水上の住処
「ainnowrusu! maoetiataharedada?」
「何言ってるかさっぱりだ。ジェスタ頼んだ」
ジェスタさんはどこからか取り出した鉄製のケースから、人差し指くらいの白い棒を取り出して、転がっていた大き目の石にそれで文字を書き始めた。
「あれは、あなたの家か、もし、そうならば、川でない、場所へと、動かして、迷惑だ。これでいいんか?」
まったく読めない文字だが、ジェスタさんはそう書いたらしい。
「う~ん、ちょっとキツイ言い方か? もう少し柔らかくならないか?」
「んなこと言われても、そこまでの文字の語彙は俺にねぇよ。とりあえずこれで見せるぞ」
そういってジェスタさんはエルフに文字を見せる。
するとエルフは、また喋り始めた。しかし、何を言っているかは私たちにはわからない。
「言葉がわからないことを書いて、筆談にしてくれ」
セローさんはジェスタさんにそう指示して、ジェスタさんとエルフとの筆談が始まった。
「あなたの、なまえ、なんですか?」
『フェナロソン、といいます』
「なぜ、ひとり? 同族、の人は、どうした?」
『私は、罪を、なすり、つけられて、村を、追われてしまった。この、川、しか、安全に暮らす場所、が近くにない』
ジェスタさんはやりとりを口に出して伝えてくれる。
「エルフは長命で自然を好む種族、数十人ほどで森に村落を作って暮らしているのが普通だ。たしか呼吸が人間とは違うらしく、水中でも不便ないと聞く」
セローさんは一応エルフの知識があるようだ。
しかし、川に家を作るのは一般的ではないらしい。
「話を聞くにだな、村を追い出され、水中からしか入れない家で安全に暮らしていると。んで、他の人に迷惑をかけているのならば、穏便に解決したいとさ」
「では、一応退いてくれる気はあると」
「けども一蓮托生の魔法があるから、壊すのは困るとさ」
「どうしましょう?」
入り口は下側にある。周りは強固で、簡単には壊れないらしい。
ふと私はこの前の小屋へ泊ったのを思い出した。
「木の上に移動させるのはどうですか? 高い場所なら水辺並みに安全じゃないですかね?」
「・・・・・・そうだな。このままの状態で、となると、それが現実的な案だろう」
「木の上に移動、でいいんか?」
ジェスタさんは書いて伝える。
「それでいいとさ。でもどうすんだよ、言うほど簡単じゃねえぞ」
「何か金目の物でもあれば、俺たちが代わりにどこかに依頼してきてもいいが」
結局、解決するためにはお金が必要になるみたいだ。




