川で魚釣り
セローさんは荷物に持ってきていた伸縮する釣り竿に糸を張って針をつけていた。
「餌は・・・・・・その辺りの石の下を見てくれ」
私は言われた通りに靴くらいの大きさの石を両手で持ちあげる。
そこにはウネウネと動く虫が数匹うごめいていた。
「これでいいんですか?」
私は動く芋虫をつまんでセローさんに見せる。
「なんだ。気味悪がると思っていたが平気なんだな」
セローさんが意外そうな顔をしている。
「これでも田舎育ちですから。川で釣りくらいしてましたよ」
「でも君は料理とかは得意でないよな?」
「まあ、それとこれとは別でして・・・・・・」
釣りはできる。しかし捌くのはできないのだ。
生来、私は不器用らしかった。
「魔法使いというのは料理は比較的上手な場合が多いんだがな」
「じゃあ私もこれからうまくなりますよ」
セローさんは釣り糸を垂らし始める。私はそれを見守る。
「とりあえず3匹は欲しいな」
「ですねぇ」
そうして釣りを始めて5分ほど。
「かかった!」
セローさんは釣り竿を立てて魚を引き寄せる。
水辺がバチャバチャとしぶきをあげる。
釣れた魚は、20㎝くらいの丁度良い大きさだった。
「俺はこのまま捌くから、君は釣りを続けてくれ」
「わかりました」
セローさんから釣り竿一式を渡され、交代する。
セローさんは少し離れた場所でナイフを使って魚をシメている。
(よかった~、今日の夕飯は焼き魚かぁ)
道中は携行食だったので、キチンとした食事は数日ぶりだった。
「どうだ? 釣れたか?」
「あ、ジェスタさん。セローさんが1匹釣りましたよ」
「よぅし。これで夜飯はあったけぇものが食えるぞ。俺はちょっくら罠を仕掛けてくるわ」
「はぁい。行ってらっしゃい」
私は手をプラプラと振ってジェスタさんを見送った。
直後、
(お、これはきたかな・・・・・・?)
どうやら魚が餌をつついている感じがする。
(もうちょっと我慢して・・・・・・今だ!)
私はガッと竿をあげる。
魚はかかったらしく、水辺はバチャバチャとしぶきをあげ始める。
(重たい! 体が持ってかれちゃう!)
「レイチェル、そのまま竿を寄越せ!」
そう思った矢先にいつの間にか駆けつけてくれたセローさんが手を貸してくれた。
「くぅ、この!」
かかった魚は、セローさんが苦戦するほどだった。
格闘すること数分間、魚は観念したらしい。
「でっかい! なんですかコレ? 食べられるんですか?」
「これはたしかウナギだろう。骨に気をつければうまいはずだ」
体長はさっきの魚の倍くらいで、細長い体が特徴的だった。
あまり馴染みのない魚だったからか、セローさんも自信なさげだ。




