競売場
「では2万5千ゴールド、他になければ・・・・・・はい、落札でございます!」
という感じで油絵は2万5千ゴールドだった。
また2点ほど間が空いて、次は兜。
(兜ねぇ。防具なんてどれも一緒に見えるんだけど・・・・・・)
そう思ったのはみんな同じだったらしく、金額は振るわず、最低金額の7000ゴールドでの落札。
買った人も、以前私たちに馬車の護衛を頼んでくれた人だった。
どうも私たちが持ってきたことを知っているようだ。1階から2階のセローさんへと手を振ってくれた。
「本日の目玉はこちら! 斧と盾の紋章でございます!」
手のひらサイズのプレート、それがみんなの目に触れたとたん、会場がにわかにざわめき始めた。
『・・・・・・見たことないな』
『もしかすると古の物か?』
『どう? いくらまでイケそうですかい? へ・・・・・・いくらでも!? それはマズいと思いますよセンセ』
「何が起きているんですか?」
「全然気にしていなかったが、斧の紋章は俺も初めてみたかもしれんな」
セローさんが紋章について説明してくれたところによると、通常、剣や槍に盾、杖に箒、薬草に瓶といったものが紋章に描かれることがほとんどで、斧、しかも両刃というのは見たことのないものらしかった。
(へぇ、珍しいものだったんだ?)
「さぁさぁ、10万ゴールドからいきましょう。歴史的価値があるやもしれません!」
『20万!』
『22万!』
『28万!』
どんどんと値段が吊り上がっていく。
その金額が50万を超えたあたりで、急激に勢いが落ちてきた。
流石にポンと出せる金額ではなくなってきたからだ。
双眼鏡で見ていると司会の人が、なにやら視線で合図を出したのがわかった。
『54万!』
手が上がる。金額を上げたのは少し前に私たちに薬草取りの依頼をした商人だった。
『どうしますセンセ。もうやめ・・・・・・』
『70万!』
「あーあ、乗っちゃったなぁ」
ジェスタさんがそうつぶやく。
(もしかして、あの商人の人は買う気はなくて、吊り上げ役ってこと!?)
「いいんじゃないか。本当に骨董価値があれば、幾らでも出せる価値があるやもしれん」
ジェスタさんのつぶやきにセローさんがそう反応する。
結局70万ゴールドで落札。競り落としたのは帽子を深くかぶった男の人だった。
「本日最後は~」
(え?)
私は自分の目を疑った。檻の中に人が入っていた。
しかし、普通の人ではない。獣の耳と尻尾の生えた子供だった。
「・・・・・・アレは?」
「奴隷だよ奴隷。金持ってて偉いやつのとこで働くんだよ、一生」
「なんの自由もないってことですか?」
「自由は無い、が、生きることは保障される。少なくともこの国では。家族扱いだからな」
聞いていて気付いた。この前の親を亡くした孤児たちよりマシな環境になるのかもしれないのだと。
会場で落札する人はいなかった。
檻と中の人は、そのまま台車で運ばれて舞台から消えていった。
「んじゃ帰るか」
その日、軽いショックを受けた私は、久しぶりに睡眠薬を飲んで眠りについた。




