囚われの村
依頼で遠出をした帰りに寄った村。
私たちは少し休憩して、適当な馬車を捕まえて街へ帰るつもりだった。
とりあえず、村の食事処兼宿屋で昼食にすることになった。
給仕の女性に案内された席に座り、メニュー表を読む。
注文していないけど、サービスなのかコップに入った水が配られる。
セローさんが何やらジェスタさんへ目配せした。
(なんだろ?)
私は出されたコップの水に手を出す。
「・・・・・・」
隣に座っていたセローさんにコップごと水をとられた。
「なあ姉ちゃん、コレ飲んでくんね? 1口でいいからよ」
ジェスタさんは出された水を指さして給仕の女性に言う。
(ちょっと、ジェスタさん!?)
突然の言いがかりに私は驚いた。
「はい? なぜそんなことを?」
「いいから。飲んでくれねぇか?」
「・・・・・・」
女性は無言になってしまった。
「どこか休める個室は無いか?」
セローさんは脈絡なく聞く。
その言葉に女性は注文を取るのをやめ、部屋へと案内してくれた。
給仕の女性と私たちは部屋に入る。
部屋に入ったセローさんとジェスタさんは無言で部屋の何カ所かに札を貼り始める。
「これでいいだろう。部屋の外には音は聞こえないようになった」
「冒険者の方々! 助けてください!」
女性は涙を流しながらその言葉を口にした。
「もちろん、助けますから。何があったのか教えてください」
人に化ける魔王軍の化け物が村を管理し始めたというものだった。
「旅人や冒険者の方に毒を盛って、化け物に差し出していました・・・・・・」
「そうですか。化け物はまだこの村に?」
「はい。私も監視され、していました。村人を相互に監視させているんです」
「相手は1体だけ?」
「そうです。しかし、あの化け物は食べた人間に化けるようで、今、誰なのかわかりません・・・・・・」
「では・・・・・・毒を飲んだことにしておびき出しましょう」
セローさんがそう告げる。
「ちなみに化け物が1人目に食べたのはどんな方でしたか?」
「村で一番体格の良かった男、カシルが殺され、食べられました」
「そうですか。ではジェスタが囮になればよいでしょう」
「わかった」
「すぐに支度をしましょう。俺たち3人は毒を飲んで体調不良の演技をします」
私たち3人は2時間ほど休んで、化け物を倒すための準備もした。
「なんでジェスタさんが囮なんですか?」
「たしかに肉質ではレイチェル、女性の君が一番うまそうだとヤツも思うだろう」
「じゃあどうして?」
「ヤツらは美味さより先に力が欲しいはず。おそらく敵は食べた相手の能力を使える。ひ弱な君より大柄なジェスタを選ぶだろう」
「オーガを呼びました。冒険者の方々、あとは頼みます」
「必ず倒します」




