剥製
今回の依頼は野生の動物がうようよしている場所。そこに生息している数種類の動物をできるだけ傷つけずに捕獲、もしくは魔法や毒などの見た目を損なわない手段でならば死体でよいとのこと。
「どこのギルドでも、2週間くらい募集をかけても誰も受けてくれなくてねぇ」
そういって依頼をしてきたのは、目の細い、年のころは50~60くらいの男の人だった。
「手に入れられないと私が怒られるもので・・・・・・」
長々とした話を聞いている限り、どうやらこの人は召使いで、主人であるお金持ちの人が趣味で集めているようだった。
「難しい依頼ですね。見た目を損なわないというのが大事なようなので、ギルドではそこを読んで避けられてしまっているのでしょう」
「しかしねぇ。剥製を作るためにはきれいな外皮が必要なんですよ」
実は話を聞いていても、私は剥製というものにいまいちピンときていない。
(なんに使うものなんだろう? 薬とか? 依頼料も結構な大金だし)
この依頼、鳥や獣を傷つけずに捕獲しろ、というものなのだが、1種類につき3000ゴールドという破格の金額だった。
(この金額なのに受ける人がいないって・・・・・・)
私たちが向かったのは街から南西にある森林。
最寄りの村から、森の中に地図を片手にジェスタさんの道案内に従って、冒険者や、探索する人向けの小屋に着いた。
現地に到着してわかったことがある。
周りは森林、私たちの泊まる場所は10段くらいの階段を上がって入る、木造の簡素な小屋だった。
入口には鉄格子、ベッドは2段ベッドが2つで4人分。屋根はあるけど、部屋の四隅には1mくらいのぽっかりと戸のない窓? 穴が開いている。
流石に野営でないだけマシではあるのだが・・・・・・
「ここで泊まりだな・・・・・・」
セローさんは珍しく意気消沈しているようだ。
正直、田舎育ちの私でもこんな小屋に泊まるのはちょっと気が引ける。
「ベッドに敷くものもないんですね・・・・・・」
木製のベッドには敷くものも掛ける布団も、枕すらない。
なんならトイレも外でするようだ。小屋内にそれらしき設備などは無い。
「ジェスタ、外で飯が作れるように準備でもしといてくれ」
「おうよ」
各々、荷物をベッドに置いて、
ジェスタさんはマチェットという刃物を持って森の中へと入っていった。
「私たちはどうします?」
「少し戻った位置に川があったから、そこのバケツに水を汲んで、そのあと魚でも採ろう」
小屋には鉄のバケツがいくつか置いてあった。
私たち2人は来た道を戻りながら、セローさんはついでで木に目印となる札を張っていた。
「これで君も1人で小屋へと戻れるだろう。何回か水を汲んで戻ってくれ」
バケツに並々、というのは私では持って歩けないので、半分くらい汲んで、小屋へと戻る。
いつの間にかジェスタさんが、小屋の窓に細かい目のネットを打ち付けておいてくれた。
これで外からの虫の侵入を防げる。後は中にいる虫たちを退治すれば、少しは快適に休めそうだ。
2人で3回ほど往復したのち、川で魚を取ることにした。




