23. 二年生
結果として、他国の医学本も言語が違うだけで、王国の内容と同じだった。
マナについてもう少し詳しく知れるかと期待したが、他国でも解明されていない。どこの国でも魔石が埋まっているため、科学の発展もなかった。
クレアはややガッカリしつつも、異国の料理や街の雰囲気を、子供らしくめいいっぱい楽しんだ。
充実した休みを過ごしたあと、高等学院の二年生の講義が始まった。
二年生で学ぶ内容は薬学だ。科学がないため薬草と漢方を学んでいく。この世界には多くの生薬があり、そのため覚えなくてはならない漢方薬は膨大だった。
この分野は前世で関わっていないため、クレアにとっても興味深い学問であり、他のクラスメイト達と意見を交わしながらともに知識を深めていった。
マナを使って作成するため、クレアが作れる漢方薬は早く正確で副作用も殆どなかった。
クレアは、効能から前世の知識を利用してその生薬に含まれる成分を予測し、成分同士のよくない組み合わせを理解していた。例えば、麻黄は交感神経を刺激するため、不眠、動悸、血圧上昇などの副作用を引き起こしやすいが、これはエフェドリンが含まれているためであり、甘草と併用すると低カリウム血症や血圧上昇、むくみ、浮腫などを生じる偽アルドステロン症を生じる恐れがあるため、組み合わせるのはよくない…といったように。
また、そのマナ量と操作能力の高さによって、漢方薬の作成速度は、クラスメイトのそれに比べてやはり突出していた。
一年目同様にクラスメイト達は賞賛したが、クレアのスペックの高さを理解していたため、当然のことと納得もしていた。
そしてあっという間に学期末となり、試験はまた全員満点という満足のいく結果をむかえた。
これで座学は終了だ。免疫学や公衆衛生、環境医学といった前世に必要な医学の分野は学んでいない。
自然界のマナのおかげで、大気が浄化されているため疫学自体がない。よって、それに付随する分野も存在しないのだろう。
感染症の恐れがないことは、人々の生活を脅かす恐れも少ないといえ、クレアはあらためてマナというものの存在に感謝した。
14歳となった2年目の社交界も、元々仲の良かった同い年の令嬢達とのお茶会のみに顔を出し、その後は他国への旅行で逃がれた。
他国を思い切り楽しんで帰国後、すぐに三年生の講義が始まった。




