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オーガとの対決

 私たち3人は後ろで手を縛られた状態で、村のど真ん中の広場に連行される。

 そして、村人に呼び出された男の前に俯いて跪く。

 もちろんこれは縛られているふり、すぐに動ける状態だ。


「こいつらが冒険者だな? 動けないようになってるだろうな?」

「はい、もちろんですオーガさま。この通り」


 村人の人にジェスタさんが背中を蹴られる。

 ジェスタさんは、敵である男の前に転がされた。

 すかさず、ジェスタさんはすぐに腰のポーチから針を抜いて、男の影の頭へと針を刺した。


「なんだ? 動きが・・・・・・」


 そう男は口にして、姿を変えている。

 瞬時に小柄な女性に姿を変化させた。

 影が縮んでしまって、今、針は地面だけに刺さっている。


「こいつ!!」


 化け物の男女どちらともつかない声が響き渡る。

 小柄な女性の体躯で倒れているジェスタさんへ蹴りを放つ。

 ジェスタさんは両手を前に出して防御した。


「ってぇ」


 ジェスタさんは吹き飛ばされたが、そのまま転がって衝撃を和らげる。


「オーガよ、お前の相手は俺だ!」


 いつの間にかセローさんが化け物と相対している。

 私はジェスタさんの元に駆け寄る。

 蹴られた左腕は倍くらいに腫れあがっている。


(うわ! いたそ~)


「俺の袋から小瓶と草をくれ」

「はい!」


 ジェスタさんは痛みで顔をしかめながら私に指示を出す。

 いわれた通りに2つを渡してセローさんの戦いを見守る。

 もしセローさんが負けたら村の全員が化け物の今日の夕食になるだろう。

 

「地面よ、足止めをしろ!」


 化け物は魔法を使えるらしい。

 急にセローさんの足元がぬかるんで、バランスを崩す。

 剣を抜いたときに左手で鞘を持っていたが、それは手からすっぽ抜けて空へ舞った。


「ガハハ、貰った!」


 化け物は態勢を崩したセローさんへ殴りかかる。

 ジェスタさんの腕がこうなっている以上、小柄な女性の見かけより力があるのは間違いない。

 このままだと顔に直撃する。私にはそう見えた。

 化け物も当たる確信をしていたのだろう。


「な!?」


 化け物は驚きのあまり声をあげる。

 私も見ていたものが信じられなかった。

 顔に拳が当たる直前、その瞬間にセローさんの姿がかき消えた。

 すると、セローさんの体は化け物の真上、手からすっぽ抜けたはずの鞘の真横の虚空に出現した。

 そのまま抜いていた剣で女性の姿の化け物の首を切り落とす。

 セローさんは剣についた血を払って、鞘にしまう。


「それ、心臓に悪ぃからあんまやるなよなぁ」

「ホントですよ!? もうダメかと思いましたもん」

「俺は成功する確信があるからやっているんだけどな」


 首を落とされた化け物、セローさんはオーガ、といっていた。その死体がどんどん変化していく。

 みるみるうちに、とても大柄の体躯に腰布だけを着た紫色の体色になる。


「こいつらは人間の心臓を食らって、その人間に化ける」

「うえぇ」

「知らねぇうちに化け物にすり替わってる。大きな街に潜伏するってのも聞いたことあるぜ」


 いつの間にかジェスタさんはケロっとした顔で会話に参加してくる。


「腕、大丈夫なんですか?」

「薬飲んで、葉っぱ貼って治るまで放っとくしかねぇよ」

「しばらくジェスタは休みだな」


 オーガの死体をセローさんが魔法で動かして片付け始める。


「私にできること、なにかないですか?」


 手持ち無沙汰なので聞いてみる。


「そうだな・・・・・・たぶん食われた人の墓を建てるだろうから、墓前に供える花でも採ってきたらどうだ?」

「花、ですか。探してきます」


 私は村人の人に感謝の言葉を貰いながら、村から出て花を探す。


(どのくらいの人が亡くなったんだろう)


 見つけた黄色い綺麗な花を摘みながら考える。


(街にいると安全な気がするけど、外はこんなにも危険なんだ・・・・・・)


 幸い、たくさんの花が咲く場所を見つけたので、あっというまに両手で抱えるほどの花束が出来上がった。

 村の人が村の端に作った簡易なお墓に花を供える。

 石に刻まれた名前は4人。

 4人で済んだのか4人も亡くなったのか。それは私たちには判断できない。


「・・・・・・なんにせよ村人には通りかかったのが俺たちでよかった、と思ってもらうしかない」


 心を読まれたのだろうか、墓前で手を合わせていたセローさんが私に声を掛けてくれる。


「被害は最小限で止まった、そう考えるしかない」

「どの村でも危険を知らせる合図みたいのを出せればいいと思うんですけどね・・・・・・」 

「オーガほどの高い知能がある魔物には気づかれるだろうよ」


 村が緊急事態をアピールしてくれればすぐ助けに入ることができるが、そう簡単にはいかないらしい。


「煙、狼煙をあげるなどは魔王軍でも使用されている。やつらもすぐに意図に気づく」

「そうですか・・・・・・」


 とにかく終わってしまったことだ。

 私がクヨクヨと考えていても仕方ない。


「そうだな・・・・・・ジェスタの傷がよくなるまで、3日くらいこの村に滞在するとしよう」


 セローさんの提案通りに私たちは3日の間、ゆっくりと過ごしたのちに街へと帰ったのだった。

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