは治療を行うことになる。クレアの実力で治療にあたれば、大抵の人は治せてしまうのだ。

 クレアの持って生まれたマナ量は王族並みで、かつ操作力は入学前にはすでに王宮魔法使いや王宮魔術師と同レベルだった上、学院在学中にマナの操作力、すなわち自然界にあるマナを自身に取り込む能力を飛躍的に向上させていたのだから……


 クレアは、魔法を使う際、その魔法に必要なエネルギーを大気中に存在する元素や化合物から選択して取り込むイメージを持った。そして、イメージしながら魔法を使うと魔法の行使が容易なことに気づく。

 例えば、火を出す際には水素と酸素を取り込んで静電気を起こすイメージを持ち、水を作りたい時には水素と酸素、水蒸気を体に取り込んで放出するイメージを持つ。

 鉱物の元となるケイ素、やアルミニウム、鉄、カルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウムなどを大気から取り込むイメージと、それらと水をともに放出するイメージで、土を元にした建造物を作り出すことも出来た。

 魔法はイメージすることで使えたが、その魔法に必要な成分をイメージしながら魔法を使ってみると、魔法の行使が容易になった。このことから、大気中のマナを取り込むイメージは、自身のマナ量を一時的に増やす事であり、その時増えたマナが魔法を使う際のマナとして消費されていると考えた。


 同じように、人の体を構成する成分を大気から取り込むイメージを持つことで、治療する際に必要なマナの行使が容易になるのでは?とクレアは思った。

 身体を診察する時、身体の構成成分である炭素 、水素、窒素 、カルシウム 、鉄 、ナトリウム 、カリウム 、リン 、マグネシウム 、銅 、そして酸素、二酸化炭素を大気から取り込み、それらと自身のマナを合わせるイメージを持ち、その合わさったマナを相手の体内に巡らせるイメージを持つ。体内を画像として思い浮かべながらマナの行方を追う、マナがスムーズに進めば問題なく、マナが滞った部位が異常ありとなる。治療する時には、その巡らせたマナを体内から治療したい部分に集約するイメージと、体外から大気中の成分を集約して患部に集中させるイメージを持った。


 クレアは、大気からマナを取り込むイメージを殊更意識して診察を行い、時には自身のマナを注入して、あらゆる人を治癒していく。そして、その治療は同行しているギルバート医師よりも速かった。


「クレアのマナ量や操作力を知っているから、研修医よりももちろん上だとは思ってたけど……」

「うん。まさか…公爵家や王家の主治医達を凌ぐとは思わないよな…」

「クレアは、薬の作成も難なくこなすし、そのうちポーションも作れちゃうんじゃない?」

「この世に存在しないポーションなんか作ったら、聖女とか女神が現れたって言われるぞ…」


  クラスメイト達の言葉を聞き、

(ポーションかぁ〜、葛根湯の成分って7種類の生薬なんだよね。それらと他に効きそうな源薬を混ぜて、飲みやすくなるように有効成分だけを抽出してマナで作った水を注げば…もしかしたら出来るかも…?)

  と、試しに水薬を作ってみた。

 なんか、効果がありそうなものが出来た。


 完成したポーションをどうしようか…と迷っていると、ギルバート医師が「効果に対しては半信半疑だが、原料の組み合わせは悪くない。少量なら副作用も出ないだろう。処方してみなさい」と許可を出してくれた。

  診療所に訪れた患者に、副作用が出るかもしれないこと、必ず少量で試すことを伝え、希望した方のみに試作のポーションを渡した。


 結果、漢方薬を遥かに凌ぐ効果が、少量のポーションで得られることを患者達は実感することになった。


 ……こうして実習開始後3ヶ月目には、診療所には聖女がいる、と平民達の間で話題となっていた。


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