価値のあるものは?
「交代の時間だ」
セローさんに肩を叩かれ起こされる。
しっかり眠れたわけではないが、2時間半後にもう少し眠れるから仕方ない。
(何も起きないといいけどな・・・・・・)
私は眠い目をこすりながら、うつらうつらしながら焚火をじっと見て過ごす。
しかし、私の願いは届かなかったようで、見張りを交代してから1時間後、
(・・・・・・音がしてる?)
チャリチャリという音、少し遠くで何かの音がする。規則的な音だ。
たぶん目の前の木立の先からだ。
「おい。セローを起こしとけ」
いつの間にか目を覚ましていたジェスタさん。小声でジェスタさんから指示を受ける。
言われた通りに、私はセローさんの肩を叩いて起こす。
「何が起きた?」
「金属の鎧を着たやつがその先を歩いてる。戦闘地域も近いし見回りかもしれねぇ」
その問いかけにジェスタさんはそう返した。
ジェスタさんは眼鏡をかけて、木立の先を見ている。
私にはさっぱり何も見えないが。
「焚火、消しますか?」
「いや、こちらに不利になるだけだ。そのままでいい」
夜の闇の中で、ここだけ明るいのは人がいるのを知らせているようなものだから、消そうと思ったけど不要らしい。
急にガチャガチャという音がし、その音は離れていった。
「・・・・・・こっちに気づいて応援を呼びに帰ったみてぇだ」
「仕方がない。片付けて遺跡の中へ入るぞ」
私たちは深夜の暗がりの中、撤収準備に入る。
5分足らずで片付けをして、遺跡の中へ行く。
遺跡は背の高いレンガでできていて、外周だけでも見て回るのに1時間以上はかかりそうな広さだ。
ジェスタさん、私、セローさんの順に並んで、ジェスタさんと私はランタンを持つ。
セローさんは入口付近になにか札を貼った。
「なにしてるんですか?」
「その札はこちらの札と対になっていて、この札の持ち主以外が近くを通るとこちらの文字の色が変わる。これを見れば敵が中に入ってきたらわかる。まあ誰かが出て行っても反応するが」
いつものセローさんの便利道具だった。もっとも毎度のこと役に立っているかを私が実感したことは無いのだが。
「とりあえず奥行くぞ」
ジェスタさんを先頭に私たちは遺跡の奥へと進む。
遺跡は入口の柱を過ぎたところから、きっちりと通路は石で舗装されていて、歩くことはたやすい。
ところどころ崩れているが、進む道が無くなるということはなく、5分ほど進んだ頃だ。
「ずいぶんと現代的だな」
もともとは食堂か何かのようで、暖炉のような跡と朽ちた長いテーブルに椅子があった。
「お、これいいんじゃね?」
ジェスタさんが指で示した壁には風景画があった。片腕を広げたくらいの大きさの絵、私にはどこの場所なのか見覚えがあった。
「これってユニコーンのいた湖じゃないですかね?」
「言われてみれば、そうかもしれんな。とりあえず持っていこう」
壁から額縁ごと外して、ジェスタさんから私へと手渡される。荷物を持つのは私の仕事だ。
「よいしょっと」
ロープで括って、背中に背負えるようにする。
少し重たいので、これ以上は重いものを持ち帰ることにならなければいいけれど。
「あと2つ、最低でも1つは欲しいな」
「そうですね」
依頼の品は3つ、仮に1つは適当に済ませるとしても、もう1品は何かしら価値のありそうなものを探す必要がある。




